宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

X線天文衛星がとらえた星の誕生

2012年07月10日 | 宇宙 space
幼い星が高速で自転し、高温のプラズマを放つ激しい活動の様子。
日本の“すざく”、NASAの“チャンドラ”、そしてESAの“XMMニュートン”のX線天文衛星がとらえたX線の変動から、生まれつつある星で何が起こっているのか分かってきました。

太陽も含め、恒星はガスとチリの雲から生まれます。
まず、ガスとチリが重力で収縮して密度の高い“原始星”ができます。
そして、残りの物質はその周囲を回る円盤となり、秒速数百kmもの猛スピードで吸い寄せられるんですねー

大部分は“原始星”に取り込まれるのですが、一部は“原始星”の両端方向にジェットとして噴出します。
ちなみに、ジェットの勢いは円盤の中心部のエネルギー活動次第で変動します。

この観測は3機のX線天文衛星を用いて、こうした恒星の誕生の謎に迫っています。

観測対象となったのは1300光年かなたのマクニールの星雲にある“オリオン座V1647星”。
観測は2003年~2006年、そして2008年から現在まで、2度の長期にわたる活発なジェット噴射の間に行われました。

ジェットが活発な期間、恒星の質量は速く成長します。
X線放射も増加し、温度も5000万度にまで上昇するんですねー
このような超高温のプラズマは、星の表面やその周囲の磁場活動が作り出しています。

恒星と円盤の磁場の差動回転によって磁力線のねじれや切り離し、つなぎかわり(リクネクション)が起こり、磁場活動が維持されます。

また、星の自転によると思われる1日周期での変動も見られます。
星のサイズから考えると非常に短く、自身がバラバラになってしまうほど高速回転なんですねー

円盤物質は、恒星の表面で対になっている2箇所、パンケーキ状に集中しているエリアから取り込まれます。
超高温プラズマは、1日周期で自転するこの星の表面に位置していると考えられます。

観測された変動は、その集中している部分が自転により、地球から見えたり見えなかったりすることで生じているようです。

2004年から数回にわたって観測された規則変動から、
恒星と円盤のシステム全体は数年単位で安定しています。

3つのX線天文衛星による“オリオン座V1647星”の観測により、もっと新しい発見があるはずです。
生れつつある星の円盤の中で何が起こっているのか? 興味ありますよねー


最新の画像もっと見る

コメントを投稿