★ベルの徒然なるままに★

映画、ゲーム、アニメ、小説、漫画・・・管理人ベルの、大好きな物をいっぱい集めた徒然日記です。

映画『幸せのちから』

2007年02月24日 | 映画鑑賞記
少し前に見た映画の感想を^^

2月上旬に『幸せのちから』を見てきました。
じんわりと心に沁みる感動作でしたよ。
ストーリーも良いですが、ウィル・スミスとその実の息子が、役の上でも父子として共演しているところも見所です。

これは、実話に基づいた物語とのこと。

舞台は1981年のサンフランシスコ。
主人公のクリスは、骨密度を測る医療器具のセールスマン。
妻と5歳の息子の3人家族。

けれども、医療器具は一向に売れず・・・生活はどんどん苦しくなるばかり。
妻も、病院のクリーニング係として1日16時間労働をしているものの、焼け石に水。家賃も滞納気味で、大家からは文句を言われる。違法駐車で車を警察に持って行かれたものの、罰金が払えないので、車を引き取ることも出来ない。そして、税金も払えない・・・。

そんな時、クリスは、ある大手証券会社ビルに出入りする、高級スーツに身を包んだ人たちに、「あること」を見いだします。
それは、皆、「幸せそうな顔」をしているということ。
高級なスーツを着て、高級車に乗り、笑顔で働いているのです。そして、クリスは、そんな中の一人の男性を引き留め質問します。
「あなたの仕事は何なのですか?? どうやったら、そんなに幸せになれるのですか?」
その男性は、株式仲買人。彼は言います、
「学歴も何も関係ない。数字に強いこと、話術が長けていること・・・それさえあれば、証券会社で雇って貰うことが出来る。そして、高額な給料を得ることが出来る」
と。
こうして、クリスの目標は決まりました。一流企業であるその株式会社に就職すること。そして、幸せになること。

けれども、そんな彼と貧乏な暮らしに愛想を尽かした妻は、子供を連れて家を出ていくのでした。


一方、大手証券会社の養成コースに願書を出したクリスは、見事合格。
けれども、その養成コースは、定員20人。6ヶ月間の研修の後、採用されるのは、たった一人。しかも、研修中の6ヶ月間は、お給料ナッシング!!!

それでも。
「子供だけは手放せない」
そう思ったクリスは、妻の元から息子を連れ帰り、父子二人の生活を始めます。

こうしてクリスの、猛烈に仕事をしながら勉強をし、息子の面倒まで見る・・・というハードワークな毎日が始まるのでした。
けれども、もともと無かったお金は減っていく一方。
とうとう、家も追い出され、仮住まいにとモーテルに移るものの、そこも追い出されます。
行き場の無くなった父子は駅のトイレの個室で眠ったり、教会のホームレス宿泊所に泊まったり、バスの中で一夜を明かしたり・・・。

そんなホームレス生活の中でも、クリスは息子と一緒の時間だけは大切にし、本採用されることを目指して、仕事に勉強に努力します。
幸せを、父子で掴むために。




感想ですが、ウィル・スミスの雰囲気が、とても父親らしくって、今までの彼の作品と随分違った印象を受けました。
「アイ・ロボット」などの青年役のイメージが強かったのですが、今回の作品では、「父親の顔」、しかも、ごく普通の、どこにでも居そうな一般庶民的な父親の印象でした。
実の息子と、父子役で共演をしているためかもしれませんが、ウィル・スミスの見せる父親の顔は、とても好感が持てました。今までの青年役とはひと味違った彼の魅力を見ることが出来ます。

この物語は、実話を元にしている・・・というだけあって、感動もひとしおですが、でも、リアリティが感じられ、貧困というものの「重さ」、「深刻さ」というのも、また、見る側の心に大きくのしかかってきます。

主人公のクリスは、決して、遊んでいるわけでも、浪費をしているわけでもない。
真面目に真面目にセールスマンをして働いているわけですよ。
それは、もう必死に。
そして、彼の妻も、1日16時間も働いているのに、低賃金故に、一向に生活の足しにもなりません。
夫婦とも、こんなに真面目に、必死に、体を張って働いているのに、家賃も払えないような貧しい暮らしを強いられる・・・。
不条理さも感じますが、これが、現実なんだと思い知らされます。
資本主義社会において、貧富の差、格差社会は当たり前のことです。それは、分かっていますが、それでも、とてもやるせないものを感じずには居られませんでした。
これは、舞台が1981年と、16年も昔の話ですが、そういう実態は、現代でも、そして、アメリカだけでなく、日本でも実際に在ることなんですものね。

そんな、「貧しい生活から抜けだそう」とする、主人公の姿には、圧倒されます。
一流企業で採用されるために、まさに、身を削るように、「死にものぐるい」という言葉がピッタリの・・・そんな努力をするわけです。
その努力の度合いが凄すぎて・・・。
「ここまで、物凄い、無茶とも言える努力を、普通はしたこと無いだろうなぁ~」
と圧倒され、そして、ここまで必死に頑張ったのだから、彼らには幸せになって欲しい・・・と願わずには居られませんでした。
また、主人公の凄いところは、例え、どんなに生活が苦しくても、勉強が忙しくても、決して、息子だけは手放さず、息子のことを優先して考え、ちゃんと育てていく所です。
あれだけがむしゃらに働いて、勉強して・・・それでも、子供の面倒を見ることができる・・・そこには、ただただ息子に対する大きくて深い愛情があってこそなのだと思い、この父子の絆の深さを感じずには居られませんでした。

そして、息子の側も、そうです。
親戚の元に行くと言った、母親と一緒について行った方が・・・もしかしたら、苦労はしなかったかも知れない。ホームレスになることもなかったかも知れない。
それでも、文句を言わず、黙って父について行っていたのは、父の努力する姿を、ちゃんと理解しているからなのでしょうね。
ウィル・スミスの実の息子シェイデン・クリストファー・サイア・スミス君の熱演も超見所です。

教会の用意した、ホームレスの宿泊施設で、彼らは生活するようになるのですが、この施設というのが、ホテルのように、毎日居られるという訳ではないんですよ。
一晩泊まったら、朝には出て行って、そして、また、その日の夕方、並んで先着順に施設に入ることが出来る。
その為、少しでも早く、この行列に並びたい主人公は、息子を連れて、夕方は、猛ダッシュです。
息子が大事にしていたお人形が落ちても、バスの時間があるので、それを取りに行くことも出来ませんでした。
そのシーンは、泣けましたね(;;)
大事にしているお人形を落として、
「取りに行く」
とタダを捏ねる息子に、
「時間がない! 急ぐぞ!」
と言って、絶対に手を離さない父親。そして、息子は、地面に落ちたお人形を見つめながらバスに乗り、バスは発車します。

今まで、どんなに貧しくても、我が儘を決して言わない子だったのに。それだけに、あのお人形を落とすシーンは、とても可哀想で・・・。
たった一つの、玩具だったかも知れないのに・・・。

でも、玩具を犠牲にしても、宿泊施設の行列の先頭に並ばないと、屋根のあるところでは眠れない。
宿泊所のホームレスの大行列を見ると、その現実の厳しさがうかがえるのです。

物語全般を通して、主人公クリスは、ずっと走っています。
ちょっとの時間を惜しんで働くため、勉強するため、そして、「生きる」ため。
その「走る」姿は、あたかも、幸せに向かって走っているような、全力疾走しないと逃げていってしまう幸せを追いかけるかのような・・・そんな風にも見えます。

よく映画やドラマなどで、「決して夢を諦めず、夢に向かってひたむきに努力する」というテーマの作品があるとすると。それは、例えば、主人公が歌手になりたいとか、役者になりたいとか・・・そういうビックな夢をテーマにしたものが多いと思います。
けれども、この映画では、主人公の夢は、「幸せになること」。そして、そのために「貧しい生活から抜け出し、一流企業で働くこと」。
生活に直接関わることだけに、リアリティがあり、そして、切迫感もあります。
でも、それだけに、最後の感動も大きいのだと思いました。

でもね、ちょっと思っちゃったのですが。
この主人公は、学歴は高卒とのことでしたが、実は、とても頭が良さそうだったんですよ。暗記力がすごかったり、医療器具の機会を直せたり、ルービックキューブを6面揃えたり(久しぶりにルービックキューブで遊びたくなったよ)。
だからこそ、その機転を仕事に活かし、見事、本採用をゲット出来たのだ・・・と思いますが。
世の中、彼のように、頭の良い人ばかりではありません。
頑張っても、努力しても・・・報われない事も、人も、たくさん存在するはず。
そう思うと、そういうのの格差って・・・どうにもならないのでしょうが、やはり、ちょっと切なくなりましたね。

貧困な毎日が、本当に身につまされるのですが・・・でも、そんな貧しい中でこその、父子の絆、そして、幸せを得るまで諦めない主人公の姿勢・・・暖かい感動と勇気をくれる作品です。

因みに、実話では、この主人公は、後に一流企業から独立し、自分の会社を設立するとのこと。全財産21ドルから・・・億万長者になられたのですね。
凄過ぎです~。



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