巨大ブラックホールの周辺の意外に複雑な実態…
これに迫る観測結果がでたようです。
南米チリのアルマ望遠鏡で渦巻き銀河を観測してみると、
その中心部に存在する巨大ブラックホールの周りのガスに、
有機分子が集中して存在していたんですねー
この発見は、
ブラックホールの周囲は、強烈なエックス線や紫外線で有機分子が壊されるという、
これまでの見方を覆すもの。
さらに、大量のチリとガスによってエックス線や紫外線が遮られている、
マイルドな領域の存在を示唆することになります。
なので、この発見は、
謎に包まれた巨大ブラックホール周辺の環境を理解する上で、
重要なことになるんですねー
宇宙空間に存在する分子の化学組成からは、
その場所の温度や密度など、環境の情報を得ることができます。
さまざまな分子は、それぞれ固有の周波数で電波を放つので、
電波望遠鏡を使えば、遠く離れた天体の化学組成と環境をつかむこともできます。
銀河中心に存在する巨大ブラックホールの周辺でも、
これまで分子が放つ電波が盛んに観測されてきました。
でも、分子の電波は微弱なので、
従来の電波望遠鏡では、検出するだけで何日もかかることに…
今回の研究では、
長野県・野辺山の45メートル電波望遠鏡での電波観測を基に、
世界最高性能のアルマ望遠鏡で、
くじら座の方向約4700万光年の彼方の渦巻き銀河“M77”を観測。
“M77”の中心には活動銀河核の巨大ブラックホールがあり、
その周囲を、半径約3500光年のリング状の爆発的星形成領域“スターバースト・リング”が、
取り囲んでいます。
そして、アルマ望遠鏡によって、
“M77”の活動銀河核の周りと“スターバースト・リング”で、
9種類の分子の分布が鮮やかに描き出されました。
この観測では、
アルマ望遠鏡完成時の約1/4に当たる、16台のアンテナしか使っていないんですねー
でも、わずか2時間足らずで、これほど多くの分子の分布図を得ています。
分子ごとの分布は様々で、
一酸化炭素(CO)は主に“スターバースト・リング”に分布、
シアノアセチレン(HC3N)やアセトニトリル(CH3CN)など5種類は、
巨大ブラックホールの周りに集中していました。
また、硫化炭素(CS)やメタノール(CH3OH)は両方が存在。
これまで、巨大ブラックホールの周りに集中していた5種類の分子が、
これほど高い解像度で観測された例はありませんでした。
これは、高い感度と幅広い周波数帯を一度に観測できる、
アルマ望遠鏡ならではの成果になります。
特に、原始の数が多いアセトニトリルやシアノセチレンが、
巨大ブラックホールの周りに豊富に存在していることは、
まったくの予想外…
これは、巨大ブラックホールは、強大な重力で周囲の物質を引き寄せて、
周りに高温の円盤(降着円盤)を形成。
そこから強烈なエックス線や紫外線を放射して、
分子をほとんど破壊してしまうと考えられていたからです。
そこで、今回の研究による新説は、
巨大ブラックホールの周りでは、ガスがひじょうに濃くなっているので、
中心部からのエックス線や紫外線が遮られてマイルドな環境ができ、
そこに有機分子が壊されずに残っている っと言うもの。
ただ、中心からより離れた“スターバースト・リング”では、
ガス密度が低いので、強い紫外線で有機分子は壊されてしまっています。
巨大ブラックホール周辺のガスの遮蔽効果は、まだ研究が始まったばかり…
でも、今回の研究結果は、
巨大ブラックホールを取り囲むガスの、構造や温度・密度を理解する一歩になります。
今後、アルマ望遠鏡で
広い周波数範囲、より高い解像度の観測を重ねることで、
さらに驚くような結果が出てくるかもしれませんね。
これに迫る観測結果がでたようです。
南米チリのアルマ望遠鏡で渦巻き銀河を観測してみると、
その中心部に存在する巨大ブラックホールの周りのガスに、
有機分子が集中して存在していたんですねー
アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で観測した、 渦巻き銀河“M77”の中心部。 シアノセチレン(黄色)、硫化炭素(赤)、 一酸化炭素(青)の分布が示されている。 |
この発見は、
ブラックホールの周囲は、強烈なエックス線や紫外線で有機分子が壊されるという、
これまでの見方を覆すもの。
さらに、大量のチリとガスによってエックス線や紫外線が遮られている、
マイルドな領域の存在を示唆することになります。
なので、この発見は、
謎に包まれた巨大ブラックホール周辺の環境を理解する上で、
重要なことになるんですねー
宇宙空間に存在する分子の化学組成からは、
その場所の温度や密度など、環境の情報を得ることができます。
さまざまな分子は、それぞれ固有の周波数で電波を放つので、
電波望遠鏡を使えば、遠く離れた天体の化学組成と環境をつかむこともできます。
銀河中心に存在する巨大ブラックホールの周辺でも、
これまで分子が放つ電波が盛んに観測されてきました。
でも、分子の電波は微弱なので、
従来の電波望遠鏡では、検出するだけで何日もかかることに…
今回の研究では、
長野県・野辺山の45メートル電波望遠鏡での電波観測を基に、
世界最高性能のアルマ望遠鏡で、
くじら座の方向約4700万光年の彼方の渦巻き銀河“M77”を観測。
くじら座の銀河“M77”の位置 |
“M77”の中心には活動銀河核の巨大ブラックホールがあり、
その周囲を、半径約3500光年のリング状の爆発的星形成領域“スターバースト・リング”が、
取り囲んでいます。
そして、アルマ望遠鏡によって、
“M77”の活動銀河核の周りと“スターバースト・リング”で、
9種類の分子の分布が鮮やかに描き出されました。
この観測では、
アルマ望遠鏡完成時の約1/4に当たる、16台のアンテナしか使っていないんですねー
でも、わずか2時間足らずで、これほど多くの分子の分布図を得ています。
分子ごとの分布は様々で、
一酸化炭素(CO)は主に“スターバースト・リング”に分布、
シアノアセチレン(HC3N)やアセトニトリル(CH3CN)など5種類は、
巨大ブラックホールの周りに集中していました。
また、硫化炭素(CS)やメタノール(CH3OH)は両方が存在。
これまで、巨大ブラックホールの周りに集中していた5種類の分子が、
これほど高い解像度で観測された例はありませんでした。
これは、高い感度と幅広い周波数帯を一度に観測できる、
アルマ望遠鏡ならではの成果になります。
特に、原始の数が多いアセトニトリルやシアノセチレンが、
巨大ブラックホールの周りに豊富に存在していることは、
まったくの予想外…
これは、巨大ブラックホールは、強大な重力で周囲の物質を引き寄せて、
周りに高温の円盤(降着円盤)を形成。
そこから強烈なエックス線や紫外線を放射して、
分子をほとんど破壊してしまうと考えられていたからです。
そこで、今回の研究による新説は、
巨大ブラックホールの周りでは、ガスがひじょうに濃くなっているので、
中心部からのエックス線や紫外線が遮られてマイルドな環境ができ、
そこに有機分子が壊されずに残っている っと言うもの。
ただ、中心からより離れた“スターバースト・リング”では、
ガス密度が低いので、強い紫外線で有機分子は壊されてしまっています。
巨大ブラックホール周辺のガスの遮蔽効果は、まだ研究が始まったばかり…
でも、今回の研究結果は、
巨大ブラックホールを取り囲むガスの、構造や温度・密度を理解する一歩になります。
今後、アルマ望遠鏡で
広い周波数範囲、より高い解像度の観測を重ねることで、
さらに驚くような結果が出てくるかもしれませんね。
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