ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

二段ベッドの制作 その3

2013年02月05日 | 木工
だいぶ薪がなくなってきた。


工房の暖をとるのは仕事で出た端材です。
火を燃さない頃に出た端材は薪用の屋根下に積み上げている。
本当は長さなどを切ってきれいに積み上げておきたいところだけれど、
忙しさにかまけてどんどんそのまま積み上げてしまうことになる。
これを冬の時期に掘って使ってゆく。
その端材を見るとだいたい何を作った時の端材かは思い出せる。
記憶の地層を掘っているような気持ちになる。
まるで思い出の品を見つけて記憶を呼び覚ますような感じ。

燃しやすいいい端材がまとまって出てくると、
よい鉱脈を掘り当てた炭鉱夫になったようにほくほくする。
もちろん鉱夫をやっていたことはない。ただの想像。




二段ベッドもそろそろ佳境です。


組み立てるものは組み上げた。




写真は上の段の前と、下の段の前を仮組みしたところです。
上の段の手すりは人がもぐりこむところが開いています。

梯子に本体に取り付けるための穴をあけます。

本当は寸法を出して、梯子を組み立てる前に穴を開ければ、穴をあけるのはとても楽なのですが、
なぜかちゃんと寸法を出して精度よく加工したハズなのに、穴の位置が合わなかったりすることが起きる。
自分がとてもバカになったような気がして情けないが、そういうことがたまに起きる。
なので、結局現物を合わせて穴の位置を決めるのが間違いのないやり方になります。
と、学んできた。




梯子をしかるべき位置にクランプでくっつけて、本体にあらかじめあけてある穴の位置を写します。




穴をあけて金具を入れてみて確認します。大丈夫。




下の段を仮組して、すのこを作ります。
さすがにすのこまではクルミでは作りません。
角材は建築材の松、上の板はカツラです。
ちゃんと糊を付けてネジで組んだものです。




上の段の仮組み。
ベビーサークルみたい。

最後は現場での組み立てになるので、全て組み合わせ通りに仮組をして嵌合を確認。
現場ではなるべく速やかに済ませたいから、面倒でも全数検査。
自分の工房ではいろいろ対応できるけれど、出先で何かあると情けないことになる。
使い慣れた道具がないとただの人と変わらないかも。




妻手の接合は「ドミノ」という電動工具で。
これはとっても精度が高く強度のある仕口になります。








長い工程を経て、工房での制作は終わり。


出来た物を眺めながら、どう車に積み、どう部屋に運び入れ、いかように組み立てるか、何を持っていけばいいのか、
いろいろ思いを巡らす。

うまくいくことを願うばかりです。