昨日の日記にも書きました通り、明日から8月上旬まで、山口の実家に帰省であります!
実家ではPC環境が無いので、色々と書きたかった映画の感想なども、また、京都に帰ってからになっちゃいます(>_<) ううう。色々書きたかった・・・・・!
と、言う訳で。
映画館で見た作品、DVDやBlu-rayで見た作品、色々と書きたいのですが、7月は今日が最後の映画感想。
先日、DVDを購入した、ジェームス・マカヴォイ主演の『フィルス』なる映画の感想をば☆
・・・因みに、こちらがDVDのパッケージ。
「完/全/無/修/正/版」とかシールが貼ってあって、なんだか、イケナイDVDを買ってしまったような気分になりますが、普通に映画です(笑)
ただし、あまりに、お下品・お下劣・おエロ・不謹慎ゆえに、お子ちゃまは見ちゃダメよん♪なR18な映画でしたA^^;;
↓↓↓予告編はこちら。先ほどにも書きました通り、お下品・お下劣・おゲロ・おエロのオンパレードなので、マジで要注意なR18キケンな予告編(笑)
■映画『フィルス』予告編
予告だけで凄過ぎる・・・・・・(^^;;
私は主役の俳優さんお目当てで見たのですが、でもでも、このお話、嫌いじゃないですよ。
いや、寧ろ、好きかも!!??←マカヴォイ様効果かな??(笑)
アーヴィン・ウェルシュの同名小説を映画化したクライム・コメディ。
クリスマスのスコットランドで、日本人留学生殺人事件が起こり、その捜査の指揮を執ることになったのが、この物語の主人公・スコットランド警察の刑事ブルース・ロバートソン。
彼は、さる事情から、警部補への出世を強く望んでおり、この事件の解決で手柄を立てることにより、他のライバルたちを蹴落として、出世してやろうと目論むのですね。
とはいえ。
正々堂々と出世レースを戦うのではなくて。
ライバルたちを罠にハメたり、ワザと足を引っ張るようなことをしたり・・・とルール無用な汚いやり方で、同僚たちを出世レースから引きずり落とそうとする。ブルース、サイテーです。
しかも、彼自身、アル中、ヤク中、同僚の奥さんと不倫はするは、売春宿では遊ぶは、人種差別、女性差別などの差別主義者だわ、で。
こんなクズいヤツが警察やってて良いのか!!??って野郎なんですが・・・。
果たして、日本人留学生殺人事件解決を機に、彼は、警部補に出世出来るのか?
そして、この事件の捜査を進める内に、ブルース自身、彼の幼い時のトラウマや心の闇と向き合わなくてはいけなくなり・・・・。
彼が抱えていた、重過ぎる過去の真実が明らかになった時・・・・・・・・・。
というようなお話。
っていうか、私、最初、これはクライム・コメディだと思って見ていたのですよね。でも、後半からは一転して、シリアスな悲劇に転落していく気がしましたです。
とにかく、冒頭から、主人公が、とんでもないロクデナシ野郎でして。
ほっっっっんとに、お馬鹿。
で。
この物語を楽しめるか(好きになるか)、否かは、このロクデナシな主人公をどれだけ許せるか、というか、受け入れられるか、共感できるか・・・によるのかなぁと思いました。
だから、多分、ダメな人はとことんダメだと思うのね。
私は、好きな俳優さん効果だからか、結構、この病んだロクデナシ野郎を愛おしいと思えたので、だから、この映画、好きなのです(^m^)
そんなこんなで、とにもかくにも、ロクデナシな主人公・ブルース。
刑事の癖に、アル中、ヤク中、不倫、売春、なんでもありなのですが、そんな彼が、強く出世を望んでいる理由・・・というのが。
7歳になる娘を連れて出て行った奥さんに未練があって。
自分が、警部補に出世すれば、奥さんは娘を連れて、自分の元に帰って来てくれるハズだ・・・と強く信じているのですね。
だから、手段を選ばず、何が何でも出世してやろう!と執念深く思っている訳なのです。
ここら辺りの彼の心境は、映画の冒頭から、奥さん視点で描かれているのですが・・・。
この、奥さんのモノローグ、最初から「??????」な感じで、ラストまで見ていると、なんとっ!!!と衝撃の事実だったのですが、ね(^m^)
それにしても。
何を根拠に、自分が出世すれば奥さんが帰って来てくれると思っているのかは知らないけど、その、執念のわりに(執念ゆえに?)、やってることは、ちっちぇ~んですよA^^;;
有ること無いこと同僚の悪い噂を流してみたり。
また、職場のトイレに、ゲイの同僚の名前を出して「○○○はゲイだ」とラクガキしたり。
しかも、それを、自分が第一発見者を装って、
「トイレに、○○○のことを誹謗中傷するラクガキが描かれてる!! こんな酷いことしたヤツは誰だよ!! 職場でこんなことがあって許されて良いのか!! 俺は○○○に、こんな酷いことをしたヤツを許さないぞっっ。これは差別だ!!」
と芝居を打ってみたり。
はたまた、同僚同士、誰が誰の悪い口を言っていた・・・とチクったりして、
「俺は、そんなこと言うモンじゃないって注意したんだが、アイツ・・・相当、お前の事嫌ってるみたいで~~~」
みたいに言って、相手が心を許したのにつけ込むとか。
はたまたはたまた、ある、彼の同僚は、夫人が浮気をしていることをノイローゼになるくらいに悩んでいるのですが・・・実は、その浮気相手と言うのはブルースで。
同僚の悩みや愚痴を聞き、親身に相談に乗っているフリをしつつ、裏では、ほくそ笑みつつ、その奥さんと寝ている。
等々、等々。
出世レースにいる同僚たちを動揺させたり、精神的に追い込んだりし、そして、自分だけが、着実に出世街道を歩もうとする・・・という。
でも、やってるコト、ちっちぇー!!!!
小学生男子かよ(--;;
ってブルースです。
もう、あまりに、やってることがちっちぇーっくて(笑)
めっちゃ笑えるのですが、でもでも。
そんな彼も、自分のプライバシーは一切、明かさないのですよね。
職場では、家庭がとても上手く行ってる、幸せアピールを欠かさない。
奥さんや娘の話を幸せそうに語る。
・・・・・せ、切ないのぅ。
やってるコトは、ガキんちょみたいなのだけど、そうまでして出世して、で、奥さんたちに帰って来て欲しいのですよね。
そこが、なんというか、哀れで。
なんじゃーかんじゃー悪いことしまくってるんだけど、でも、一人ぼっちの家で、幸せだった頃のホームビデオを見ていたりする姿は、可哀想なのです。
まあ、奥さんが出て行った原因・・・というのが描かれていないので分かりませんが。
彼が↑↑サイテー野郎だから、出て行ったのか。
はたまた、奥さんが出て行ったから、サイテー野郎になったのか。
そこら辺りは、分かりませんが、でも、悪ぶってて、実は、凄く哀れな男ブルース。
うん。
物語前半で、ブルースの事を「哀れ」だと思えたら・・・結構、後半、引き込まれて行くんじゃないかなぁと思う展開です。
最初は、お下品お下劣なお馬鹿な男に見えるブルースですが。
彼は、精神科に通っているようであり、何か、心の闇・・・というか、トラウマを抱えているっぽいのですよね。自分や他人の顔が、時々、動物に見えたりするのです。
で、物語が進むにつれ、彼は、自分の感情をコントロール出来なくなっていくのですよ。
そこに、彼が抱えている幼少期のトラウマが関係している訳なのですが。
彼が、極端な、人種差別・女性差別などの差別主義者なのは、そのトラウマ故なのかなぁと思いましたです。
差別だけに限らず、彼は、いつも、「自分だけが最高!」と思い込んでて、周りを見下したりしているのですが。
そういう上から目線な態度も、また、各種差別も、彼の幼少期の体験にある、大きな劣等感がもたらしてて、で、こういう大人になっちゃったのかもしれないなぁって。
もちろん、差別は最低だけど、でも、人間、誰しも、多かれ少なかれ、他人と自分を比較して劣等感を持つことってあると思うのです。
まあ、大抵の人は、劣等感を持った自分をも受け入れて、自分は自分、ありのままの~♪という感じで、大人になり、普通に生活をしていくのでしょうが・・・。
でも、どうしても消えない劣等感があったら??
幼少の頃から、大変優秀な弟と比べられ続けて来たブルース。
そして、その弟の死。
この弟の死とは、果たして、子供時代のブルースが、意図的に殺したのか、見殺しにしたのか、それとも、単に事故だったのか・・・そこまでははっきり描かれてはいませんでしたが。でも、子供の頃の、弟の死によって、ブルースの劣等感は、永遠に続くものになってしまった。
だからこそ、彼は、無意識の内に、色んな人たちを差別し見下し、自分は他人より優れているんだ・・・と何の根拠もなく盲信していたのではないか・・・と思うのですよね。
そう思うと、なんか、ブルースが、気の毒にも思えて。
嫌いになれなかったのです。
っていうか、彼も、根っこの部分では悪い人じゃない・・・というか。
同僚たちは散々な目に遭わせて、酷いコトしてたけど。でも、実は、人の痛みの分かる部分もあったと思うのですよね。
というのが。
彼が、街で、急病人の男性を助ける・・・ってエピソードがあるのですが。
発作を起こしたらしく倒れている男性と、その横で「誰か、助けて! アナタ、死なないで~」と妻らしき人が叫んでいるのに。
街の人達は、遠巻きに見てるっぽいだけで・・・。
そんな時、ブルースは、人垣をかき分け、飛び込んで行って、率先して救助活動をし、周りに救急車を呼べ!と指示したり、一生懸命でしたものね。
普段、いい加減ばかりやってる彼が、真剣な目をしてた。
そして、そんな彼の救護も空しく、その男性は奥さんと息子を残し死んでしまう訳ですが。
あの時、亡くなった男性の妻に凄く感謝されるのですよね。
そして、男性の妻は、自分の息子に、ブルースの事を、
「お父さんのことを、必死に助けて下さった方よ。立派な人でしょ。貴方も、この方のように、立派な大人になりなさい」
って紹介するのですよね。
この時のブルースの切なそうな、悲しそうな目がね・・・見てて、私も泣きたくなった。
彼自身、決して自分が、そんな立派な人間では無いことを一番分かっているのに。
それなのに、こうやって、凄く感謝されて。
居たたまれなかったんじゃないかなぁ。
そして、大切な家族を失って、絶望にいる母子を見て、きっと、自分も、死別ではないけど、もう奥さんも娘も自分の元には帰ってこないって心のどこかで確信していたのかも。。。。もしくは、弟を亡くしたことを思い出したのか。
あの親子に凄く親切にしていたブルースの姿こそが、本来の彼の姿なのじゃないかなって思えました。
このエピソードが無かったら、単なる、クズ野郎なんだけど。
ここで、彼の本心が垣間見えたというか。
凄く病んでいるんだけど、でも、心根は良いヤツなんだろうなぁって。
だから、憎めなかったのですよね、ブルースの事。
とはいえ。
あれだけ、好き放題酷いことをして、世の中、上手く行くわけがありませんよねA^^;;
結局、ブルースは、今までやって来たすべての悪事がぜ~~~~んぶ、バレちゃって。
あと、悪事もだけど、彼の病んでた、とあるコトも明るみになっちゃって。
出世レースどころか、制服警官からやり直し・・・という降格処分を。
いや、まあ、クビにならなかっただけでも良かったのかもしれませんが、あまりに、恥ずかしい事まで明るみになっちゃって・・・降格になっても、ちょっと職場には居られないんじゃね?って雰囲気。
てか。
冒頭の奥さんの描写で「?????」と思ったのですが。
まさか、こんな真相だったのなんて(>_<)
これは、全くの想定外の真相で、度肝を抜かれましたよ。ビックリしました。衝撃の新事実です。
で。
今まで、蔑んできた周囲の人達から、今度は、ブルース自身が蔑まれ憐れまれる立場になります。
そして、決定的だったのが、奥さんの再婚。
出世さえすれば、自分の元に戻ってきてくれると信じていた奥さんが、再婚してて、娘を連れて、仲良く家族で買い物をしている姿を目撃しちゃうのですよね。
しかも、その再婚相手の男性と言うのが、ブルースが差別しまくっていた、黒人男性で。
確か、物語の中で、ブルースは、
「まともな白人の女なら、黒人の男に●●●しない」
と酷い差別発言をしているのですが、そうやって、自分が一番差別していた相手と、自分の愛する奥さんが再婚してて。しかも、娘も、とても懐いてて。幸せそうな家族の絵が出来上がったのですよね。
本来なら、そこに、夫や父親として自分が居るはずなのに、そこには、自分が最も差別していた黒人の男性が居た・・・。
仕事も、家族も、何もかも失ったブルース。
・・・まあ、色々、自業自得とは思うのですが、でも、この結末は、本当に哀れでした。
そして、ラストのラストに彼が取った選択。
警官の制服をピシッと着て、死に向かった彼は・・・やはり、ハチャメチャやってたけど、実は、警官であることに誇りを持っていたのかな~とも感じました。
更に、彼が、友人に宛てた遺言ビデオレター。
それを見ていると、馬鹿にしているようで、実は、彼は、友人想いな人でもあったのかもしれない・・・と思えたのですよ。ただ、色々なトラウマや病んでいたせいで、それを素直に言えなかっただけで。
それは、もしかしたら、奥さんに対してもそうだったのかも・・・と。
そう考えると、本当に哀れな男だったんだなぁと切なくなりました。
そしてそして。
彼が首を吊るまさにその直前に、訪ねてきていた、彼が助けた例の親子。
彼らがもう少し早く着ていたら・・・ブルースは首を吊らなかったかな?とも思えて、益々、切ない。
・・・物語前半は、本当にお下劣なクライム・コメディなのですが、後半は、本当にシリアスな悲劇と破滅の物語で。
好き放題して、勝手に破滅した男の話・・・と言ってしまえば、それまでですが、でも、そこには凄く深い人間の心理があって。なんだか、この作品、大好きです。
そしてそして。
とんでもない野郎ブルースを演じた、マカヴォイ様、凄いです(//▽//)
エロも下品も、女装も、なんでもありな体当たり演技だったですよ。
口を開けば、フ●●ク、セ●クス、チ●●、マ●●、フ●ラなどの単語のオンパレード。
中指立まくりだし。
オ●ニーシーンまで・・・!
っていうか、あの、お髭ボーボーなままの女装シーンとか、ビックリでした。
アル中のむくんだ顔を表現する為に、本当に、毎日お酒を飲んで、顔をむくませたりした・・・と、何かで読みましたし。
今まで、悲劇の美青年とか、インテリ青年とか、運命に弄ばれる青年とか、プロフェッサーとか、そういう役のイメージが強かったので。
ここまで、汚れた役って言うのが、見ていて、とても新鮮でした!
そして、そのロクデナシっぷりも良かったです。俳優さんって凄い!!!!!
もしかしたら、私、ブルースがマカヴォイ様じゃなかったら、ただの「クズ野郎の話」で終わってて、ここまで好きにならなかったかも?(^m^)笑