45億光年彼方で発生したガンマ線バーストがチェレンコフ望遠鏡“MAGIC”などによって観測されました。
このバーストからとらえられたのは、1テラ電子ボルトの超高エネルギーガンマ線。
ガンマ線バーストから検出されたエネルギーとしては過去最大となるもので、大質量星の崩壊後に誕生したブラックホールのジェットに由来するとみられています。
宇宙最大の爆発現象
ガンマ線バーストと呼ばれる宇宙最大の爆発現象は、初発見から50年近くが経過し、現在では衛星観測などによって1日に1回程度の頻度で検出されています。
その発生源として考えられているのは、中性子星やブラックホールのようなコンパクトな天体同士の合体、または大質量星の重力崩壊に伴う大量のエネルギー放射。
でも、ガンマ線バーストは突発現象…
なので、いつどこで起こるかわからず、エネルギー放射が数秒から数分しか継続しないため、まだ分かっていないことも多いんですねー
ガンマ線と大気中の分子が反応することで生じる光
2019年1月14日のこと、NASAのガンマ線天文衛星“フェルミ”と“スウィフト”は、ろ座の方向で発生したガンマ線バースト“GRB 190114C”を検出。
この発見情報は即座に世界中に発信され、50秒後にはカナリア諸島ラパルマ島にある大気チェレンコフ望遠鏡“MAGIC”が観測を開始します。
“MAGIC”望遠鏡は、ガンマ線と大気中の分子とが反応することで生じる“チェレンコフ光”をとらえることで、衛星観測では到達できないほどの超高エネルギーのガンマ線を間接的に観測することができます。
“MAGIC”望遠鏡の観測の結果分かったのは、ガンマ線のエネルギー分布が1テラ電子ボルトまで伸びていること。
さらに、高エネルギーまで伸びていることも示唆されます。
1テラ電子ボルトは可視光線のエネルギーの1兆倍程度。
地上のガンマ線望遠鏡によりガンマ線バーストからの高エネルギーガンマ線の信号を高い信頼度でとらえられたのは、今回の観測が初めてのこと。
また、1テラ電子ボルトというエネルギーは、ガンマ線バーストとしては過去最高のものだそうです。
ガンマ線バーストの放射メカニズム
ガンマ線バーストの典型的な放射メカニズムはシンクロトロン放射と考えられています。
でも、“MAGIC”がとらえたような超高エネルギーはシンクロトロン放射では説明ができないですねー
このようなエネルギー超過成分は“フェルミ”のデータ(20ギガ電子ボルトまで)からも示唆れていたこと。
なので、“MAGIC”望遠鏡の観測はこれを裏付けるものになります。
そして解析から明らかになったのが、この高エネルギーの放射成分が逆コンプトン散乱という別のメカニズムによって説明できることでした。
理論的には逆コンプトン散乱の寄与が提唱されていたので、今回の結果はこれを観測的に実証したことになります。
今回の研究成果は、謎に包まれたガンマ線バーストの放射メカニズムに対する理解を飛躍的に前進させることになりますね。
衝突銀河の中心領域で発生した非常に珍しい例
他の望遠鏡での観測から分かっているのは、“GRB 190114C”のガンマ線は約45億光年離れた天体から放出されたということ。
太陽質量の100倍程度の大質量星が重力崩壊してブラックホールができ、その双極方向に放射されたプラズマのジェットからガンマ線バーストが生じたと考えられています。
また、ハッブル宇宙望遠鏡による追観測から、“GRB 190114C”が衝突銀河の中心領域で発生した非常に珍しい例であることも分かり、銀河同士の相互作用がガンマ線バーストの発生に関わった可能性も考えられているんですねー
今回のガンマ線バーストは特異なものではなく、多くのガンマ線バーストで同様の高エネルギーガンマ線の放射が伴っていると予測されています。
このことを検証するのに重要になるのは、これから検出例を増やしていき、今回と同様に複数の観測手段を連携させた研究になります。
電磁波だけでなく重力波やニュートリノも含めたマルチメッセンジャー天文学により、ガンマ線バーストの起源やメカニズムの理解が進むといいですね。
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このバーストからとらえられたのは、1テラ電子ボルトの超高エネルギーガンマ線。
ガンマ線バーストから検出されたエネルギーとしては過去最大となるもので、大質量星の崩壊後に誕生したブラックホールのジェットに由来するとみられています。
宇宙最大の爆発現象
ガンマ線バーストと呼ばれる宇宙最大の爆発現象は、初発見から50年近くが経過し、現在では衛星観測などによって1日に1回程度の頻度で検出されています。
その発生源として考えられているのは、中性子星やブラックホールのようなコンパクトな天体同士の合体、または大質量星の重力崩壊に伴う大量のエネルギー放射。
でも、ガンマ線バーストは突発現象…
なので、いつどこで起こるかわからず、エネルギー放射が数秒から数分しか継続しないため、まだ分かっていないことも多いんですねー
ガンマ線バーストのイメージ図 |
ガンマ線と大気中の分子が反応することで生じる光
2019年1月14日のこと、NASAのガンマ線天文衛星“フェルミ”と“スウィフト”は、ろ座の方向で発生したガンマ線バースト“GRB 190114C”を検出。
この発見情報は即座に世界中に発信され、50秒後にはカナリア諸島ラパルマ島にある大気チェレンコフ望遠鏡“MAGIC”が観測を開始します。
“MAGIC”望遠鏡は、ガンマ線と大気中の分子とが反応することで生じる“チェレンコフ光”をとらえることで、衛星観測では到達できないほどの超高エネルギーのガンマ線を間接的に観測することができます。
“MAGIC”望遠鏡の観測の結果分かったのは、ガンマ線のエネルギー分布が1テラ電子ボルトまで伸びていること。
さらに、高エネルギーまで伸びていることも示唆されます。
1テラ電子ボルトは可視光線のエネルギーの1兆倍程度。
地上のガンマ線望遠鏡によりガンマ線バーストからの高エネルギーガンマ線の信号を高い信頼度でとらえられたのは、今回の観測が初めてのこと。
また、1テラ電子ボルトというエネルギーは、ガンマ線バーストとしては過去最高のものだそうです。
ガンマ線バーストの放射メカニズム
ガンマ線バーストの典型的な放射メカニズムはシンクロトロン放射と考えられています。
でも、“MAGIC”がとらえたような超高エネルギーはシンクロトロン放射では説明ができないですねー
このようなエネルギー超過成分は“フェルミ”のデータ(20ギガ電子ボルトまで)からも示唆れていたこと。
なので、“MAGIC”望遠鏡の観測はこれを裏付けるものになります。
そして解析から明らかになったのが、この高エネルギーの放射成分が逆コンプトン散乱という別のメカニズムによって説明できることでした。
理論的には逆コンプトン散乱の寄与が提唱されていたので、今回の結果はこれを観測的に実証したことになります。
今回の研究成果は、謎に包まれたガンマ線バーストの放射メカニズムに対する理解を飛躍的に前進させることになりますね。
衝突銀河の中心領域で発生した非常に珍しい例
他の望遠鏡での観測から分かっているのは、“GRB 190114C”のガンマ線は約45億光年離れた天体から放出されたということ。
太陽質量の100倍程度の大質量星が重力崩壊してブラックホールができ、その双極方向に放射されたプラズマのジェットからガンマ線バーストが生じたと考えられています。
また、ハッブル宇宙望遠鏡による追観測から、“GRB 190114C”が衝突銀河の中心領域で発生した非常に珍しい例であることも分かり、銀河同士の相互作用がガンマ線バーストの発生に関わった可能性も考えられているんですねー
今回のガンマ線バーストは特異なものではなく、多くのガンマ線バーストで同様の高エネルギーガンマ線の放射が伴っていると予測されています。
このことを検証するのに重要になるのは、これから検出例を増やしていき、今回と同様に複数の観測手段を連携させた研究になります。
電磁波だけでなく重力波やニュートリノも含めたマルチメッセンジャー天文学により、ガンマ線バーストの起源やメカニズムの理解が進むといいですね。
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