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肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

札幌地裁で薬害肝炎の和解成立 北海道では初めてかも

2009年09月01日 | 肝炎救済に関連して

道新の9月1日朝刊の記事です。1人でも多くの人が救われるように、いろんな方法がとられるといいですよね。
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インターフェロン勉強会報告 第2弾 新薬について

2009年09月01日 | 学会研究会報告新聞記事など

新薬の検討
HCVのウイルスの型が1型の無効(インターフェロン中ウイルスが血中から消えない)再燃(インターフェロン中血中から消えてその後出てきた)例へのテラプレビルの併用研究がされています。リバビリンとペグインターフェロンをどう組み合わせたら効果が出るのかという視点で、3剤合わせたり、テラプレビルとペグインターフェロンだけを組み合わせたり、この研究で厳しい点は、阻害薬が耐性ウイルスをつくり出してしまうことを避けるため、4週で10分の1(1LogIU/ml)低下、12週で100分の1(2LogIU/ml)低下、24週でウイルスが消えなかったら中止とすると言う慎重な研究であることです。逆に言うと早く消えていく人しか最後までは治療できないってことですね。
中断も含めての治療効果では、テラプレビルを12週(トータル24週)か24週(トータル48週)併用できた3剤併用パターンでは無効例であった患者さんでも40%弱のウイルス消失(SVR)が得られていて、再燃の患者さんであれば70%前後のウイルス消失(SVR)が得られている点がとても頼もしいと思いました。期間としては24週も48週もあまり差がないというのは、短い期間でも十分な効果なのかもしれないということかもしれません。

SPRINT-1という試験についても話がありました。これは、タンパク合成阻害薬としてボセプレビル(Boceprevir)を使用しているもので、インターフェロン治療が初めての人たちを集めて行ったものです。先にペグレベを使ってウイルス減らしてからボセプレビルを使う方がいいか最初から使った方がいいかと言うことも検討されていましたが、結果としては最初から使った方がいいと言うものになっていました。この試験で気になったのは貧血以外に味覚障害がでてくる点だったそうです。また、貧血についてはエポジンを使って貧血での脱落を減らしていいくことになっていました。

SCH900518という新薬の安全性と効果について報告がありました。初回治療例でペグイントロンレベトールとこの薬を使うというものですが、ウイルスの消失カーブは早かったです。トータル3週間しか使わないのでウイルス消失率はでていません。

MK7009という新薬では、genotype1の患者さんでペガシスコペガスと併用する方法を使っていました。例数は少ないので、可能性として期待したいところですが、4週以内のウイルス消失率が70から80%と高率(使わないと10%いかなかった)であり、とても期待されています。最終的な結果はまだ出ていませんが、安全性が確保出来ればとても頼もしいなと思いました。

Aliniaのゲノタイプ1での初回治療と無効例でのの試験が報告されていました。まだ投与完結した場合の効果ではないので、途中経過ですが、その間の効果としては、併用療法に追加して差があるという感じではなさそうだといっていました。エジプトではゲノタイプ4だったので、ウイルスの型の違いのせいなのか、今後の研究が待たれるところかなと思いました。

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