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有人火星探査を視野に入れた居住モジュールをNASAが試作へ

2016年08月15日 | 宇宙 space
居住モジュールの試作品を製作することをNASAが発表しました。

この居住モジュール試作の目的は、
地球低軌道を回る国際宇宙ステーションよりも遠くを目指すクルーの生活スペース開発。

民間の宇宙開発企業6社が参加し、
それぞれの特徴を活かした居住空間を約2年かけて製作することになります。


地球低軌道より遠くへ

NASAは来る有人火星探査に備え、現在は地球低軌道よりも遠くへの有人飛行を計画しています。

打ち上げには“Space Launch System(SLS)”という世界最大のロケットと、
オリオン宇宙船”を使う予定です。

また、いずれは火星へ向かうことを視野に入れ、今回発表された計画では、
地球低軌道よりも遠く深い宇宙空間でも安全に滞在できる、居住モジュールの開発を目指しています。


6つの居住モジュール

この計画に参加するのは、
ボーイング、ロッキード・マーティン、オービタルATK、シエラ・ネバダ、ナノラックス、
ビゲロー・エアロスペースの6社になります。

モジュール試作のために各社に与えられるのは24か月。
各社はそれぞれの特色を活かした居住スペースを製作することになります。

これまでも国際宇宙ステーションにおける技術開発で貢献してきたボーイングは、
地上でフルサイズの居住モジュールを作成し、インタフェースの標準化やシステム機能、
そして重要探査技術のテストを計画しています。

ロッキード・マーティンが計画しているのは、
国際宇宙ステーションへの物資補給を担う補給船に環境・生命維持装置を取り付け、
居住モジュールへと転換する方法。

この方法はオービタルATKも採用し、“シグナス補給船”を改造して使用することになります。

シエラ・ネバダは小型版スペースシャトルともいえる“ドリーム・チェイサー”と、
風船のように膨らんで広く使えるコンポーネントを合体させたものになります。

一方、既存の打ち上げロケットを使うのはナノラックス。
ロケットの上部をそのまま居住スペースへと転用するそうです。

ビゲロー・エアロスペースは、
国際宇宙ステーションでテスト中の宇宙で膨らませて使う居住モジュールに、
生命維持装置を追加したものになる見込みです。

今回の居住スペース開発のためにNASAが用意する予算は6500万ドルほど。
また、実際に地上用居住スペースを製作する企業は、製作費用の30%を負担することになります。


快適な空間つくり

火星への有人探査は、少なくとも500日ほどかかることになります。

その間は狭い宇宙船の中で生活する必要があり、
さらに大気や磁気圏の外側へ出てしまえば、強い宇宙放射線の遮蔽も考慮しなければなりません。

なので火星へ向かう飛行士が、少しでも快適な生活を送れるような空間、
それがミッション遂行に良い影響を与えるのかもしれませんね。

こちらの記事もどうぞ ⇒ “マーズ・ベース・キャンプ” 火星を周回する宇宙ステーション



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