宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

可視光線では初めて! ブラックホールの「またたき」を観測

2016年01月12日 | 宇宙 space
これまで「X線でしか観測できない」
と思われていたブラックホール近傍からの放射エネルギー。

この放射エネルギーの変動が、可視光線で初めてとらえられたんですねー

可視光がとらえられたのは、
2015年6月中旬から7月初旬にかけて急激な増光を示した、
ブラックホールX線新星“はくちょう座V404星”。

口径が数十センチの天体望遠鏡でも、
ブラックホールの光の変動が見えるかもしれません。


X線新星とは?

中性子星またはブラックホールと、通常の恒星が、
お互いの周りを回りあって近接連星を成している連星系で起こる、
活動現象の1つがX線新星です。

2つの星の間の距離が非常に近いので、
恒星の外層は、中性子星やブラックホールへ向かって流れ出していき、
降着円盤を形成。

不定期に急激な増光現象“アウトバースト”起こし、
特にX線を強く放射することが知られています。


26年ぶりのアウトバースト

X線新星“はくちょう座V404星”は、
正確に距離が分かっているブラックホールの中では、
地球に最も近いところにあるブラックホールの連星系になります。

およそ十数年おきに一度という割合でアウトバーストを起こしていて、
そのアウトバースト中に、X線で激しい高度変動を示すことが知られています。

今回は、やや間隔が開き、
2015年6月中旬から7月初旬にかけて26年ぶりのアウトバーストを起こし、
世界中の天文学者の注目を集めていました。


可視光による観測

このアウトバーストは、
世界中で行われた大規模な国際協力可視測光観測により、
ブラックホールX線新星のアウトバーストとしては、
過去最大の可視測光データを得ています。
変動が激しい時期の可視光線画像データの比較。
白い丸の中の星が“はくちょう座V404星”で、
30分から1時間程度の時間スケールで、
明るさが大きく変動していることが分かる。

データ解析の結果、ブラックホール近傍から出る光の変動が、
可視光線で初めてとらえられていました。

この光は、最も明るいときで12等級前後に達していて、
こうした活動的なブラックホールの「またたき」を、
口径20センチ程度の天体望遠鏡でも見られるかもしれないんですねー

可視光線でブラックホールの光度変動が見えるというのは、
アマチュアの観測対象としては、画期的で興味深いことになります。

また、このような光度変動が、
今まで他のX線新星で観測された同じ種類の光度変動の10分の1以下という、
非常に暗い時期にも起こっていたことも明らかになります。

これまでブラックホール近傍の激しい光の変動は、
光度が高いときにしか観測されず、
理論も光度が高いことを条件として提唱されてきました。

なので今回の結果は、今までの天文学的な常識を覆すもので、
これからのX線新星の研究を、さらに発展させる成果といえるんですねー


こちらの記事もどうぞ ⇒ X線新星 “はくちょう座V404星”のブラックホール連星がアウトバースト


最新の画像もっと見る

コメントを投稿