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100光年彼方の赤色矮星を公転する系外惑星“TOI 700 e”を発見! 今回は楽観的なハビタブルゾーン内にあった

2023年03月03日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
今回、アメリカ天文学会の第241回会合で発表されたのは、
かじき座の方向約100光年彼方に位置する13等級の赤色矮星“TOI 700”を公転している4つ目の太陽系外惑星を発見したとする研究成果でした。
 今回の研究を進めているのは、NASA・ジェット推進研究所の博士研究員Emily Gilbertさんを筆頭とする研究チームです。
地球サイズの太陽系外惑星“TOI 700 e”のイメージ図。左奥には同じ星系の“TOI 700 d”も描かれている。(Credit: NASA/JPL-Caltech/Robert Hurt)
地球サイズの太陽系外惑星“TOI 700 e”のイメージ図。左奥には同じ星系の“TOI 700 d”も描かれている。(Credit: NASA/JPL-Caltech/Robert Hurt)

主星からの距離が程良く惑星の表面に液体の水が存在できる領域ハビタブルゾーン

主星“TOI 700”は、大きさと質量が太陽の4割ほどのM型矮星で、表面温度は約3500Kほどなので恒星として低温な部類になります。

これまで、“TOI 700”の周りで見つかっているのは、系外惑星“TOI 700 b”、“TOI 700 c”、“TOI 700 d”の3つでした。

もっとも内側の“TOI 700 b”は、地球とほぼ同じサイズの岩石惑星とみられていて公転周期は10日。
真ん中の“TOI 700 c”は公転周期が16日ほどで、地球の2.6倍ほど大きいガス惑星だと考えられています。

そして、最も外側を公転している惑星“TOI 700 d”は、地球の約1.2倍の大きさの岩石惑星で表面温度は摂氏-約4度ほど。
主星までの距離は約2400万キロ、37.4日周期で公転しているようです。

主星との距離が太陽から地球の約6分の1になるので、“TOI 700 d”は主星に近い軌道を公転していることになります。
ただ、主星が太陽より暗いこの惑星系では、この距離がハビタブルゾーンに当たるんですねー
 “ハビタブルゾーン”とは、主星(恒星)からの距離が程良く惑星の表面に液体の水が存在できる領域。この領域にある惑星では生命が居住可能だと考えられている。
表面温度が摂氏-約4度ほどと考えらていますが、これは大気の影響を考慮しないもの。
もし、“TOI 700 d”に大気があれば、表面に液体の水が存在する可能性もあるようです。

“TOI 700”の楽観的なハビタブルゾーン内を約27.8日周期で公転

今回、研究チームが発表したのは、この惑星系で4つ目の系外惑星“TOI 700 e”を見つけたことでした。

“TOI 700 e”の直径は地球の約95%で、主星を約27.8日周期で公転。
“TOI 700”の“楽観的なハビタブルゾーン”内を公転しています。
“TOI 700”のハビタブルゾーンと惑星の公転軌道を示した図。一番外側の“TOI 700 d”は保守的なハビタブルゾーン(濃い緑)内を、その内側の“TOI 700 e”は楽観的なハビタブルゾーン(薄い緑)内を公転している。(Credit: Gilbert et al.)
“TOI 700”のハビタブルゾーンと惑星の公転軌道を示した図。一番外側の“TOI 700 d”は保守的なハビタブルゾーン(濃い緑)内を、その内側の“TOI 700 e”は楽観的なハビタブルゾーン(薄い緑)内を公転している。(Credit: Gilbert et al.)

ジェット推進研究所によれば、楽観的なハビタブルゾーンとは惑星の歴史で一時的にでも表面に液体の水が存在し得る領域とのこと。
惑星の歴史の大半の期間を通して、表面に液体の水が存在し得る領域“保守的なハビタブルゾーン”の内側と外側に広がっています。

また、先に発見された“TOI 700 d”は、“TOI 700”の保守的なハビタブルゾーン内を公転していると見られています。

“TOI 700”を公転する系外惑星が見つかったのは、NASAの系外惑星探査衛星“TESS”の観測によって。
2018年4月に打ち上げられた“TESS”は、太陽系の近くにある地球サイズの惑星を発見することを主な目的としています。

“TESS”が狙うのは、地球からおよそ300光年以内にあり、恒星の明るさによって大気が照らされている惑星。
調査する恒星の多くはM型矮星という銀河系に最も多いタイプで、私たちの太陽よりも小さくて暗い恒星になります。
 “TESS”は、地球から見て系外惑星が主星の手前を通過(トランジット)するときに見られる、わずかな減光から惑星の存在を探る“トランジット法”という手法により惑星を発見し、その性質を明らかにする。
現在、宇宙と地上からの観測による追跡調査が進められています。
なので、“TOI 700”星系に関する知見がさらに得られる可能性がありそうです。

なお、系外惑星の名前は、“主星の名前”に“小文字のアルファベット”を付与したものになります。

このアルファベットは、主星からの距離や発見された順番に応じて“b”から順に“c”、“d”と付与されていきます。

同じ星系で別の惑星が見つかっても、すでに命名済みの名前は変更されないので、アルファベットの順番と主星からの距離の順番が一致するとは限らないんですねー

今回発表された“TOI 700 e”は、“TOI 700”で4番目に見つかった系外惑星なので“e”が付与されています。

でも、先に見つかった“TOI 700 c”と“TOI 700 d”の間を公転しているので、“TOI 700”に近いものから惑星を並べると“b”、“c”、“e”、“d”の順番になってしまいます。

“TOI 700”を公転する4つの惑星の直径と公転周期。円の大きさの比率は実際の主星や惑星の大きさを反映していない。(Credit: sorae)
“TOI 700”を公転する4つの惑星の直径と公転周期。円の大きさの比率は実際の主星や惑星の大きさを反映していない。(Credit: sorae)

さらに、一部の系外惑星には国際天文学連合“IAU”が世界各国から募集した名前が付けられていますよ。


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