肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

07-3食道静脈瘤の内視鏡的治療 注入時ムービー

2007年12月29日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤
      
このムービーは食道静脈瘤に薬液(5%EOI)を注入するときのものです。胃カメラで静脈瘤を確認して胃カメラの先端から細い針を出して、その針を静脈瘤に刺し、血管内に入っていることを確認後薬液を注入します。この手順を何回か繰り返してその日の治療が終了します。止血にはヒートプローブを使用しています。
私たちは、血管内の注入状況が把握しやすいように薬に青い色をつけて、静脈瘤ないの薬の入った範囲を把握するようにしています。ちょっとした手間ですが非常にわかりやすく治療効果をあげていると言えます。2013.6.22薬液の(5%EOI)追加

      

07-2食道静脈瘤 内視鏡的静脈瘤硬化療法 EIS

2007年12月29日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

この写真は実際に、食道静脈瘤に硬化剤を注入しているときのものです。左の写真の左側にチューブのように見えるのが胃カメラから出た注射の針です。この中を薬が通って静脈瘤へ注入されます。注入された静脈が青くなっているのですが、これは、私たちの流派のやりかたで、青い色を薬液につけることでどの範囲に薬が入ったかが非常にわかりやすくなり、効果的な工夫です。意外とこの工夫がされていない施設が多いです。

右の写真は、血管造影の機械で放射線透視を行い、薬液の入った血管の範囲がお腹の中のどの辺までなのかを把握しながら、危険な血管などへの注入を予防したり、効果の出る血管の範囲を予想して治療を繰り返します。

この治療は、出来上がった静脈瘤であれば4回前後で私たちの経験では終了します。週一回ペースで順調に行えれば、1カ月半くらいで治療が終了します。
一回あたりの治療時間は15分から30分くらいです。これは、上達度でかなり違います。

07-1 食道静脈瘤の治療 イラスト

2007年12月29日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

このスライドは、内視鏡的静脈瘤硬化療法の状態をイラストにしたものです。胃カメラにバルーンをつけて、食道の中でふくらませて、血流をせき止めて静脈瘤に薬を注入した際に逃げないようにしています。

薬液は胃カメラの先からでる針を静脈瘤に穿刺して、注入します。1回の治療に要する時間は15分から30分程度です。
術後、食べ物や水が使える感じや、しみていたい感じ、ギューって収縮するような痛みがでることがあります、熱が出る方もいます。3日くらいでだいたい収まってきますが、その間の食事は、突っかからないようなものを中心に用意するようにしています。

06食道や胃の静脈瘤の内視鏡による治療

2007年12月29日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

食道静脈瘤の治療には、外科的治療と内科的治療があります。近年内視鏡による治療が発達し、外科的治療の数は減っています。しかし、内科的に治療できず外科的治療を選択する場合がないわけではありません。
当院では、内科的治療が主流となっています。その中でも内視鏡的治療がほとんどです。
スライドは、内視鏡的治療の主なものを並べたものです。

1-1の血管内注入法が胃カメラを通して針を静脈瘤内に硬化剤という薬を注入して、血管内に炎症を起こして血栓を作り静脈瘤が無くなってくると言う治療です。注入時に痛みを感じる方がいますが、胸のところのつまるような感じがある人が多いです。治療時間は20分前後です。この治療を週一回、もしくは、2週に一回行って、最終的に4回前後行うことでほぼ消失させることができるというものです、施設によってもやり方が違ったりするところがありますが、最終的には2-2のヒートプローブ(アルゴンプラズマ凝固法を使う施設が多くなってきている)による焼灼療法で地固めといって、小さい血管を消失させる治療を組み合わせて再発率を低下させています。

血管内注入法は、技術を習得するのに時間を要することから、最近はEVL(静脈瘤に輪ゴムをかけてしばって血流を停めて消失させる方法)が急速に普及しています。この治療は、薬液の注入法より血流の遮断される範囲が少ないため、静脈瘤の種類によっては不十分な治療となることがあり、再発しやすくなる欠点がありますが、簡便さと効果の出現が早いことから肝臓の予備能が低い場合にも十分治療が可能という利点があります。

CAというのは、瞬間接着剤を静脈瘤内に注入する方法で、胃静脈瘤に主に使用されます。血管内注入なのですが、血管内に入るとかたまり静脈瘤の血流を遮断するものです、固まった部分が後から、胃潰瘍になってでてくるのが特徴です。血管の中で固まるのが比較的早い場合や、うまく血管内に注入できない場合など難しいことがありこれも経験の積み重ねが要求される治療法です。

05食道静脈瘤の出血(破裂)に伴う変化

2007年12月29日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

このスライドは、左側は出血(破裂)状態のもので、血を見ると具合悪くなる方は、みない方がいいかもしれませんが、、、左の上が勢いよく出血している状態、これは、静脈瘤の中の血液の圧力が強かったり、血管が破れた穴が小さい場合に起こります。左下の破裂状態は、泉がわき出ているような出血の仕方で、圧が低かったり、穴が大きかったりする場合に起こります。どちらも胃カメラで観察したときに診断され、止血が必要となる状態です。

スライドの右側は出血がとまったときに起こる変化で、破裂したところにかさぶたが着いた状態で、その色が赤っぽいか白っぽいかで、赤色栓、白色栓と名前が変わっています。出血後このような印がある場合がほとんどなのですが、無い場合があり診断に苦労することがあります。

04胃静脈瘤

2007年12月29日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

肝硬変などの門脈圧亢進状態で出現してくる静脈瘤にはいろいろあるのですが、この写真は胃にできてきた静脈瘤のものです。写真の左が正常の胃の頭側、右が胃静脈瘤の部分です。右の写真のさらに左側にもこもこした盛り上がった形の静脈瘤がわかるかと思います。黒い棒みたいにみえるのは、胃カメラの部分です。反転といって、胃カメラの先端を180度曲げることで食道と胃の境目を見上げてる写真です。

この部分にできる胃静脈瘤を特に孤立性胃穹窿部静脈瘤(こりつせいいきゅうりゅうぶじょうみゃくりゅう)といって出血(破裂)すると、大量になるため出血死が起こることがあり、命に関わる静脈瘤といわれていました。現在では、内視鏡的静脈瘤硬化療法や血管造影による治療(B-RTO)などにより、内科的な治療が可能な静脈瘤となっていますが、それ以前は手術しか対応できない、治療が困難な静脈瘤の一つでした。

03食道静脈瘤

2007年12月29日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

肝臓が硬くなってきて、門脈圧亢進状態に入ってくると、門脈の血流が食道側に増加して、食道静脈瘤を形成してくるパターンがあります。この写真は左が正常の食道で右が治療が必要となってきた時期の食道静脈瘤です。
食道静脈瘤が出てきた場合、出始めに急に悪くなるか違いますので3ヶ月以内に再チェックをして出血しやすい静脈瘤に変化していないかをチェックするようにしています。安定してくると、半年や1年に1回のチェックでも十分となってきますが、急速な悪化や静脈瘤の上に写真の右のような赤い色が出てくると、粘膜が薄くなって血が透けて見えてきている状態となり出血(破裂)しやすいくなってきますので、内視鏡的静脈瘤硬化療法などの治療が必要となってきます。

出血による、肝臓の負担が一気に増して肝不全となり命に関わることを防ぐことが治療の目的と言えます。

02門脈圧亢進症の原因

2007年12月29日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

門脈圧亢進状態がどうやって起こってくるか、わかったようにスライドでは示していますが、これ以外にもいろんな因子が有ることが知られています。門脈の血流の状態は圧だけでも説明できないですし、食事の前後や寝てるときなども圧が変動していて、言ったり来たりすることもある血管でもあります。

大まかにはスライドに示すように、肝臓が硬くなったり血管の流れがスムーズでなくなる状態が理解しやすいので説明としては一番にあげています。そのつぎには、血流の増加ですが、これがなぜ起こってくるかは、難しい問題で、まだまだわからないことが多い病態です。起こった現象に対して同治療していくか、それが今の医学の限界なのだなあと感じる部分でもあります。

01門脈圧亢進症について

2007年12月29日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

肝硬変になってくると、肝臓へ流れ込む血管である、門脈の血流が、流れにくくなって圧がかかり、脇道ができてきます。これを門脈圧の亢進状態といいます。
写真の上は正常の肝臓の門脈が写っている血管造影の写真です。橙色の矢印に沿った血管が消化管からの血流を一気に肝臓の運んでくれる門脈です。
写真の下は、門脈圧が亢進した患者さんの門脈の写真です。肝臓へまっすぐ流れる血管の他に写真の右側に太くうねうねと発達した血管があります。この例では左胃静脈から食道周囲の静脈へと血流が逃げて行っている状態です。このような血管が何種類か有り、食道や胃に入りこむと静脈瘤を作ることになり治療が必要な状態となることがあります。