みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
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吉例顔見世大歌舞伎 昼の部

2007年11月12日 | 歌舞伎
 毎年11月は歌舞伎座の顔見世です。顔見世というと、京都の年末の恒例行事である南座の顔見世を思い浮かべます。江戸時代は役者と各芝居小屋が1年契約を結んでいました。顔見世はその1年の役者の座組の顔ぶれを見せる興行です。今はその名残ですが、11月の顔見世公演では歌舞伎座正面に櫓が組まれています。
 11日(日)昼夜通しで観劇しました。実は、久々の休みだったので、疲れて時々眠気に負けた箇所もありましたが(苦笑)

一・『種蒔三番叟』
 歌舞伎にはいろいろなバージョンの三番叟があって、いくつか見ていますが『種蒔三番叟』は初めて見ました。梅玉さんの三番叟、孝太郎さんの千歳です。顔見世では三番叟を演じるのも慣わしだとか。翁は出てきませんが、おめでたい上品な一幕になってたと思います。

二・『傾城反魂香 土佐将監閑居の場』
 このお話は、たぶん私が歌舞伎で一番よく見ている演目かと・・・。一番最初に見た時の又平は吉右衛門さんで、おとくは雀右衛門さん。その後は猿之助さんの又平に勘九郎(現・勘三郎)や富十郎さんと芝翫さんで見ています。今回は吉右衛門さんの又平と芝雀さんのおとくです。
 鬼平や由良之助といった役どころの吉右衛門さんも好きですが、こういうお役の吉右衛門さんも好きです。吃音で苦しむ又平の姿、死のうとするところ・・・・もう涙出てしまいます。芝雀さんの女房おとくは初めて見ました。しゃべりな女房ですが、でしゃばらないで夫を愛情いっぱいに健気に支えている素敵なおとくでした。又平が師匠に苗字を許されて、おとくの鼓に合わせて又平が舞うところですが、芝雀さんはちゃんと鼓を打ってましたね。確か勘三郎さんの時もご自分で打っていらしたはずだと思います。専門の囃子方が打ったほうがそれは音は良いでしょうが、こういうのも味があってよいなと思いました。

 修理之助の錦之助さんもすっきり前髪の役ですし、歌六さんの将監もよかったです。

三・『素襖落』
 幸四郎さんが太郎冠者・・・・おそらく私はこの手のお役の幸四郎さんは初めて見たと思います。貫禄ありすぎてむしろ大名以上に大名みたいです(笑)
 那須与一語りといえば能『屋島』の間狂言というイメージがあります。(私が見た『屋島』は小書きなしなので、見ていませんが・・・・)このあたりで意識なくなってしまったんで・・・・これ以上のコメントは控えます・・・・・。

四・『曽我綉侠御所染 御所五郎蔵』
 4年前の『曽我綉侠御所染』の通しを見て以来です。通しで時鳥殺しから見たほうが分かりやすいですが、御所五郎蔵の場面のみでも見所たくさんですし、松嶋屋贔屓としては外せない五郎蔵です!!!前回の通しは皐月(時鳥と二役)は玉三郎さんでした。今回は主な配役は皐月が福助さんという以外はあまり変わらず
 今回は(前回も、ですが)3階でしたので、両花道を使っての華やかな場面はあまり見えませんが、辛うじて仮花道の五郎蔵は見えました。七五調の台詞が心地よく、白地に墨絵の衣装も素敵でスッキリかっこよく・・・。(贔屓目ですが何をやってもかっこいいと思ってしまうんで・・・・)
 土右衛門の左團次さんたちや門弟たちと五郎蔵と子分たちの対立も野暮対スッキリと分かれています。野暮ったいといっても土右衛門門弟たちも面白くて好きですけど(笑)二人の喧嘩を止める留め男の菊五郎さん。ほんの少しの間ですが、3人が揃うと豪華だなぁ~と思いました。
 福助さんの皐月は、五郎蔵のことを思うがための苦しい縁切りを切り出す姿が切ないですが、やはりこの場面だけですと分かりにくいところがありますよね・・・。孝太郎さんの逢州は前にも見ましたが、機転が利いてかわいらしいです。前よりも一回り立派になった逢州でした。
 
 最後、暗闇の中で間違って逢州を斬りつけてしまうところ、赤地に白い銀杏模様の襦袢が色っぽく、逢州が抵抗して懐紙をばらまくところなども歌舞伎独特の殺しの場の美しさが感じられました。最後は土右衛門が妖術を使って現れ、またお互いに斬り合います。最後は、切口上が入りました。

 前回通しで見ていると、今回は物語の展開に少し物足りなさを感じてしまいました。が、五郎蔵がかっこよすぎたんで満足!満足!です(笑)また時鳥殺しの場から、五郎蔵と皐月の二人が死ぬところまで通してみたいです。