サバールってセネガルの太鼓の総称だけど、本当はサバールダンスの事らしい。確かにサバールという太鼓はなくて、一つ一つ大きさの違いで名前が分かれている。ンデール、ブンブン、リーダーだけが使うゴロンババスなど主に6種類。
おそらくセネガルが発祥なのだろうが、毎週週末とか結婚式、誕生日などには『サバールパーティ』というものが開かれ、プロの演奏家やダンサーたちが喚ばれる。たいていは、主催者がお金を支払い、自分の家の庭や家の前の道路などで開催され、それを近所の人たちも一緒になって楽しむのだ。
ギニアに魅せられ、行ったり来たりしている
メタルギニーの高木君とダンサーの美香ちゃん。前回来た時もギニアに半年行って帰ったばかりだったが、今回も3ヶ月またギニアに行っていたそうで、ギニアで作らせているという素敵なお土産持参で遊びに来てくれた。
ダンサーの美香ちゃんは初めてギニアに行ったときに、本当は太鼓を習いたかったらしいが「女はだめ。ダンスを踊れるようにしなさい。」と言われ、しぶしぶダンスレッスンを受けた。ギニアと言えば「ドゥンドゥンバ」。ここからドゥンドゥンバに魅せられ、本場の先生たちに習い、今では彼女自身がドゥンドゥンバのクラスを持って全国あちこち飛び回る忙しさだ。(彼女たちとは3年前にMAUで韓国へ行ったので、その
演奏の一部が見られます。)
「今回は『サバールダンス』を習って来たんです。ギニアでサバール?って思って今まで習わなかったんだけど、ギニアのサバールパーティってもの凄く楽しくて、ギニア人も大好きなんです。あちらの金持ちが結婚とかのパーティをやるときはたいてい5日くらいぶっ通しでパーティを開き、プロの演奏家たちに来てもらうんですが、そのときに、1日目はドゥンドゥンバパーティ、2日目はサバールパーティ、3日目はドゥンドゥンバ・・・っていうように交互にやるんです。だからそれができないとプロとしていろいろなところに喚ばれないので、とっても重要なダンスなんです。」
彼らはサバールパーティを撮影するために、お金を払ってパーティを主催した。広場に三々五々集まって来た普段着の人々。ミュージシャンもTシャツにGパンなど、様々だ。そこにはサバールを叩く人は一人もいない。ジェンベ、ドゥンドゥンといったギニアの伝統的な太鼓ばかり。しかし、その上でエレキギターでカッティングをするお兄ちゃんもいる。これがなかなかポップな感じで楽しい。ダンスもセネガル人たちがよく踊っている、縦方向にのびる感じの踊りだ。踊りたくてうずうずしている女性ダンサーたちを、マイクを持って歌う(これも取り合い)男性が「はいはい、一人づつ踊ってね。」と制しているのがおかしい。こんな感じが延々と続く・・・。
じゃあ、セネガルのサバールパーティはどんなのかな?と思ったら、今回はセネガルまで行き、その模様のビデオも見せてくれたのだ。
セネガルでももちろん、毎週末に道ばたや庭などあちこちでサバールパーティが開かれる。もちろん楽器はサバール隊のみ。ドゥドゥのような中心人物がしきりながら、まるでコンサート会場でやっているかのような統率。衣装もラメやスパンコール、化粧もバリバリのダンサーたち。観客も全員がありったけのお洒落をして参加する。ギニアの野性的な感じとは全く違い「サバールダンスショー」という感じだ。
美香ちゃん曰く、「ギニアのダンサーって『自分の為に踊る』けど、セネガルのダンサーは『人に見せるために踊る』って感じなんです。だから私にはギニアのほうが合ってるみたい。」
セネガルのほうが都会的で物価もギニアに較べたらだんぜん高い。ゴレ島まで行った写真は本当に美しかったが、すぐに仲良くなれてしまうあっけらかんとしたギニア人たちに魅せられている彼ら。前回は隣国マリまで車で30時間以上もかけて行ってマリのサバールダンスパーティも撮影していた。音楽では食べていけないので若者の継承者がいないので、国の演奏家たちがどんどん高齢化しているそうな。演奏中におでこにぺたっとお札をはってもらうのが「よかったよ」という挨拶のようなものなのだが、お金をもらった途端に太鼓の音ががらっと変わる。わかりやすいミュージシャンたち。伝統芸能がマリから消えてしまうのも時間の問題ではないか、と彼らは危惧している。
西アフリカの『サバールパーティ』を比較するだけでもいろんな事がわかるのだな~。いやあ、大変面白かったです。ありがとう、高木君&美香ちゃん。
さあ、そんな西アフリカ事情をふまえて・・・6/10は西荻サンジャックで「Andando」ライブです!遊びに来て下さいね!!!