デートの時、お化粧や服がなかなか決まらなくて、相手を待たせてしまったことのある女性、多いと思います。そして、そんな女性と同じ数だけ、待たされてイライラしたことのある男性もいることでしょう。
こんな思いをするのは洋の東西を問わないらしく、エリック・クラプトンも同じ気持ちになったことがあります。「ワンダフル・トゥナイト」は、そんな出来事を題材にとっている佳曲です。
この曲は、エリックが1977年に発表したソロ・アルバム、「スロウハンド」の2曲目に収録されています。
ある夜、愛妻パティとパーティーに行くことになったエリックは、先に支度が整ったので、パティが二階から下りてくるのを待っていました。でも、いつまでたっても彼女は下りてきません。服を選んだり、化粧を直したりしていたのでしょう。そのうち予定の時間も過ぎてしまい、エリックのイライラも募ります。そこでエリックはギターを爪弾きながら気を紛らせることにしました。その時にできた曲が、エリック必殺のラヴ・バラード、「ワンダフル・トゥナイト」だというわけです。
エリック&パティ
自らのプライヴェートな出来事を素直に曲の中に織り込み、何のてらいもなく歌い上げている、いわばエリックのエッセイのような性格を持つ曲です。
夫婦と思われるカップルがパーティーに出かけ、帰って来るまでを歌にしていますが、その時起こっていることをそのまま歌詞にしたようなところが、臨場感を生み出しています。
優しいオルガンに乗って、イントロのギター・リフが弾かれます。そして入ってくる、少ししゃがれたようなエリックの声。その声に寄り添うようにオルガンが鳴っています。ギターのアルペジオもそっと歌を支えている感じです。能弁ではありませんが、訥々とエリックは歌っています。その渋くてメロウな声に重なる女声コーラス、美しいですね。
クリアーなサウンドの中にも甘さが漂っています。シンプルですが、作曲者であるエリックの内にある幸福感がそのまま曲に現れているような気がします。だからこそ、聴き手側の共感を呼んだのではないでしょうか。
なんといっても、パティ夫人関連の曲といえば「いとしのレイラ」が有名ですね。
「レイラ」でのエリックは、パティに恋焦がれるせつなさを歌に託して思いを吐露していますが、パティと結ばれた後の「ワンダフル・トゥナイト」では一転して「今夜の君は素晴らしい」と愛にあふれた言葉を発しています。それも、思い切り抱きしめて情熱的に愛の言葉を発するのではなくて、そっと耳元で「きれいだよ」と囁いているかのようです。
この2曲、背景を知ったうえで聴くと、好一対をなしているのが分かって面白いですね。
クリームやデレク&ザ・ドミノスあたりのブルース・ロック時代を支持するファンなら、もしかしてこの曲はやや物足りないかもしれません。しかし、エリックはブルース・マンであると同時に、バラードをメロウに歌い上げるシンガー、という一面も持っています。
このバラード・スタイルは、のちの名曲「ランニン・オン・フェイス」や「ホーリー・マザー」、「ティアーズ・イン・ヘヴン」などへと繋がってゆくことになります。そういう意味でも、「ワンダフル・トゥナイト」は、エリック自身ばかりでなく、ロックのスタンダードのひとつとして欠かせない名曲だということが言えるでしょう。
[歌 詞]
[大 意]
夕方ももう遅い 彼女は何を着ようか迷っている
メーキャップをして 長いブロンドの髪をとかしている
そして彼女はこう訊ねる 「これでいいかしら」
だから僕はこう言う 「ああ、今夜の君は素晴らしいよ」
パーティーに出かけると みんなの視線が
僕と一緒に歩いているこの美しい女性に注がれる
そして彼女はこう訊ねる 「あなた、気分はどう?」
だから僕はこう言う 「ああ、今夜の気分は素晴らしいよ」
気分がいいのは 君の瞳に愛の光が灯っているからだ
それなのに不思議なのは
どんなに僕が君を愛しているかを 君が意識していないこと
もうそろそろ帰る時間だ
頭がズキズキするから 彼女に車のキーを渡す
彼女は僕をベッドに連れて行く 明かりを消しながら僕は彼女にこう言うのさ
「ダーリン、今夜の君は素晴らしいよ
ああダーリン、今夜の君はほんとうに素晴らしいよ」
◆ワンダフル・トゥナイト/Wonderful Tonight
■歌・演奏
エリック・クラプトン/Eric Clapton
■シングル・リリース
1977年
■作詞・作曲
エリック・クラプトン/Eric Clapton
■プロデュース
グリン・ジョンズ/Glyn Johns
■録音メンバー
エリック・クラプトン/Eric Clapton (lead-vocals, guitar)
ジョージ・テリー/George Terry (guitar)
カール・レイドル/Carl Radle (bass)
ジェイミー・オールデイカー/Jamie Oldaker (drums, percussion)
ディック・シムズ/Dick Sims (electric-piano, organ)
イヴォンヌ・エリマン/Yvonne Elliman (harmony, backing-vocals)
マーシー・レヴィ/Marcy Levy (harmony, backing-vocals)
■チャート最高位
1978年週間チャート アメリカ(ビルボード)16位、イギリス81位、日本(オリコン洋楽チャート)1位
■収録アルバム
スロウハンド/Slowhand (1977年)
エリック・クラプトン『ワンダフル・トゥナイト』
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ありがとうございます
そっか~、エリックもやっぱり、彼女の支度の遅さにイラつくんですねそれでも出来た曲がこんなに愛情溢れているんだ・・・深いなぁ
そうそう、この情景が目に浮かぶような歌詞とメロディが、すご~くろまんちっくなんですよね
"You just(?) don't realize how much I love you..."
でしたっけ?間違ってるかも(汗)
クラプトン、聴きたくなりました~
ありがとうございました
そう!それ、ポイントだと思います。
うそでいいから、一度言われて見たかったなあ。
ライヴで聴くのが最高だけど、家で一人で聴く時はヘッドフォンですね
コーラスのイヴォンヌ・エリマンさんは映画の「ジーザス・クライスト・スーパースター」でマグダラのマリアを演った人ですよね。この歌にすごくあってる(声が)と思います。
なるほど・・・
最早、メロメロ状態のエリックおじさま。
ま、こういう状態は長くは続かないのだ・・・イシシ
でも、私の場合、クラプトンはブルースよりもこういう感じの曲の方が好きです♪
ただし、知っている曲だけですけどね(^^;)。
エリックだけじゃなくって、男性はみんな女性の支度の長さにイライラしてると思いますよ。でも、同じようにイライラしていても、それをこんな甘~いラヴ・ソングにしちゃうところがエリックの非凡なところですね。こうじゃなきゃモテないですよね~
>You just(?) don't realize how much I love you
正解です。今歌詞カードで確認しました。
歌詞、覚えてるんや~ ぼくなんか脳のシワがなくなってきてるから記憶力が・・・(悲)
どういたしまして!いつでもお役に立たせて頂きますよ。
おおっ、そこがオンデンさんのツボでしたか~♡
というか、たまには男もそういう風に女心をくすぐるようなセリフを言えないとダメですね~
ぼくは20台の前半くらいまでは、そういう「クサいセリフ」を言えたんですけどね。今だったら照れてしまってダメです(^^;)。
>マグダラのマリア
あっ、それBingo!です。イヴォンヌ・エリマン、何かに出てると思ってたけど思い出せなかったんですよ。胸のつかえが取れました(^^)。
若い頃のパティって写真で見るよりメチャメチャ可愛いかったんですってね(今はどうか分からないですけど)。恋焦がれて心臓が口から飛び出すほどホレ抜いた相手ですもん、そりゃーメロメロになりますよね。でも、そんな思いをして一緒になったっていうのに添い遂げることができなかったエリックって、ある意味ゼイタクですね~(^^;)
>私の場合、クラプトンはブルースよりもこういう感じの~
そういう女性が多いからエリックはモテモテなんや~(羨)
いいですね~。
私もそんな風に待ってくれてる時あったんだけどな~。
そういうのって気持ちの持ちようひとつなんでしょうけどね~(;^ω^) 。「キレイだね」とか「よく似合うよ」とか、ほんの一言なんですけど、なかなかそれが言えないし、文句も言わず待つなんてとてもとても・・・(汗)
>そんな風に待ってくれてる時
じゃそんな風に待たせたことがある、ってことですね(^^)。いや~、想像したらなんかテレるわ~(*´∀`*)
さすがにエリック・クラプトンがフェイバリットなのですね(●^o^●)
プレイなさる方には素晴らしい才能なのでしょうね=^ェ^=
ボクは・・・ヤードバーズも聴いたのですが、前述の愛しのレイラも聴いた記憶が無いので解りません(>_<)
機会を見い出してみたいと思います(*_*)
エリック・クラプトンはやはりお気に入りから外せませんです。
ギターももちろん良いですが、歌が(決して上手くないけど)シブくて良いのです。
ヤードバーズとはこれまたオールディーズなバンドですね。ぼくも「フォー・ユア・ラヴ」とかよく聴きました。
「レイラ」はCMにも使われていたので、聴いたらたぶん覚えがあると思いますよ。(^^)