12月4日に目標天体の小惑星“ベンヌ”に到着したNASAの小惑星探査機“オシリス・レックス”。
2年3か月に及ぶ約20億キロの旅が終わったばかりなのに、さっそく新しい発見をしたんですねー
“ベンヌ”接近中に行った観測から分かったのは、“ベンヌ”の泥の中に水が含まれていることでした。
見つけたのは岩石質の物質と液体の水との相互作用があった証拠
NASAの小惑星探査機“オシリス・レックス”は、目標天体の小惑星“ベンヌ”への接近段階にあった昨年の8月中旬から12月初めにかけて、3つの観測機器による最初の科学観測を行っています。
その観測で用いられた可視光線・赤外線分光器“OVIRS”と熱放射分光器“OTES”のデータから、酸素と水素の原子が結合したヒドロキシ基(水酸基、OH)の存在が明らかになります。
ヒドロキシ基は水を含む粘土鉱物の中に全球規模で存在していると考えられています。
このことが意味しているのは、ある時点で岩石質の物質と液体の水との相互作用があったことでした。
ヒドロキシ基が“ベンヌ”の表面全体に分布しているということは、ヒドロキシ基が“ベンヌ”に衝突した天体によって表面にばらまかれたのでは無いことになります。
そう、ヒドロキシ基は“ベンヌ”にもともと存在していたことになります。
ただ、幅500キロほどの“ベンヌ”自体は、液体の水をためておけるほど大きくはないんですねー
なので水の発見は、はるかに大きかった“ベンヌ”の母天体である小惑星に、液体の水が存在していた可能性を示唆することになります。
小惑星全体にヒドロキシ基が存在するとなると、始原的な揮発性物質や有機物の組成を調べる“オシリス・レックス”のミッションにとって、太陽系形成の初期段階からの残骸である“ベンヌ”は最高の探査対象物になります。
さらに、そのサンプルが地球に持ち帰られれば、太陽系の進化と歴史に関する新たな情報という宝物を手にすることになります。
“オシリス・レックス”が地球にサンプルを持ち帰るのは、
約5年後の2023年になる。
小惑星からのサンプルリターンは、NASAの宇宙探査史上初のものになります。
小惑星にはいくつかのタイプがあり、“ベンヌ”は炭素と有機分子を多く含む始原的なB型の小惑星になります。
B型の小惑星が探査されるのは初めてのこと。
日本の“はやぶさ”が探査したS型小惑星の“イトカワ”、“はやぶさ2”が探査中のC型小惑星“リュウグウ”との類似性や相違点を調べるうえでも非常に興味深いミッションになります。
地球へ持ち帰るサンプルの採取場所探し
“オシリス・レックス”の“OCAMS”カメラで取得されたデータにより、これまでに行われていた地上の望遠鏡での観測結果を裏付けるということもありました。
2013年に研究チームが作成した“ベンヌ”のモデルは、直径や自転速度、傾斜角、全体の形状をほぼ実際に近い形で予測していたんですねー
モデルの精度が高いということは、ミッション全体が“ベンヌ”におけるすべての任務に対して最適なものとして設計・計画されたことを意味します。
ただ、“ベンヌ”の南極付近にある大きな岩塊のサイズについては予想以上に大きく、高さ約50メートル、幅約55メートルあることが分かっています。
さらに予想を上回っていたのが、“ベンヌ”の表面に見られる岩塊の量でした。
研究チームでは、地球へ持ち帰るサンプルの採取場所をより的確に判断するため、近距離からさらに観測を進める予定です。
現在、“オシリス・レックス”は“ベンヌ”の質量を決定するため、表面から7キロほどの距離まで近づく予備的なサーベイを実施しています。
質量が分かれば、小惑星の重力の影響を正確に見積もることができ、周回軌道投入の重要なデータになるからです。また、質量は小惑星の構造や組成の理解にも役立ちます。
周回軌道に入った“オシリス・レックス”は2019年の2月中旬まで軌道上にとどまり、小惑星の上空約1.4~2キロの範囲を飛行することになります。
この周回飛行により、“オシリス・レックス”は史上最も惑星状の天体へ接近し周回飛行を行った探査機になるんですねー
あっ、“ベンヌ”はこれまでに探査機が周回飛行を行った最小の天体になるようです。
それと“ベンヌ”は、地球に衝突する潜在的な可能性がある小惑星の1つになるので、こうした天体の探査も初めてのことになります。
どのような原因で小惑星が地球に接近するようになるのか? このことを調べることも、ミッションの重要な目的の1つになるそうです。
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追加ミッションは地球公転軌道上の小惑星探し
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見つけたのは岩石質の物質と液体の水との相互作用があった証拠
NASAの小惑星探査機“オシリス・レックス”は、目標天体の小惑星“ベンヌ”への接近段階にあった昨年の8月中旬から12月初めにかけて、3つの観測機器による最初の科学観測を行っています。
その観測で用いられた可視光線・赤外線分光器“OVIRS”と熱放射分光器“OTES”のデータから、酸素と水素の原子が結合したヒドロキシ基(水酸基、OH)の存在が明らかになります。
ヒドロキシ基は水を含む粘土鉱物の中に全球規模で存在していると考えられています。
このことが意味しているのは、ある時点で岩石質の物質と液体の水との相互作用があったことでした。
ヒドロキシ基が“ベンヌ”の表面全体に分布しているということは、ヒドロキシ基が“ベンヌ”に衝突した天体によって表面にばらまかれたのでは無いことになります。
そう、ヒドロキシ基は“ベンヌ”にもともと存在していたことになります。
ただ、幅500キロほどの“ベンヌ”自体は、液体の水をためておけるほど大きくはないんですねー
なので水の発見は、はるかに大きかった“ベンヌ”の母天体である小惑星に、液体の水が存在していた可能性を示唆することになります。
小惑星全体にヒドロキシ基が存在するとなると、始原的な揮発性物質や有機物の組成を調べる“オシリス・レックス”のミッションにとって、太陽系形成の初期段階からの残骸である“ベンヌ”は最高の探査対象物になります。
さらに、そのサンプルが地球に持ち帰られれば、太陽系の進化と歴史に関する新たな情報という宝物を手にすることになります。
“オシリス・レックス”が地球にサンプルを持ち帰るのは、
約5年後の2023年になる。
小惑星からのサンプルリターンは、NASAの宇宙探査史上初のものになります。
小惑星にはいくつかのタイプがあり、“ベンヌ”は炭素と有機分子を多く含む始原的なB型の小惑星になります。
B型の小惑星が探査されるのは初めてのこと。
日本の“はやぶさ”が探査したS型小惑星の“イトカワ”、“はやぶさ2”が探査中のC型小惑星“リュウグウ”との類似性や相違点を調べるうえでも非常に興味深いミッションになります。
地球へ持ち帰るサンプルの採取場所探し
“オシリス・レックス”の“OCAMS”カメラで取得されたデータにより、これまでに行われていた地上の望遠鏡での観測結果を裏付けるということもありました。
2013年に研究チームが作成した“ベンヌ”のモデルは、直径や自転速度、傾斜角、全体の形状をほぼ実際に近い形で予測していたんですねー
モデルの精度が高いということは、ミッション全体が“ベンヌ”におけるすべての任務に対して最適なものとして設計・計画されたことを意味します。
ただ、“ベンヌ”の南極付近にある大きな岩塊のサイズについては予想以上に大きく、高さ約50メートル、幅約55メートルあることが分かっています。
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“オシリス・レックス”が12月2日に約24キロの距離から撮影した小惑星“ベンヌ”。 12枚の画像を合成している。 |
研究チームでは、地球へ持ち帰るサンプルの採取場所をより的確に判断するため、近距離からさらに観測を進める予定です。
現在、“オシリス・レックス”は“ベンヌ”の質量を決定するため、表面から7キロほどの距離まで近づく予備的なサーベイを実施しています。
質量が分かれば、小惑星の重力の影響を正確に見積もることができ、周回軌道投入の重要なデータになるからです。また、質量は小惑星の構造や組成の理解にも役立ちます。
周回軌道に入った“オシリス・レックス”は2019年の2月中旬まで軌道上にとどまり、小惑星の上空約1.4~2キロの範囲を飛行することになります。
この周回飛行により、“オシリス・レックス”は史上最も惑星状の天体へ接近し周回飛行を行った探査機になるんですねー
あっ、“ベンヌ”はこれまでに探査機が周回飛行を行った最小の天体になるようです。
それと“ベンヌ”は、地球に衝突する潜在的な可能性がある小惑星の1つになるので、こうした天体の探査も初めてのことになります。
どのような原因で小惑星が地球に接近するようになるのか? このことを調べることも、ミッションの重要な目的の1つになるそうです。
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