“OJ 287”は、最も古い記録では1888年に観測されている活動銀河です。
でも、本格的に注目されたのは、ほぼ一世紀後の1982年頃からなんですねー
これは過去の観測記録を精査して分かったことでした。
短い方の12年周期で現れる変化を詳しく観測してみると、さらに短い時間をおいて2回の閃光が生じていることも分かります。
こうした複雑な変光周期を説明するために、「“OJ 287”の中心部には連星を成す2つの超大質量ブラックホールが存在する」というモデルが提唱されることになります。
それぞれの質量は、太陽の約184億倍と約1億5000万倍だと考えられています。
なお、“OJ 287”の超大質量ブラックホールを区別する決まった名称や仮符号は存在しないので、重い方のブラックホールを“プライマリー”、軽い方のブラックホールを“セカンダリー”と呼ぶことにします。
降着円盤をまとっていて、“OJ 287”の放射の大部分を占めているのがプライマリー。
一方でセカンダリーは、プライマリーの周りで非常に長い楕円軌道を描きながら12年周期で公転していると考えられます。
彗星のような軌道を公転しているセカンダリーの軌道面は、降着円盤に対して傾いているので、セカンダリーは時々降着円盤を横切ることになります。
この時、降着円盤の物質が加熱されることで、2週間程度続く明るい閃光が生じるんですねー
このプロセスこそが短い12年の変光周期を生み出していて、さらに短い間隔で2回の閃光が生じるのは、セカンダリーが降着円盤を2回横切るからだと考えれば説明が付きます。
それでは、55年の長い変光周期は、どのようなプロセスになっているでしょうか?
こちらは、セカンダリーの公転軌道が大きく変化することによるものと考えられています。
プライマリーとセカンダリーは、お互いに強い重力を及ぼし合うので、セカンダリーの公転軌道の近点(お互いが最も近づく軌道上の点)は、大きく移動し続けています。
この近点移動に伴う変化が、55年の変光周期になります。
その理由は、“OJ 287”が地球から約35億光年の彼方に位置する極めて遠い銀河な上に、セカンダリーとプライマリーがかなり接近していることにありました。
これらを分離して観測することが難しかったんですねー
今回の研究では、事前に予測されていた2022年の閃光について、相対性理論を考慮した正確な時期の推定を行い、“OJ 287”の観測を試みています。
これは、全くの予想外の出来事で、短時間に天の川銀河の100倍の放射を行っている現象を、初めて観測したことになります。
分析の結果、短時間の急激な放射の原因は、セカンダリーがプライマリーの降着円盤に突入した直後に、大量の物質が一気に吸い込まれたことで生じたジェットの加速にあることが判明。
このような放射はセカンダリーが存在しなければ、説明することは困難なので、今回の観測結果は“OJ 287”にセカンダリーが実在することを強く支持するものになりました。
過去のデータには、このような急激な放射が記録されていないので、今回観測されたような短時間の放射は、たまたま見逃されていた可能性が高いことも分かりました。
“OJ 287”は、天球上の見た目の位置が太陽に近付くことがあり、すべての閃光を観測できているわけではありません。
なので、観測精度が高くなった近年でも、短時間の変化を見逃す余地が十分にある状態でした。
セカンダリー由来のシグナルを観測できたのは、技術革新の成果だけでなく、運も絡んでいたことになります。
さらに、“OJ 287”の中心に存在する2つの超大質量ブラックホールは、非常に周期の長い重力波を放出しているとされているブラックホールの連星としても注目されています。
今回の研究によって、セカンダリーの存在がほぼ確実になったことで、重力波望遠鏡による観測が強化されるかもしれません。
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でも、本格的に注目されたのは、ほぼ一世紀後の1982年頃からなんですねー
活動銀河は、星や星間チリ、星間ガスといった通常の銀河の構成要素とは別の部分から、エネルギーの大半が放出されている特殊な銀河。このエネルギーは、活動銀河の種類によって若干異なるが、電波、赤外線、紫外線、X線、ガンマ線など、電磁波のほぼ全ての波長域で放出されている。このエネルギーの大半を、銀河の中心1%程度のコンパクトな領域から放出していて、この部分を活動銀河核と呼ぶ。
その理由は、“OJ 287”の明るさが、55年周期および12年周期という、2つの周期が複雑に絡み合いながら変化しているから。これは過去の観測記録を精査して分かったことでした。
短い方の12年周期で現れる変化を詳しく観測してみると、さらに短い時間をおいて2回の閃光が生じていることも分かります。
こうした複雑な変光周期を説明するために、「“OJ 287”の中心部には連星を成す2つの超大質量ブラックホールが存在する」というモデルが提唱されることになります。
12年と55年の偏光周期
このモデルで仮定しているのは、“OJ 287”の中心にはブラックホールの連星が存在していること。それぞれの質量は、太陽の約184億倍と約1億5000万倍だと考えられています。
なお、“OJ 287”の超大質量ブラックホールを区別する決まった名称や仮符号は存在しないので、重い方のブラックホールを“プライマリー”、軽い方のブラックホールを“セカンダリー”と呼ぶことにします。
降着円盤をまとっていて、“OJ 287”の放射の大部分を占めているのがプライマリー。
一方でセカンダリーは、プライマリーの周りで非常に長い楕円軌道を描きながら12年周期で公転していると考えられます。
彗星のような軌道を公転しているセカンダリーの軌道面は、降着円盤に対して傾いているので、セカンダリーは時々降着円盤を横切ることになります。
この時、降着円盤の物質が加熱されることで、2週間程度続く明るい閃光が生じるんですねー
このプロセスこそが短い12年の変光周期を生み出していて、さらに短い間隔で2回の閃光が生じるのは、セカンダリーが降着円盤を2回横切るからだと考えれば説明が付きます。
図1.“OJ 287”のイメージ図。プライマリーの周りをセカンダリーが公転し、セカンダリーは時々プライマリーの降着円盤を通過する。これが地球では12年周期での変光として観測される。(Credit: AAS 2018) |
こちらは、セカンダリーの公転軌道が大きく変化することによるものと考えられています。
プライマリーとセカンダリーは、お互いに強い重力を及ぼし合うので、セカンダリーの公転軌道の近点(お互いが最も近づく軌道上の点)は、大きく移動し続けています。
この近点移動に伴う変化が、55年の変光周期になります。
セカンダリーが存在しないと説明できない現象
“OJ 287”の中心部に大きなブラックホールの連星があるというモデルは、長年支持されてきたのですが、セカンダリーの存在を示す証拠が見つからない状態が長く続いていました。その理由は、“OJ 287”が地球から約35億光年の彼方に位置する極めて遠い銀河な上に、セカンダリーとプライマリーがかなり接近していることにありました。
これらを分離して観測することが難しかったんですねー
今回の研究では、事前に予測されていた2022年の閃光について、相対性理論を考慮した正確な時期の推定を行い、“OJ 287”の観測を試みています。
この研究は、トゥルク大学のMauri J. Valtonenさんたちの研究チームが進めています。
その結果、事前に予測された時期に閃光が観測されたのですが、その中に約1日間だけ非常に明るさが増大する時期が含まれていることが分かりました。これは、全くの予想外の出来事で、短時間に天の川銀河の100倍の放射を行っている現象を、初めて観測したことになります。
図2.“OJ 287”の明るさの変化を示したグラフ。観測の歴史が長いので、長い周期の変光も明らかになった。(Credit: Valtonen, et.al.) |
このような放射はセカンダリーが存在しなければ、説明することは困難なので、今回の観測結果は“OJ 287”にセカンダリーが実在することを強く支持するものになりました。
過去のデータには、このような急激な放射が記録されていないので、今回観測されたような短時間の放射は、たまたま見逃されていた可能性が高いことも分かりました。
“OJ 287”は、天球上の見た目の位置が太陽に近付くことがあり、すべての閃光を観測できているわけではありません。
なので、観測精度が高くなった近年でも、短時間の変化を見逃す余地が十分にある状態でした。
セカンダリー由来のシグナルを観測できたのは、技術革新の成果だけでなく、運も絡んでいたことになります。
さらに、“OJ 287”の中心に存在する2つの超大質量ブラックホールは、非常に周期の長い重力波を放出しているとされているブラックホールの連星としても注目されています。
今回の研究によって、セカンダリーの存在がほぼ確実になったことで、重力波望遠鏡による観測が強化されるかもしれません。
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