ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

TVキャビネットの制作

2016年06月23日 | 木工
一件、納品に遠出しました。




とんかつ屋さんの椅子。

工期がタイトで、作っているところの写真を撮るのを忘れてしまった。



かつ久 無庵 横浜高島屋展

お近くにいらしたらおいでください。
改装時に収めた椅子もずっと使って頂いています。





帰りがけに、上野の東京国立博物館に無理して行ってきました。
東洋館にて、上海博物院所蔵の明代の家具を期間限定で展示しているのを観るためです。



文人の机、椅子、棚が主な展示品です。
写真撮影は禁止でした。


材は「鉄梨木」(タガヤサン?)黄花梨(ニオイシタン?)とありましたが、当方あまり唐木関係はわかりません。
雲南などの南方に産する固くて赤い樹種です。


椅子は四出頭官帽椅子、いわゆる曲録(キョクロク)で座面がとても高いのが特徴です。
座っても足が床に付かず、足載せが必ず付いています。
合わせて置いてある机も高く、合わせて置いてあると初めてその高さの意味が分かります。
偉そうに見えるから!

棚ですが、部材の接合部はチリを取らず面がそろっており、面腰ホゾにしてあります。

天板は薄いのですが、生留めでの接合がまるで唐木の座卓のようです。


言葉でこのようなことを説明するのは困難です。リンクを御覧ください。



このような中国の椅子は北欧に紹介され、高名なハンス・ウェグナーの数々の名作椅子のデザインの源となりました。

棚に見る面取りや仕口は朝鮮半島の李朝家具、そして海を越えた日本に伝播し、
やはりいわゆる和家具の様式の基調になったと思われます。

特に大阪で作られる唐木家具などはまさにこの明朝家具の系統です。
用材ももろに同じですものね。

中華文明の影響恐るべし。






さてTV台を一つ作りました。




これが図面です。

ご相談することほぼ2年、やっとの着工です。





こんな変な形の部材。




このようにくっつきます。
地板です。






この障子の桟のようなものは?






扉と引き出しの前板です。







ドロップ蝶番という金具を使います。

組む前に穴を開けておかないと。
あとからは開けられません。





こんな風につきます。






これは引き出しのレールです。

板に対して直行して付くので、板が伸び縮みしても平気なようにネジ穴を横長にする必要があります。





このように付きます。
細かいことですが重要なことです。





引き出しに溝を付き、溝にレールが収まります。







アールがある方が後ろです。

部屋の角に置くのですが、置く角度が自由になるようにとアールにしました。
お客様からの提案です。







扉、引き出しを付けて完成です。

扉を格子状にしたのはリモコンが使えるように。





その扉に合わせた引き出しの前板。





上下ともDVDが入る寸法です。




お客様との念入りな打ち合わせでご要望をお聞きし作ったものです。

自分だけの考えではできないものが出来たと思います。