肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

第32回北海道門亢症研究会報告 大成功ってことで

2022年03月14日 | 学会研究会報告新聞記事など
 
 
 会場はこんな感じで、真ん中にメインのスライドスクリーン、左右に座長席をつくって、カメラもパソコンとは別に配置、ミキシングの機械を間に入れてハウリングを予防する形。いやいや、これは私にはできませんわ。。。北見と前橋にもスタッフが配置してくれて準備してくれました。
本当に感謝です。

第32回北海道門亢症研究会報告 今回も面白かったです。

以下、川西の聞きながらメモです、誤字脱字内容間違いあり得ますことお許しください。
が会場の雰囲気が伝わっていただければ、
新井先生に確認後、ブログで公開していきたいと思います。
参加33名 パネリスト4人のかたちでした。

開会の辞 山口先生からの挨拶 座長なども初めての体験で緊張しているとのこと、とても初めてには見えなかったです。

一般演題
『当院の食道静脈瘤治療の変化』
札幌厚生病院 肝臓内科 医長 山口 将功 先生
佐藤先生が亡くなったあと、治療方針が変わってきたことを報告
EISLを中心に変化、2016年までは2.2回の治療だったのが、1回治療の入院パターンで退院、1.5回に減っていること
再発率が上がっていない感じ、アルコールやがんの悪化での破裂が中心で、治療後の再発はほぼ無かったと言うことで治療の確実性が相変わらず担保されていることがわかりました。
動脈穿刺の合併症は、2017年以降はなくなったと言うことで、より安全が保たれる治療方針になったことがうかがわれました。
質問ではF0RC陽性の症例ではない症例については矢崎先生の方から治療適応ではないことの指摘あり、
それでも、予防的にやられていたことは再発を減らすことにはつながったかなと。
肝がんの治療の進歩に伴い静脈瘤の出方やPHGなどの出方があったり、また治療法の変遷がありそうと感じました。

『肝移植後に発生した胃食道静脈瘤の治療経験』
小林病院 内科 内科顧問 矢崎 康幸 先生
門脈血栓による門亢症の悪化9年経っての治療、非常に綺麗な治療効果で気持ちよく見ていました。
治療後の側副血行路のでき方なども理想的な症例でした。
ステロイドを治療後中止していたため急性副腎不全になったことで脳症のような症状が出ていたこと、薬の再開などは注意が必要と思われました。幸い再開後すぐ症状が改善したとのこと。
厚生病院の山口先生から自己免疫性肝炎などのステロイドの減量などでも気を付けて行かないとかなあと感想がありました。断薬の検討は非常に難しいのかなと思いました。

特別講演
『HCV治療後の門脈圧亢進症を考える 』
前橋赤十字病院 消化器内科  部長 新井 弘隆 先生

C型肝硬変におけるDAAの治療の状況などエビデンスを示しながら説明していただきました。
ポイントオブノーリターン
DAAによるSVRをえられてもなお、門亢症の改善がなく悪化する症例もあることが今後の課題でその指標として治療前のFib4が8.41が悪化のラインとなっている研究を教えて頂きました。
血小板数が少なくなってる症例などに内視鏡を行うようにして、静脈瘤のチェックする症例の絞り込みを行いながらフォローしているとのこと
質問では、Fib4の改善があった症例での検討などを聞いていましたが、その辺の検討は今後とも継続という感じでした。
BRTO後の食道静脈瘤の悪化症例について、PSEを追加することの意義が話され、適応としては、HVPGなどの急激な上昇がある症例などが適応としてはいいのではと話していました。
沢山の症例からいろんな学びがあり、とても勉強になりました。
Liveでの質問などができるのってやっぱりいいですよねえ。

閉会の辞では
33回が北大の荘先生、34回が札医の阿久津先生に当番世話人をお願いしていることを伝え、今後ともみなさんの協力で続けていきたいと川西の方から話しました。来年は2023年3月11日(土)を予定としています。今後ともよろしくお願いいたします。
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第32 回 北海道圧亢進症研究会
 
代表世話人 手稲渓仁会病院 副院長 辻 邦彦 先生
当番世話人 札幌厚生病院 肝臓内科 医長 山口 将功 先生
日時 2022 年 3 月 12 日(土) 14:00〜15:40
開会の辞 14:00〜
 当番世話人 札幌厚生病院 肝臓内科 医長 山口 将功 先生

一般講演 14:00〜14:30  各 15 分 
司会 肝臓クリニック札幌 院長 川西 輝明 先生
『当院の食道静脈瘤治療の変化』
札幌厚生病院 肝臓内科 医長 山口 将功 先生

『肝移植後に発生した胃食道静脈瘤の治療経験』
小林病院 内科 内科顧問 矢崎 康幸 先生

特別講演 14:30〜15:30
司会 札幌厚生病院 肝臓内科 医長 山口 将功 先生
『HCV治療後の門脈圧亢進症を考える 』
前橋赤十字病院 消化器内科  部長 新井 弘  先生

閉会の辞 15:30 15:40
代表世話人 手稲渓仁会病院 副院長 辻 邦彦 先生

共催 北海道圧亢進症研究会 アッヴィ合同会社

オミクロン株に対するブースター接種、高齢者での効果は? ケアネットさんから 2022.3.14

2022年03月14日 | 学会研究会報告新聞記事など
 
 
 
ブースター接種の効果が、色々分析されて、今までよりは少ないけど十分な効果が期待できそうです。対策の現場の声をきくと効果はかなりある実感がある。本当に大変な作業を繰り返し命を守ってくれています。
打つからには効果があるというデータはとてもありがたいです。熱などの副反応が出やすいようなので副反応止めの薬をうまく使いながらしのいでいきましょう。希望者に間に合うスピードでワクチンが届くようになってくれることを祈ります。
一方で打てない方がいることもマスクをしない方が良い方(咳エチケットを守りつつ)がいることも忘れずに、差別偏見につながらないように気を付けて行きましょう。

以下ケアネットさんからーーーーーーーーーーーーーーーー
オミクロン株に対するブースター接種、高齢者での効果は?
提供元:ケアネット 公開日:2022/03/14
 
 高齢はSARS-CoV-2感染において罹患率および死亡率の主要な危険因子である。そのため、高齢者にはCOVID-19ワクチンを優先して接種する戦略をとる国が多い。ワクチンのブースター接種によってオミクロン株の中和活性を引き出すことが示されているが、高齢者においてはどうか。高齢者へのブースター接種の即時および長期の効果を見た試験結果がThe Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2022年2月28日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

 ドイツ・ベルリンの開業医で募集された、年齢中央値82(範囲:76~96)歳の37例を対象に、SARS-CoV-2中和活性を縦断的に測定した。2021年1月15日に最初のワクチン接種が行われ、BNT162b2(ファイザー製)の2回目接種から10ヵ月後、ブースター接種から4.5ヵ月後までフォローアップされた。
 2回目接種後から1ヵ月後(中央値26日、IQR:25~27)および5ヵ月後(中央値153日、151~154)のフォローアップ時に血清サンプルを採取し、50%阻害希釈(ID50)の幾何平均抗体価を求めた。
 2回接種により、ほとんどの個体で検出可能なSARS-CoV-2の元となるWu01株およびデルタ中和活性が誘導された(Wu01株35/37例[95%]、デルタ株31/37例[84%])が、オミクロン株に対する活性は検出されないか、最小限だった。続く4ヵ月間でWu01株の中和抗体価は6分の1、デルタ株は7分の1になった。
 全員が7ヵ月後(中央値209日[189~228])、ファイザー製ワクチンのブースター接種を受けた。
・ブースター接種1ヵ月後(中央値23[21~29]日)の血清サンプルでは、Wu01株とデルタ株の中和抗体価は50倍以上増加し、オミクロン株も33/37例(89%)が強力な中和抗体を誘発した。
・ブースター接種後3.5ヵ月(中央値106[86~125]日)で、中和抗体価はWu01株で2.7分の1、デルタ株で2.3分の1、オミクロン株で3分の1に低下した。一方で、Wu01株(36/37例[97%])、デルタ株(34例[92%])、オミクロン株(30例[81%])と、ほとんどが検出可能な中和抗体を維持していた。
・ブースター接種後における中和抗体の推定半減期はWu01株で52日(95%CI:46~59)、デルタ株で64日(52~83)、オミクロン株で41日(34~52)だった。
 著者らは「オミクロン株に特異的なワクチンがない場合、ブースター接種はワクチンの効果を回復するために重要であり、ブースター接種は高齢者の大部分において、オミクロン株に対する中和活性を効果的に引き出すことができた。本結果は、高齢者集団における今後のブースター接種の戦略の指針となるだろう」としている。
(ケアネット 杉崎 真名)

原著論文はこちら
Vanshylla, K et al. Lancet Infect Dis. 2022 Feb 28.[Epub ahead of print]
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