beads cafe の片隅で

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能面を見る

2014年05月09日 | アート
能面を制作することを、「面(おもて)を打つ」と言うのだそうです。

先日、うちのリビングの机の上に能面の展覧会の招待ハガキが一枚。
夫に聞くと、知人のSさんが趣味で制作されていて出品されるとのこと。
不思議なんだけど、なぜか無性にこの目でその面が見てみたくなり、銀座まで出かけてきました。

「打つ」とは、「魂を打ち込む」に通じる言葉なんですって。







私、なんだか本当に魂を感じてしまった・・・。
今、この画像を見ているだけでも、少しドキドキしてしまう。

能については以前から興味はありながらも、お恥ずかしながらまったくのド素人で、
Sさんに色々説明していただく。
まったく、母国の伝統文化を外国の方から手ほどきを受けるなんて、情けない話だわ…。
(Sさんは、大学で中国語を教えていらっしゃる中国の方なのです。)

しかし、ひとつひとつの面はどれも引き込まれそうになるくらいに美しい。
恐ろしい般若も、意地悪そうなおっさんも、痩せこけた老人の面ですら美しさがある。



Sさん作「山姥」

世間一般で山姥というのは、恐ろしい形相で山から下りてきて子供に襲いかかったりするばあさんという
認識が強いけど、能では、何だか物凄い霊力を持った山の精のような位置づけなんだそう。

(ほかにも小面など若くて美しい面も沢山あるのに)「なぜ山姥を?」と聞くと
「コウイウ、チョット妖怪ノヨウナ、不思議ナソンザイノモノニキョウミがアルノデス」とのこと。

表情をよく見ると、目はどこか空を見据えたまま、口は半開き。
迫力はあるんだけど何かに憑かれたような、深みのあるお顔。

ひとつの面を色々な角度で見てみたり、肌の具合を比べてみたり、
やっぱり女は若いほうがぱっと見はかわいいけれど、年増は年増でいい味だしてるワとか、
いるいるこういうおじさん!とか…。
会場内を何周しても飽きない。

何より、人間の業のようなもの、哀しみが人間以上に伝わってくるような気がした。
ちょっと私の中で、能に対する扉が少し開いたような経験。


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