ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

スプーン作り

2013年07月17日 | 木工
ミンミンゼミが鳴きだしました。
オニヤンマが飛び始めました。




スプーン、レンゲを作りました。






これは試作品の写真です。


それなりに数を作るに当たり、型を決める必要があります。
ボール紙で型を作ります。
上からの形と横からのかたちを投影したものです。



今回はスープなどが飲めるような深い匙を考えています。
お粥のような粘りのあるものを食べるなら、こんなに深い匙はいらないでしょう。
小さく浅く作ってお口にぱくっと入る大きさの方がよろしい。

でも今回はちょっと大きくて深いものを作ります。






材を角にして型紙を写して帯鋸で切ります。
レンゲ用の材は厚さが45mmほどの材が必要です。材はサクラ。

一面の型の墨を切り離してしまうと横の面の墨をも切り離してしまうことになりますので
全部切り離さずに鋸を寸止めしておきます。
手でひねれば取れるくらいに切り残します。
そのあと横の面の墨を見て切れば正確な切断ができます。


切ったレンゲの部材が首を伸ばしたガチョウに見えて、顔を描きたくなりました。













輪郭をざっと仕上げてから凹部分を彫ります。
ここを彫るのは完全手作業しかありません、私には。
重さ100kg超の作業台にがっちりと挟みます。
今まで手で持って掘っていましたが、この万力に挟む方法は上手くいきました。
なぜいままでしなかったのだろう。(それは作業台が無かったからだ。)

この刃物は能面の裏を透くためのものだそうです。





こんな感じで掘っていきます。
両手を使って刃物を持ち、体重をかけて加工に集中できてるので、本当にいい方法だった。
早くて疲れずきれいにできる。
いつも加工物はがっちり固定するべきと人には講釈していたのだけれど、おはずかしい。






中を掘ってから外側の仕上げをします。
外はサンダーなどの機械を使えるので比較的楽です。
100番、180番、280番とペーパーで磨いてから水で濡らします。
濡らすとサンディング加工で圧縮された繊維が膨張して立ち上がります。
乾いてから、出たそのケバを400番を使って磨けば生地は仕上がりです。
刃物で仕上げた内側はきれいに仕上がっているので毛羽立つことはありません。




荒どりした材と出来た物を並べてみました。


これに漆を5回ほど塗って完成します。




結構小物作りも面倒ですが楽しいです。