今日は、先日見てきました、映画『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』の感想を。
大好きなイアン・マッケランが、93歳になったシャーロック・ホームズを演じる・・・ということで、前売りも買って、とても楽しみにしていました。
原作となった、パスティーシュは、実は、冒頭だけ、Amazonのお試し読みで読みました。
・・・が、原書版だったので、結局、原作は買わず、でも、ちょっとだけネタバレというか、物語について知ってる状態での映画鑑賞。
因みに、映画を見て、原作も読みたくなりました。
そして、邦訳版を発見したので、原書では無く邦訳版にて、只今、Amazonで注文中(^m^)♪
原作を読むのも楽しみです。
■映画『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』予告編
かつての名探偵シャーロック・ホームズ。
30年前に探偵業から引退し、今は、海辺の家で養蜂場を営み、静かな隠居生活を過ごす93歳の老人になっていました。
しかし、彼の頭の中には、自分に引退を決意させた30年前のとある事件がずっと引っ掛かっているのです。
そして、今は亡きワトソンの代わりに、その事件の真相を書き上げなければ・・・自分が死ぬまでに、それを成し遂げねばならないと強い焦燥感に駆られているのでした。
その30年前の事件とは、ある男性からの依頼で。
死んだ子供たちと会話している・・・という妻を調査して欲しいというもの。
そして、その調査を進めている内に、ホームズは、その妻が夫の殺害計画を企てていることに気付くのでした。けれども、彼は、何らかのミスを犯し、その事件は未解決に。
自分も探偵を引退した・・・というもの。
あの時、自分が犯したミスとは一体何なのか?
ホームズに心酔する家政婦の息子・ロジャー少年と共に、今となっては、朧げになった記憶の糸を手繰りつつ、過去の事件と向き合うホームズの物語です。
シャーロック・ホームズのパスティーシュは数多くありますが、この作品は、そんなパスティーシュの中でも、珍しいタイプなのではないのかなぁと思います。
なんと言っても、ここで描かれている名探偵シャーロック・ホームズは、御年93歳。
もう、相棒だったワトソンも、大家さんだったハドソン夫人も、兄のマイクロフトもこの世を去っているのです。
身体も思うように動かなくなりつつあり、また、記憶力ですら衰えてきている。
そんな晩年の名探偵のお話なのですが、私は、凄くツボにハマりました。
イアンの熱演が、もう・・・(;_;)
まさか、ホームズの話で泣くなんて・・・(>_<)
でも。
賛否両論はあると思います。
というのも。
映画の予告編だけを見ていると、老いてなお矍鑠としたホームズが、少年を相棒に、何か事件を解決するサスペンス風な感じにも見えますよね?
年は取っても、若かりし日と同様に、冒険をしたり、推理をしたり・・・と。
でもでも、実は、ちょっと違ってて。
この作品は、推理やサスペンスというより、ヒューマンドラマなのですよね。
晩年のホームズが、探偵として生きていた若い頃を思い返し、その知識や推理力ゆえの傲慢さで犯してしまった過ちを悔いる・・・というような。
しかも、もう高齢故に、記憶も曖昧になってきていて。
30年前の過ちを思い出さないといけないのに、どうしても、それが思い出せないという焦り。苛立ち。
そんな自分の内面と向き合うホームズの姿は、何事も理路整然とした思考で真実のみを追求してきたかつての彼と違い、ある意味、人間臭くて。
これまで私達が「シャーロック・ホームズ」と聞いて思い描いてきた人物像とは、大きくかけ離れているような気すらします。
でもでも。
もしかすると、それが「老いる」ということ、「人生の晩年を迎える」ということなのかもしれないなぁと思ったのでした。
若い頃には気が付かなかった過ちを、客観的に見て、悔いることが出来るようになる・・・。
それは、もう、周りの親しき者達が、皆、逝ってしまっている孤独からくるものなのかもしれません。
とにかく、イアン・マッケランの演技が圧巻なのです。
物語は、93歳のホームズと、回想シーンのまだ現役だった30年前のホームズとが描かれ、進んでいくのですが。
93歳のホームズは、本当に年老いてて。
杖が無いと歩けなかったり、ベッドから落とした物を拾おうとして、自分がベッドから落ちて怪我をしてしまったりと。
切実な「老い」を感じさせるのです。
また、記憶も曖昧になってはていて、大切な事なのに、どうしても思い出せない。
そして、過去の記憶を鮮明にさせる為に、日本の山椒が記憶に良いと信じ、ひたすら山椒を食べ続けている。などなど。
なんか色々切ないです。
一方、その30年前、まだ探偵として現役だったホームズは。
その時でも、もう60代ではあったものの、姿勢、歩き方、話す内容等も、ある意味傲慢ともいえる自信に満ち溢れていて。
60代と90代。
同じ人物なのに、その30年の年月を経た変化が凄く表れていて。
流石、イアン・マッケラン!!
名演技でした。
凄く良かったのです~(≧▽≦)
そして。
年老いたホームズに心酔するロジャー少年も、凄く良かったです。
戦争で父親を亡くし、母と二人きりのロジャー。
彼は、母親の事を、どこか馬鹿にし、そして、かつての名探偵ホームズに心酔しきっているのですよね。
利発で賢いロジャーは、推理力にも冴えていて、まるで、小さなホームズのようでもあります。
けれども、母親は、ロジャーがホームズと親しくなっていくことを快く思っていない。
彼女にとっては、きっと、ホームズが気難しくて威圧的な扱いづらい老人なのでしょうね。
それなのに、息子は、自分よりホームズに懐いている。
彼女もきっと、孤独だったのでしょう・・・。
その辺りの人間関係の心理も興味深かったです。
そしてそして。
ホームズに因縁のある日本人・ウメザキを演じた真田広之もまた存在感がありました。
がしかし。ホームズが日本を訪れるシーンで描かれる日本は、どことなく中華風な感じもして(笑)
なぜ、外国の方が日本を描くとこうなるのかなぁ~と、毎度のことながら思ったりも(^^;;
まあ、これは仕方ないのかな・・・。
一人の名探偵の現在と過去。
それに纏わる人々。
いつも、その中心にいた名探偵は、過去を振り返り、過去の自分とどう向き合うのか。
どうしても、随所随所に「人生の終盤」を感じさせる空気が漂い、切なくなってしまう「重さ」を感じ、考えさせられてしまうのです。
そして。
映画のラスト。
ホームズが、ワトソンやハドソン夫人、マイクロフトなど、既に亡くなった人たちに見立てた石をサークル状に並べ、その中心で祈りを捧げるシーンは、とても印象的でした。
切ないような、哀しいような、でも、とても尊いような。
あの時のホームズは、一体、どんな想いだったのか・・・と想像すると胸に来るものがあります。
物語を通して、ずっと、自分の過去や自分の内面と向き合う高齢のホームズの物語。
哀愁という言葉だけでは言い尽くせない、色々な重さ、尊さを感じずにはいられませんでした。
大好きなイアン・マッケランが、93歳になったシャーロック・ホームズを演じる・・・ということで、前売りも買って、とても楽しみにしていました。
原作となった、パスティーシュは、実は、冒頭だけ、Amazonのお試し読みで読みました。
・・・が、原書版だったので、結局、原作は買わず、でも、ちょっとだけネタバレというか、物語について知ってる状態での映画鑑賞。
因みに、映画を見て、原作も読みたくなりました。
そして、邦訳版を発見したので、原書では無く邦訳版にて、只今、Amazonで注文中(^m^)♪
原作を読むのも楽しみです。
■映画『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』予告編
かつての名探偵シャーロック・ホームズ。
30年前に探偵業から引退し、今は、海辺の家で養蜂場を営み、静かな隠居生活を過ごす93歳の老人になっていました。
しかし、彼の頭の中には、自分に引退を決意させた30年前のとある事件がずっと引っ掛かっているのです。
そして、今は亡きワトソンの代わりに、その事件の真相を書き上げなければ・・・自分が死ぬまでに、それを成し遂げねばならないと強い焦燥感に駆られているのでした。
その30年前の事件とは、ある男性からの依頼で。
死んだ子供たちと会話している・・・という妻を調査して欲しいというもの。
そして、その調査を進めている内に、ホームズは、その妻が夫の殺害計画を企てていることに気付くのでした。けれども、彼は、何らかのミスを犯し、その事件は未解決に。
自分も探偵を引退した・・・というもの。
あの時、自分が犯したミスとは一体何なのか?
ホームズに心酔する家政婦の息子・ロジャー少年と共に、今となっては、朧げになった記憶の糸を手繰りつつ、過去の事件と向き合うホームズの物語です。
シャーロック・ホームズのパスティーシュは数多くありますが、この作品は、そんなパスティーシュの中でも、珍しいタイプなのではないのかなぁと思います。
なんと言っても、ここで描かれている名探偵シャーロック・ホームズは、御年93歳。
もう、相棒だったワトソンも、大家さんだったハドソン夫人も、兄のマイクロフトもこの世を去っているのです。
身体も思うように動かなくなりつつあり、また、記憶力ですら衰えてきている。
そんな晩年の名探偵のお話なのですが、私は、凄くツボにハマりました。
イアンの熱演が、もう・・・(;_;)
まさか、ホームズの話で泣くなんて・・・(>_<)
でも。
賛否両論はあると思います。
というのも。
映画の予告編だけを見ていると、老いてなお矍鑠としたホームズが、少年を相棒に、何か事件を解決するサスペンス風な感じにも見えますよね?
年は取っても、若かりし日と同様に、冒険をしたり、推理をしたり・・・と。
でもでも、実は、ちょっと違ってて。
この作品は、推理やサスペンスというより、ヒューマンドラマなのですよね。
晩年のホームズが、探偵として生きていた若い頃を思い返し、その知識や推理力ゆえの傲慢さで犯してしまった過ちを悔いる・・・というような。
しかも、もう高齢故に、記憶も曖昧になってきていて。
30年前の過ちを思い出さないといけないのに、どうしても、それが思い出せないという焦り。苛立ち。
そんな自分の内面と向き合うホームズの姿は、何事も理路整然とした思考で真実のみを追求してきたかつての彼と違い、ある意味、人間臭くて。
これまで私達が「シャーロック・ホームズ」と聞いて思い描いてきた人物像とは、大きくかけ離れているような気すらします。
でもでも。
もしかすると、それが「老いる」ということ、「人生の晩年を迎える」ということなのかもしれないなぁと思ったのでした。
若い頃には気が付かなかった過ちを、客観的に見て、悔いることが出来るようになる・・・。
それは、もう、周りの親しき者達が、皆、逝ってしまっている孤独からくるものなのかもしれません。
とにかく、イアン・マッケランの演技が圧巻なのです。
物語は、93歳のホームズと、回想シーンのまだ現役だった30年前のホームズとが描かれ、進んでいくのですが。
93歳のホームズは、本当に年老いてて。
杖が無いと歩けなかったり、ベッドから落とした物を拾おうとして、自分がベッドから落ちて怪我をしてしまったりと。
切実な「老い」を感じさせるのです。
また、記憶も曖昧になってはていて、大切な事なのに、どうしても思い出せない。
そして、過去の記憶を鮮明にさせる為に、日本の山椒が記憶に良いと信じ、ひたすら山椒を食べ続けている。などなど。
なんか色々切ないです。
一方、その30年前、まだ探偵として現役だったホームズは。
その時でも、もう60代ではあったものの、姿勢、歩き方、話す内容等も、ある意味傲慢ともいえる自信に満ち溢れていて。
60代と90代。
同じ人物なのに、その30年の年月を経た変化が凄く表れていて。
流石、イアン・マッケラン!!
名演技でした。
凄く良かったのです~(≧▽≦)
そして。
年老いたホームズに心酔するロジャー少年も、凄く良かったです。
戦争で父親を亡くし、母と二人きりのロジャー。
彼は、母親の事を、どこか馬鹿にし、そして、かつての名探偵ホームズに心酔しきっているのですよね。
利発で賢いロジャーは、推理力にも冴えていて、まるで、小さなホームズのようでもあります。
けれども、母親は、ロジャーがホームズと親しくなっていくことを快く思っていない。
彼女にとっては、きっと、ホームズが気難しくて威圧的な扱いづらい老人なのでしょうね。
それなのに、息子は、自分よりホームズに懐いている。
彼女もきっと、孤独だったのでしょう・・・。
その辺りの人間関係の心理も興味深かったです。
そしてそして。
ホームズに因縁のある日本人・ウメザキを演じた真田広之もまた存在感がありました。
がしかし。ホームズが日本を訪れるシーンで描かれる日本は、どことなく中華風な感じもして(笑)
なぜ、外国の方が日本を描くとこうなるのかなぁ~と、毎度のことながら思ったりも(^^;;
まあ、これは仕方ないのかな・・・。
一人の名探偵の現在と過去。
それに纏わる人々。
いつも、その中心にいた名探偵は、過去を振り返り、過去の自分とどう向き合うのか。
どうしても、随所随所に「人生の終盤」を感じさせる空気が漂い、切なくなってしまう「重さ」を感じ、考えさせられてしまうのです。
そして。
映画のラスト。
ホームズが、ワトソンやハドソン夫人、マイクロフトなど、既に亡くなった人たちに見立てた石をサークル状に並べ、その中心で祈りを捧げるシーンは、とても印象的でした。
切ないような、哀しいような、でも、とても尊いような。
あの時のホームズは、一体、どんな想いだったのか・・・と想像すると胸に来るものがあります。
物語を通して、ずっと、自分の過去や自分の内面と向き合う高齢のホームズの物語。
哀愁という言葉だけでは言い尽くせない、色々な重さ、尊さを感じずにはいられませんでした。