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NASAが選んだ「より速く、より良く、より安く」なミッション

2015年10月23日 | 宇宙 space
NASAが次のディスカバリー計画の実施に向けて第一次選考を行い、
20案の中から、3つの小惑星探査と2つの金星探査ミッションを選定しました。

ディスカバリーと言えば、1992年に当時のNASA長官が提唱した、
「より速く、より良く、より安く」のスローガンを体現する計画。
さて今回は、どんなミッションが選ばれたのでしょうか。


ディスカバリー・ミッション

低コストで効率の良いミッションを目指した、
太陽系内の探査計画がNASAのディスカバリーです。

過去のディスカバリー・ミッションには、
小惑星ベスタと準惑星ケレスを探査する“ドーン”計画、
太陽系外惑星探査を行う“ケプラー”計画や、
彗星を探査する“メッセンジャー”計画などがありました。

そして来年には、
火星の地質調査を行う“インサイト”計画が始動予定なんですねー


5つのミッション

新たな計画については、
今年1年かけてハードウェア設計やコスト分析、
実験計画を進めていきます。

そして遅くとも2021年には、
5つのミッションのうち、おそらく2つが正式採択になる見込み…

今回選ばれたのは、
大きく分けて小惑星探査と金星探査の以下のミッション。

どのミッションが正式採択になるのか? 楽しみですねー


小惑星探査

◎ プシケ(Psyche)ミッション

小惑星帯の外側部分に位置する、
直径213キロの小惑星プシケとランデブーするミッション。

高いレーダー反射率と高い密度から、
小惑星プシケは金属小惑星だと考えられています。

金属でできた表面なのか、
衝突などで地殻を失いマントルが剥き出しになったのか…

前者の場合、太陽系の形成とは全く異なるプロセスを想定する必要があり、
後者の場合は、小惑星のコアを精査する必要あります。

いずれにせよ、新しい試みになります。
小惑星プシケ探査(イメージ図)


◎ ネオカム(NEOCam)ミッション

地球近傍の未発見の小惑星を探す計画。

比較的大きく、潜在的に危険な小惑星の大半は、
地球から発見できています。

でも、太陽に近い方向から飛来する小惑星を調査することは難しく、
数多くの未調査小惑星を探査します。


◎ ルーシー(Lucy)ミッション

木星のトロヤ群小惑星を探査するミッション。

小惑星エウリバテス、1999 VQ10、1997 TS25、
および連星小惑星パトロクロス/メノイティオスが対象となる見込で、
到達の途中で小惑星帯の1981 EQ5も調査予定です。

トロヤ群は木星軌道上、
木星の前方と後方の力学的に安定なところに分布しています。

太陽系形成のモデルによれば、
多くのトロヤ群の起源はカイパーベルトにあるとみられています。

なのでトロヤ群を探ることは、
太陽系をはるかに離れた領域について、得るものがあるかもしれません。


金星探査

◎ ベリタス(VERITAS)ミッション

水平250メートル、垂直5メートルという高い解像度で金星をマッピングし、
金星のデジタル標高モデルを生成するミッション。

金星の3公転にわたって観測を行います。


◎ ダビンチ(DAVINCI)ミッション

金星へ降下し、金星大気の化学組成を調べるミッション。

活火山はあるのか、
金星の地表は大気とどのように相互作用しているのか、
といった長年の疑問に答えるものになる予定です。


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