☆今年最後の大作を、<MOVIX昭島>の公開前夜祭で観てきました。
面白かったです!
恋人たちがクリスマスデートで観ても楽しいひと時を過ごせますよ^^(←余計なお世話^^;)
◇
J・キャメロン監督らしく、しつこいほどのサービス精神を、尻尾までアンコの詰まったタイ焼きのように堪能しました。
前宣伝から、私は、異星の種族と、一種の「スパイ」として交流する為に偽体(アバター)に心を転移させた男の、現実と仮想現実との行ったり来たりの苦悩が、かなりの長い時間をかけて語られたり、
また、そのアバターになる由来、なってからの体に慣れるまでの物語内の時間なども長く割かれるのかと思っていたのだが、
そこはあっさりと消化され、すぐに本題に入り、こちらに鑑賞ストレスを抱かせるようなことはない。
ただ、異星(異世界)・パンドラに主人公・ジェイクが慣れていく、溶け込んでいく様は、丹念に描かれる。
なぜなら、そこは、私たち・地球人が生きてきた文法とは異なる世界だから、丁寧に描いて描き過ぎることはない。
自然豊かなパンドラは美しく、月並みな表現で悪いが「幻想的」な植生に、私はうっとりした。
いい加減な娯楽作だと、特殊な植物は一種類だけだったりして、我々が見ることの出来る自然の中で浮きまくるのだが、多種多様な蛍光色の木々に彩られた世界と、私たちの見知った緑の自然の融合は斬新だ。
動物や虫たちも、独自の生態系と言うか、精神ネットワークの中で生きており、星単位での思惟が、後々の展開に隠されている。
◇
パンドラのナヴィ族はモデル体型で、ヒロイン・ネイティリの腰の曲線の美しさなど見惚れる。
にもかかわらず、自然の中で機能的に走り飛び、野性的に「キシャァァーッ!」などと雄叫ぶ様はたまらない。
個人的には、竜を操るネイティリの「アウ! アウ!」の叫びも可愛いと思う。
アメリカ人の作る未開の種族のイメージは常に「アメリカ・インディアン」である。
アメリカ人の物質主義に対する精神(神秘)性の具現である。
故に、この作品は、ケビン・コスナーの傑作『ダンス・ウィズ・ウルブス』と似た構造を持つ(トム・クルーズの『ラスト・サムライ』も似た話だが・・・)。
だが、この作品には、「アメリカ・インディアン」を題材にしたときのような歴史的「深み」はない。
物語は、良い意味でステロタイプで、ひたすらに娯楽に徹している。
◇
ただ、この世界を見事に「体感」させてくれた、感覚に訴える世界構築は特筆すべき芸術点であると思う。
崖・滝・竜の背中・爆撃機の上(『未来少年コナン』のギガントでの戦いを彷彿)・・・、幾つものシチュエーションでの高さの表現は、見ているものの肝を冷やし、
空中浮遊島や大樹などの壮大な風景には、息を呑ませる。
私は、この作品が優れているのは、更に、その異世界の中で、J・キャメロンが、ちゃんとアクション映画をエンターテイメントとして成立させてくれていることにあると思う。
クライマックスの戦いでジェイクは高度から落ちるが、大きな樹木の枝や葉にぶつかり、怪我をすることはない。
それはご都合主義のようでいて、物語の前半で同様の経験をしたジェイクがいるので、「今度は成功なんだな^^」と思わせる。
二人の出会い・・・、ネイティリに突き放されそうになったジェイクだが、そこに森の精霊が群れて、ネイティリは、ジェイクに「スペシャル」を見る。
それも直前に、森の侵入者ジェイクに矢を射ようとしたネイティリが、その矢の先に森の精霊を見て、殺すのをやめると言う伏線が利いている。
伝説の大きな竜に関してのエピソードも、前半の伏線がクライマックスになって活きる。
異世界を描く場合には、常に多重に、それもそれぞれにエピソードを付加させなければ、その世界は生きてこないのである。
娯楽作家キャメロンは、そこのところを、完全に体得している。
さすがは、『殺人魚フライングキラー』の監督である^^;
『タイタニック』が評価されたのは、恋愛要素ではない。
後半の、ヒロインの無敵のアクションが面白いのである。
また、キャメロンの『エイリアン2』でも見せてくれた軍事兵器の文法も健在で、おそらくキャメロンは、『ターミネーター』や『エイリアン』と同じ世界の拡張として<パンドラ>での戦いを描いているだろうことが理解出来る。
なお、この作品では、『エイリアン』シリーズの主人公役のシガニー・ウィーバーがおいしい役を得ている。
シガニーが演じた女のアバターは、シガニーに顔が似ている^^;
◇
超巨大な大樹が、ミサイルで破壊されるが、その崩壊が、絶対に他の風景とのスケール対比に違和感を感じさせないのも見事。
それは、豹のようなパンドラの動物が、森を歩いているときにも感じさせられた。
草の上を行く豹風の、そのスケールがちょっとでもおかしいと、物語全体の完成度が著しく下がる。
・・・つまり、キャメロンは、一つの夢世界を完璧に作り上げてくれた。
故に、一つ間違えば、ただの「ネットゲーム中毒者」の如きジェイクを真っ当なヒーローとして我々は見ることが出来るのだ。
PS.さて、そろそろ、今年の「ナカデミー賞」の選考に入らなくては!!^^v
(2009/12/23)
面白かったです!
恋人たちがクリスマスデートで観ても楽しいひと時を過ごせますよ^^(←余計なお世話^^;)
◇
J・キャメロン監督らしく、しつこいほどのサービス精神を、尻尾までアンコの詰まったタイ焼きのように堪能しました。
前宣伝から、私は、異星の種族と、一種の「スパイ」として交流する為に偽体(アバター)に心を転移させた男の、現実と仮想現実との行ったり来たりの苦悩が、かなりの長い時間をかけて語られたり、
また、そのアバターになる由来、なってからの体に慣れるまでの物語内の時間なども長く割かれるのかと思っていたのだが、
そこはあっさりと消化され、すぐに本題に入り、こちらに鑑賞ストレスを抱かせるようなことはない。
ただ、異星(異世界)・パンドラに主人公・ジェイクが慣れていく、溶け込んでいく様は、丹念に描かれる。
なぜなら、そこは、私たち・地球人が生きてきた文法とは異なる世界だから、丁寧に描いて描き過ぎることはない。
自然豊かなパンドラは美しく、月並みな表現で悪いが「幻想的」な植生に、私はうっとりした。
いい加減な娯楽作だと、特殊な植物は一種類だけだったりして、我々が見ることの出来る自然の中で浮きまくるのだが、多種多様な蛍光色の木々に彩られた世界と、私たちの見知った緑の自然の融合は斬新だ。
動物や虫たちも、独自の生態系と言うか、精神ネットワークの中で生きており、星単位での思惟が、後々の展開に隠されている。
◇
パンドラのナヴィ族はモデル体型で、ヒロイン・ネイティリの腰の曲線の美しさなど見惚れる。
にもかかわらず、自然の中で機能的に走り飛び、野性的に「キシャァァーッ!」などと雄叫ぶ様はたまらない。
個人的には、竜を操るネイティリの「アウ! アウ!」の叫びも可愛いと思う。
アメリカ人の作る未開の種族のイメージは常に「アメリカ・インディアン」である。
アメリカ人の物質主義に対する精神(神秘)性の具現である。
故に、この作品は、ケビン・コスナーの傑作『ダンス・ウィズ・ウルブス』と似た構造を持つ(トム・クルーズの『ラスト・サムライ』も似た話だが・・・)。
だが、この作品には、「アメリカ・インディアン」を題材にしたときのような歴史的「深み」はない。
物語は、良い意味でステロタイプで、ひたすらに娯楽に徹している。
◇
ただ、この世界を見事に「体感」させてくれた、感覚に訴える世界構築は特筆すべき芸術点であると思う。
崖・滝・竜の背中・爆撃機の上(『未来少年コナン』のギガントでの戦いを彷彿)・・・、幾つものシチュエーションでの高さの表現は、見ているものの肝を冷やし、
空中浮遊島や大樹などの壮大な風景には、息を呑ませる。
私は、この作品が優れているのは、更に、その異世界の中で、J・キャメロンが、ちゃんとアクション映画をエンターテイメントとして成立させてくれていることにあると思う。
クライマックスの戦いでジェイクは高度から落ちるが、大きな樹木の枝や葉にぶつかり、怪我をすることはない。
それはご都合主義のようでいて、物語の前半で同様の経験をしたジェイクがいるので、「今度は成功なんだな^^」と思わせる。
二人の出会い・・・、ネイティリに突き放されそうになったジェイクだが、そこに森の精霊が群れて、ネイティリは、ジェイクに「スペシャル」を見る。
それも直前に、森の侵入者ジェイクに矢を射ようとしたネイティリが、その矢の先に森の精霊を見て、殺すのをやめると言う伏線が利いている。
伝説の大きな竜に関してのエピソードも、前半の伏線がクライマックスになって活きる。
異世界を描く場合には、常に多重に、それもそれぞれにエピソードを付加させなければ、その世界は生きてこないのである。
娯楽作家キャメロンは、そこのところを、完全に体得している。
さすがは、『殺人魚フライングキラー』の監督である^^;
『タイタニック』が評価されたのは、恋愛要素ではない。
後半の、ヒロインの無敵のアクションが面白いのである。
また、キャメロンの『エイリアン2』でも見せてくれた軍事兵器の文法も健在で、おそらくキャメロンは、『ターミネーター』や『エイリアン』と同じ世界の拡張として<パンドラ>での戦いを描いているだろうことが理解出来る。
なお、この作品では、『エイリアン』シリーズの主人公役のシガニー・ウィーバーがおいしい役を得ている。
シガニーが演じた女のアバターは、シガニーに顔が似ている^^;
◇
超巨大な大樹が、ミサイルで破壊されるが、その崩壊が、絶対に他の風景とのスケール対比に違和感を感じさせないのも見事。
それは、豹のようなパンドラの動物が、森を歩いているときにも感じさせられた。
草の上を行く豹風の、そのスケールがちょっとでもおかしいと、物語全体の完成度が著しく下がる。
・・・つまり、キャメロンは、一つの夢世界を完璧に作り上げてくれた。
故に、一つ間違えば、ただの「ネットゲーム中毒者」の如きジェイクを真っ当なヒーローとして我々は見ることが出来るのだ。
PS.さて、そろそろ、今年の「ナカデミー賞」の選考に入らなくては!!^^v
(2009/12/23)