宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

銀河が衝突すると、星がブラックホールに吸い込まれる確立が100倍になる!?

2017年03月25日 | ブラックホール
超大質量ブラックホールが星たちを引き裂き飲み込んでしまう。

めったに起こらない現象だと考えられていたのですが、
これまで考えられていたより100倍も高い頻度で起こることがあるようです。

どうやら、2つの銀河が衝突すると、
星がブラックホールに吸い込まれて消滅する確率が上昇するそうです。
  けっこう起きている銀河の合体!? ウルトラ赤外線銀河からわかった銀河の多重合体
    


銀河同士の衝突

これまでの研究では、星がブラックホールに吸い込まれる現象は、
銀河1個につき1万年~10万年ごとに1回しか発生しない、
非常にまれな現象と推測されていました。

このいわゆる“潮汐破壊現象”をめぐっては、
銀河数万個の掃天観測でしか目撃されてきませんでした。
  潮汐破壊とは、星がブラックホールに近づき過ぎて、
  巨大な重力でバラバラになる現象。

  ブラックホール連星から分かる、銀河の合体と進化
    

でも、最新の研究論文によると、銀河同士の衝突をわずか15件観測しただけで
ブラックホールによって破壊されている星が発見できたそうです。

このサンプルサイズは、天文学の基準からすると極めて小さいものなんですねー

2つの銀河が衝突すると、
星がブラックホールに吸い込まれて消滅する確立が100倍に上昇するようです。
銀河“F01004-2237”での潮汐破壊現象(イメージ図)。


輝度が突発的に上昇した銀河

今回の研究では、
それぞれ数十億個の星を含む銀河同士の衝突を15件分析しています。

そして2015年のこと、
今回の観測対象の1つで、地球から約17億光年の距離にある銀河“F01004-2237”で、
驚くべき変化が起きていることを、10年前の観測データとの比較から発見。

そこで研究チームでは、
アメリカの観測プロジェクト“カタリナ・スカイサーベイ”で収集された
時系列の観測データを詳細に調べ、2010年までの変化を追跡します。
  “カタリナ・スカイサーベイ”は、
  アリゾナ大学の月惑星研究所が組織的に行っている夜空全体の観測。
  地球近傍天体の捜索を主目的にしている。


そして、この年に“F01004-2237”の輝度が突発的に上昇。
その様子は、まさしく引き裂かれている星が上げる断末魔の叫びそのもののようでした。

ひとたび危険領域に入ってしまえば、
星はブラックホールの重力に飲み込まれる運命から逃れることはできません。

星が破壊されるにつれて、
引き裂かれた星のかけらは、ブラックホールへの落下速度がますます高速になり、
熱せられて閃光を放ち始めることに…

このような現象を引き起こすのに、
銀河衝突が重要な役割を果たしていることを今回の研究が示しているんですねー

そして、この研究成果は、スペイン・カナリア諸島のラ・パルマ島で運用されている、
ウィリアム・ハーシェル望遠鏡を用いた観測がもとになっているそうです。


こちらの記事もどうぞ
  銀河風の構造に刻まれた銀河合体とスターバーストの歴史