大きさは地球ほどなのに、
質量が太陽ほどもある高温で高密度の星が白色矮星です。
そんな白色矮星が、近くにある天体を粉砕している様子が、
今回初めて観測されたんですねー
そして、まもなく破片は白色矮星に飲み込まれることに…
多くの研究者が、こういう現象が起こっていると考えていましたが、
今回ついに現場を押さえることが出来たというわけです。
白色矮星は偶然見つかった
地球から約570光年離れている“WD 1145+017”は、おとめ座の白色矮星です。
この白色矮星が、
奇妙なふるまいをしている証拠を最初に発見したのは、
系外惑星探査衛星“ケプラー”でした。
“ケプラー”は、
惑星が恒星の手前を通過(トランジット)する時に見られる、
わずかな減光をとらえます。
そして、このわずかな減光から惑星の存在を検出する、
トランジット法を用いて太陽系外惑星を探していました。
太陽のような星が年をとると、膨れ上がって赤色巨星になります。
その後、外層のガスが失われて出来るのが、
おそろしく高温で高密度の燃えさし、白色矮星です。
一方、“ケプラー”が探しているのは、生命が居住できるような太陽系外惑星。
そうした惑星は、
比較的若い主星の周りの穏やかな環境にあると考えられています。
なので、今回見つかった白色矮星は“ケプラー”の観測対象ではなく、
たまたま視野に入ったのが白色矮星“WD 1145+017”だったというわけです。
そして、“WD 1145+017”の前を何らかの天体が横切っていて、
トランジットが起きていることが分かるんですねー
奇妙なトランジット現象
でも、その天体の正体を明らかにするには、
地上にある数基の望遠鏡を使って、観測を行う必要がありました。
観測の結果、
問題の天体は白色矮星のまわりを猛スピードで公転していて、
1周するのに、わずか4.5~4.9時間しか掛かっていませんでした。
このことから、白色矮星からその天体までの距離が、
地球から月までの距離より、はるかに小さいことが分かります。
そして奇妙なことに、この天体は非常に小さかったんですねー
一般に、白色矮星は非常に小さいので、
ふつうの惑星が前を横切れば、ほとんど見えなくなってしまいます。
でも今回の観測では、白色矮星は最大で40%しか暗くなりませんでした。
奇妙なことは他にもあり、
ぐっと暗くなることもあれば、あまり暗くならないこともあるというバラつきや、
予想通りのタイミングで暗くならないということもありました。
トランジットを起こしているのが惑星なら、急激に明るくなるなずなんですが、
暗くなってから徐々に明るくなることもありました。
白色矮星の周りにあるチリの雲
天文学者が白色矮星の奇妙な性質に気付いていなかったら、
説明するのが困難な現象がありました。
実は10年ほど前から、
一部の白色矮星の大気中にマグネシウム、ケイ素、アルミニウムなど、
比較的重い元素が存在していることが分かり、科学者たちは首をかしげていました。
こうした元素は、比較的短期間で消滅するはず…
なのに消滅していないということは、比較的新しい時期に補充されたことを意味します。
もう一つの奇妙な事実は、
多くの白色矮星のまわりに、チリの雲が渦を巻いているように見えること…
おそらく、この雲が白色矮星の大気に重元素を補充していると思われます。
微小な天体が破壊されてできたチリの雲
私たちの太陽系にあるチリは、小惑星どうしの衝突によって生成されています。
でも今回の観測によると、
“WD 1145+017”のまわりのチリは小惑星どうしの衝突でなく、
惑星の破片や小惑星といった微小な天体が、
白色矮星の強力な重力場によって、破壊される過程で生成されているようでした。
こうした微小天体は、崩壊しながら長いチリの尾を引いています。
なので、白色矮星の前を横切って明るさを暗くしているのは、
微小天体そのものではなく、このチリの尾の方になるはずです。
微小天体から離れるにつれてチリの尾が薄くなり、光を通すようになる。
そう考えれば、白色矮星が暗くなってから徐々に明るくなることに説明がつきます。
チリの雲は生まれては消えてゆくから、
トランジットが起こったり起こらなかったりする謎も解けます。
さらに、岩石質の微小天体に豊富に含まれる重元素が、
白色矮星の大気に供給される仕組みも説明できることに…
今回の偶然で幸運な発見は、
将来的には、強力な観測技術として太陽系外惑星の研究に利用されるかもしれません。
そして、崩壊する惑星と金属に汚染された白色矮星を、
もっとよく調べることで、惑星の核に由来する物質と、
マントルに由来する物質を区別できるようになるかもしれません。
こちらの記事もどうぞ ⇒ 海のある惑星の存在確率が高まる? 白色矮星に大量の“水”
質量が太陽ほどもある高温で高密度の星が白色矮星です。
そんな白色矮星が、近くにある天体を粉砕している様子が、
今回初めて観測されたんですねー
そして、まもなく破片は白色矮星に飲み込まれることに…
多くの研究者が、こういう現象が起こっていると考えていましたが、
今回ついに現場を押さえることが出来たというわけです。
![]() |
初めて観測された、白色矮星が近くの天体を崩壊させている現場。 崩れていく天体は、今後100万年以内に白色矮星の表面に金属のチリだけを残して、 消滅すると考えられる。 |
白色矮星は偶然見つかった
地球から約570光年離れている“WD 1145+017”は、おとめ座の白色矮星です。
この白色矮星が、
奇妙なふるまいをしている証拠を最初に発見したのは、
系外惑星探査衛星“ケプラー”でした。
“ケプラー”は、
惑星が恒星の手前を通過(トランジット)する時に見られる、
わずかな減光をとらえます。
そして、このわずかな減光から惑星の存在を検出する、
トランジット法を用いて太陽系外惑星を探していました。
太陽のような星が年をとると、膨れ上がって赤色巨星になります。
その後、外層のガスが失われて出来るのが、
おそろしく高温で高密度の燃えさし、白色矮星です。
一方、“ケプラー”が探しているのは、生命が居住できるような太陽系外惑星。
そうした惑星は、
比較的若い主星の周りの穏やかな環境にあると考えられています。
なので、今回見つかった白色矮星は“ケプラー”の観測対象ではなく、
たまたま視野に入ったのが白色矮星“WD 1145+017”だったというわけです。
そして、“WD 1145+017”の前を何らかの天体が横切っていて、
トランジットが起きていることが分かるんですねー
奇妙なトランジット現象
でも、その天体の正体を明らかにするには、
地上にある数基の望遠鏡を使って、観測を行う必要がありました。
観測の結果、
問題の天体は白色矮星のまわりを猛スピードで公転していて、
1周するのに、わずか4.5~4.9時間しか掛かっていませんでした。
このことから、白色矮星からその天体までの距離が、
地球から月までの距離より、はるかに小さいことが分かります。
そして奇妙なことに、この天体は非常に小さかったんですねー
一般に、白色矮星は非常に小さいので、
ふつうの惑星が前を横切れば、ほとんど見えなくなってしまいます。
でも今回の観測では、白色矮星は最大で40%しか暗くなりませんでした。
奇妙なことは他にもあり、
ぐっと暗くなることもあれば、あまり暗くならないこともあるというバラつきや、
予想通りのタイミングで暗くならないということもありました。
トランジットを起こしているのが惑星なら、急激に明るくなるなずなんですが、
暗くなってから徐々に明るくなることもありました。
白色矮星の周りにあるチリの雲
天文学者が白色矮星の奇妙な性質に気付いていなかったら、
説明するのが困難な現象がありました。
実は10年ほど前から、
一部の白色矮星の大気中にマグネシウム、ケイ素、アルミニウムなど、
比較的重い元素が存在していることが分かり、科学者たちは首をかしげていました。
こうした元素は、比較的短期間で消滅するはず…
なのに消滅していないということは、比較的新しい時期に補充されたことを意味します。
もう一つの奇妙な事実は、
多くの白色矮星のまわりに、チリの雲が渦を巻いているように見えること…
おそらく、この雲が白色矮星の大気に重元素を補充していると思われます。
微小な天体が破壊されてできたチリの雲
私たちの太陽系にあるチリは、小惑星どうしの衝突によって生成されています。
でも今回の観測によると、
“WD 1145+017”のまわりのチリは小惑星どうしの衝突でなく、
惑星の破片や小惑星といった微小な天体が、
白色矮星の強力な重力場によって、破壊される過程で生成されているようでした。
こうした微小天体は、崩壊しながら長いチリの尾を引いています。
なので、白色矮星の前を横切って明るさを暗くしているのは、
微小天体そのものではなく、このチリの尾の方になるはずです。
微小天体から離れるにつれてチリの尾が薄くなり、光を通すようになる。
そう考えれば、白色矮星が暗くなってから徐々に明るくなることに説明がつきます。
チリの雲は生まれては消えてゆくから、
トランジットが起こったり起こらなかったりする謎も解けます。
さらに、岩石質の微小天体に豊富に含まれる重元素が、
白色矮星の大気に供給される仕組みも説明できることに…
今回の偶然で幸運な発見は、
将来的には、強力な観測技術として太陽系外惑星の研究に利用されるかもしれません。
そして、崩壊する惑星と金属に汚染された白色矮星を、
もっとよく調べることで、惑星の核に由来する物質と、
マントルに由来する物質を区別できるようになるかもしれません。
こちらの記事もどうぞ ⇒ 海のある惑星の存在確率が高まる? 白色矮星に大量の“水”
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