宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

予測よりも矮小銀河の数が少ないのはなぜ?

2015年12月03日 | 宇宙 space
宇宙論分野には、
「矮小銀河は銀河の数を上回るはずなのに、あまり見つかっていない」
という謎があります。

これを“ミッシング・サテライト問題”といい、長年の謎になっていました。

それが今回、多数の矮小銀河が発見されるんですねー

この発見が“ミッシング・サテライト問題”解決の糸口になるかもしれない、
と期待されているようです。


ミッシング・サテライト

多数の矮小銀河を発見したのは、
“次世代ろ座銀河団サーベイ”と名付けられた観測を、
行っている研究グループ。

観測は、南米チリにあるセロ・トロロ・汎アメリカ天文台の、
4メートルブランコ望遠鏡で行われました。

観測対象になった、ろ座銀河団は地球から6200万光年の距離にあり、
1億光年以内の領域では、おとめ座銀河団に次いで銀河数が多い銀河団になります。
月の大きさと観測された領域の比較。
“次世代ろ座銀河団サーベイ”で今回見つかった暗い矮小銀河(赤丸)、
以前から知られていた矮小銀河(白丸)。

矮小銀河は非常に暗く、拡散しています。

星の分布密度は太陽系周辺の約100分の1、
天の川銀河のバルジに比べると、わずか10億分の1しかありません。

もし、この矮小銀河の住人がいるとしたら、
見上げる夜空には星がほとんどない状態… とても退屈でしょうね。
ひょっとすると、銀河の中にいることに気付かないかもしれません。

宇宙の物質分布の進化に関するコンピュータ・シミュレーションによれば、
矮小銀河の数は、天の川銀河のように成長した銀河の数を、
大きく上回るはずだと考えられています。

でも、実際に観測してみると、
矮小銀河の数はシミュレーシンによる予測に対して、
明らかに少ないんですねー

シミュレーションが間違っているのか?
それとも単純に、まだ予測されている矮小銀河が見つかっていないだけなのか?

この衛星銀河が見つからない“ミッシング・サテライト問題”は、
宇宙論分野の謎の1つになっていました。

ただ今回の発見は、これまで見つかっていなかった矮小銀河が、
じょじょに見つかることを意味しているのかもしれませんね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 謎が深まった、球状星団の起源。