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映画『セッション』

2015年04月24日 | 映画鑑賞記
今日は、一昨日見てきました、映画『セッション』の感想を。

・・・これ、本当に、凄い作品でした。
あまりに強烈な作品なので、もしかすると、好き嫌い分かれちゃうタイプの作品かなぁ・・・とも思ったのですが、でもでも、でもでも。
音楽が好きな人は、憑りつかれてしまう作品なのではないかなぁと思いました。


■映画『セッション』 予告編



主人公のニーマンは、名門音楽学校へと入学し、世界に通用するジャズドラマーを目指しています。

そんな彼は、ある日、学内でも鬼教授と有名なフレッチャーに才能を見出され、フレッチャーのバンドに入ることとなります。

名門音楽学校で、最高の教授のバンドに入れた・・・!

希望に胸を膨らませた彼を待っていたのは、有り得ないほどスパルタな鬼教授の授業。

モラハラ、もしくは、虐待と言われてもおかしくないほどの、酷い罵声。
完璧な演奏が出来なければ、椅子は飛んでくる、ドラムセットは破壊される、ビンタも飛んでくる・・・と暴力的な指導。

それでも、ドラマーとして成功したいという野望を持つニーマンは、そんな鬼教授のレッスンにとことん食らいついて行こうとします。

しかし、どんなにニーマンが食らいついて行こうとしても、いや、食らいついて行けば行くほど、教授のレッスンは厳しく、狂気じみたものにレスカレーとしてきて、やがては・・・・・・。




というストーリー。


とにかく、何が凄いかって、映画の最初から最後まで、ずっと続く緊張感。

学内でもスパルタなレッスンで有名と言う教授が、教室に入って来た瞬間に、ピリピリと張り詰める空気。
そして、ごく僅かな音程やリズムの狂いすら許さない、厳しい指導。。。。

本当にハンパない厳しさです。

なんというか・・・スポ根物の音楽バージョンと言いますか。

まさに、♪血の汗、流せ~~、涙を拭くな~~~♪♪って感じで。

本当に、血の汗流れてます。
・・・というか、血のシーンが多いのです(>_<)

もう、手が血みどろになるまでドラムを叩き続ける~とか。
その血で、ドラムが赤く染まるとか。

はたまた、大事な演奏会に行く前に、交通事故に遭った主人公が、大怪我を負いながら、意地でもステージに立つんだ・・・と、演奏会に駆けつけ。

大怪我をして血まみれの姿で、ドラムを叩く・・・とか。


血が苦手な私は、ちょっと怖かったです。



そして。

もう鬼教授のスパルタぶりがハンパない。

大学生という大の大人の男が、普通に泣いてしまうレベルに怖い、厳しい。

ぶっちゃけ、モラハラではないのか・・・というような罵声の数々。

それは、時として、ちゃんと正しい演奏が出来ている学生でも容赦なく切り捨てるのですよね・・・。

最初の方のシーンでの、太った男の子、可哀想でしたよね・・・。

本当は、彼は正しい音で演奏していたにも関わらず、

「自分の音程は間違ってるか?」

と聞かれて、

「はい」

と答えてしまった、自分の演奏への自信の無さが命取りになってしまったり。。。


はたまた、ちゃんと演奏できる学生でも、「楽譜を無くしてしまった」というだけで(いや、まあ、楽譜の管理が甘いのも、音楽をおる人間としては問題なのでしょうが。。。)、主奏者から降ろしたり。

とにかく、私なら絶対に辞めてる、付いていけない><と思う程の怖さでした。

ニーマンに対しては、特に厳しくて、ビンタはしてくるは、椅子は飛んでくるは、ドラムセットは放り投げられるは・・・。

深夜の1時になろうが、2時になろうが、延々延々ドラムを叩かせ続けたり。。。。


・・・まあ。
個人的にちょっと思ったのは。

音楽を愛する人なら、楽器は大事にしようよ・・・とツッコミ(笑)

だって、もう、容赦なく、ドラムセット投げるんだモン、先生! それは如何なものかとA^^;;

人格否定のような酷い罵声もさることながら、楽器投げはちょっと気になったです。


という感じで、とことん怖くて緊迫したレッスンシーン、演奏シーンの数々が続きます。

それは、もう狂気としか言いようがないのですよね。


でも。

こうやって、スパルタなレッスンの話だけを取り上げていくと、あかたも、その鬼教授が、人間失格のような人にも聞こえるかもしれませんが。

多分、音楽を離れたところでは、普通の人であると思わせるシーンもいくつかありました。


教え子だった卒業生が不慮の事故に遭ったと知って涙を流したり。
また、知人の幼い子供に愛想よく、優しく接してあげていたり。

そういう姿を見ると、別に、フレッチャーは全てにおいて偏屈な人間という風には思えなくて。

ただただ、音楽に対する情熱だけが行き過ぎてる人なんだなぁとも思えるのですよね。


ラストの方のシーンで、教授への暴力により退学になったニーマンと、行き過ぎた指導を密告され、学校を辞めさせられたフレッチャーが共にお酒を飲むシーンがあるのですが。

「私は、学生達が持っている以上の力を引き出してやりたかった。そのために努力して指導をしてきた。だから、その指導に対して、謝罪する気は無い」

みたいな台詞があるのですよね。

確かに、漫然としたレッスンの中では目覚めなかったかもしれない才能が、彼の、極限までのスパルタなレッスンの中で開花することはあるのかもしれない・・・とは思いました。

そう、この物語の主人公のニーマンのように。

だけど。

そうやって、極限までの狂気の狭間で、才能を開花できるのは、ごくごく一握りの、本当に数少ない人間で。

殆どの人は、その厳しさに付いていけなくなったり、才能の限界を感じて音楽を辞めたり、はたまた、うつ病になって自殺した学生も居た・・・みたいですし。

そう考えると、あんなに狂気なレッスンが良いのか悪いのかは、分かりません。

分かりません。


でも。

それでも、ジャズを愛し、一流の奏者をこの世に誕生させたい、今の時代に「ジャズ」というジャンルの隆盛を見たい・・・という熱意に憑りつかれてしまうのでしょうね。

フレッチャーも。

ニーマンも。

芸術を極めるには、かくも狂気と紙一重の世界なのか・・・と思うと、本当に体が震えました。

そして、そういう狂気の世界は、音楽も文章も絵も好きだけど、自分が楽しむ程度にしかやってこなかった私みたいな凡人には、決して垣間見ることのできない世界でもあるんだろうなぁと。

ごくごく一握りの、天才という人達が、そこから更に血を吐くような努力に努力を重ねた結果、到達できる世界なのでしょうね。


そしてそして。

予告編でも話題になっているラストシーンの9分は、もう、圧巻でした。
圧倒されました。

このシーンの為にも、映画館の大きなスクリーンで見て良かったと思います。

あのラスト9分は、映画館で見てこそ!!だと思いました。


そうやって、怒涛の9分を見せつけられて、いきなりのエンドロール。

まだ、ラストシーンの余韻が残っていて、エンドロールが終わってからも、しばらく、放心状態でした。

そして、その後は、感極まったのか無性に泣きたくなりました。

何に対して泣きたいのか、自分でも分からないのですが、ただただ泣きたくなりました。

私も音楽は好きなので、月並みな言葉で言ってしまえば、「感動の涙」なのでしょうか?



あまりにもはスパルタレッスンなので、もしかすると、好き嫌いはあるのかもしれませんが。
私は、魂が震えるほど好きな作品です。

こういう芸術関係の作品では、『ブラックスワン』や『四分間のピアニスト』を見た時も、凄い!って思ったのですが。私の中では、この『セッション』がNo.1になりました。

音楽が好きな人、音楽をやっている人、音楽をやっていた人・・・音楽に限らず芸術を愛する人には、お勧めしたい作品です。

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