ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

背高のロッキングチェア

2016年09月14日 | 木工
ロッキングチェアは定番商品として作っていますが、「首まで支える背もたれのはないの?」とお客様に訊かれることが多いので作ってみました。





イメージ図から始めます。

まあ、定番の椅子の背もたれを伸ばしただけのものですけど。







奥村昭雄さんの本、『樹から生まれる家具』に載っているデコイを合わせてみて、座り心地を検討します。五分の一の図面です。






実寸のベニヤの型を作り、木取りや形を写すのに使います。

首までカバーする後ろ足兼背もたれの部材には長さが約1.3m、15cm幅の材が必要です。







背もたれの笠木の付く穴は型に開けた穴から目打ちを使って写します。







穴は背もたれの曲線に合わせてあるので、ひとつひとつみな角度が違います。
治具で加工するにはたくさんの治具を作らなくてはならないので煩雑です。

今回はこのような「窓」を作って機械にセットし、その窓にホゾ穴の墨を目視で合わせて穴の加工をしました。







座枠の穴の加工です。

長さも幅も機械にかかるギリギリのサイズです。








だいぶ途中の工程が飛びます。ロッカー(橇)を付ける加工です。

ホゾを作るのは全て手作業です。







ロッカーの穴を開ける方法です。
まず先に前足の穴だけを開けてその穴にホゾを入れて、後ろ足の穴の位置は実物のロッカーを付けてみて決めます。

仕事を始めたころは実寸図を描いて一生懸命寸法を割り出したりしたものですが、
なんてことはない、このような「おっつけ仕事」の方が簡単で確実でした。







出来ました。

背が高くて見栄えしますね。

ロッカーの後端はもう少し長い方がよいか悩みましたが、従来の物とほぼ同じにしました。

普通に座るのには問題なく安定がありますし、なにしろ長いと邪魔です。

お子さんが後ろ向けに乗って激しく揺らしたりすると倒れるかもしれません。







定番の物と並べてみました。
定番の物は座面を張る作業の途中です、日が暮れて写真が撮れなくなりそうだったので。







モデルがいないので私が座って撮影。

首までちゃんと支えます。

枕がいるかな。







今回は四種類、七台の椅子の混合ロットでした。

これは桑材の椅子、ひじ掛けなしと両肘。
四脚のセットです。






ちょっと変わった、浮いたように付くひじ掛けです。





今回作った椅子は今週末開催の「創造の森・上野村フェスティバル」に出品します。

みなさまのお越しをお待ちしております。




コメント
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