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宇宙の大規模構造の成長と銀河の成り立ちの解明へ向けて! 73億光年彼方の超銀河団を調査

2019年11月23日 | 宇宙 space
すばる望遠鏡などの観測によって約73億光年彼方に存在する超銀河団の全貌がとらえられました。
なんと、この超銀河団の領域、これまでの観測結果の2倍以上も大きいことが判明したそうですよ。


宇宙の大規模構造や銀河の成り立ちを理解する

宇宙では銀河の分布は一様ではなく、銀河団のように銀河が密集した領域もあれば、反対に銀河がほとんど存在しない領域もあります。

ただ、網の目状に広がる銀河分布の大規模構造と銀河の成り立ちには密接な関わりがあると考えられていて、大規模構造の中で銀河が誕生していく様子を調べることは重要な研究テーマの1つになっているんですねー

宇宙の大規模構造や銀河の成り立ちを理解するためには、遠方の(古い)宇宙を広範囲にわたって観測することが有効な手段になります。

すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ“ハイパー・シュプリーム・カム”を用いた“すばる望遠鏡戦略枠サーベイ”でも、そのような観測が行われてきました。


非常に大きなスケールで銀河が同時期に形成されていた

今回、国立天文台のチームは“すばる望遠鏡戦略枠サーベイ”のデータを用いて、ヘルクレス座の方向約73億光年彼方の超銀河団“CL1604”の方向に存在する銀河の分布を調査。

“CL1604”は、これまでに知られている数少ない遠方宇宙の超銀河団の一つで、3つの銀河団と少なくとも5つの銀河群から構成されていて、約8000万光年の領域に広がっていると考えられてきました。

研究チームは銀河の色に基づく“測光的赤方偏移”の手法によって個々の天体の距離を測定。
“CL1604”と距離が同程度の銀河を選び出します。

すると、すでに知らていた“CL1604”領域の北側と南側にも銀河の密集した領域が存在し、少なくとも1000天体以上の銀河の集団からなる大規模な構造が南北方向に広がっていることが明らかになります。
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超銀河団“CL1604”の分布図。
(左)奥行き方向から約73億光年付近のみを切り出した2次元分布図。
中央の城の実践が先行研究によって既知であった領域、黄色の実践が本研究で分光確認された4つの超銀河団領域。
(右)3次元分布図。
さらに、すばる望遠鏡とジェミニ北望遠鏡で分光観測を行い、計137個の銀河の距離を精密に測定したところ、銀河が奥行き方向にも群れを成していることが確かめられ、3次元的にも複数の銀河団の集団であることが確認されたんですねー
○○○
分光観測によって同定された銀河の赤方偏移(奥行き方向の距離)の分布。
銀河団であることを示す分布のピークごとに北側の銀河団候補の1領域(N1)と南側の3領域(S1~S3)を色分けしたもの。
同じ色のヒストグラムは、天球面上の場所によらず同等の赤方偏移に存在する銀河団であることを表している。
分光観測から得られた銀河のスペクトルからは、銀河の星形成活動の歴史や銀河内の恒星の年齢を推定することもできます。

そのスペクトルを解析して分かったのが、“CL1604”内にある銀河は約20億年より古い年齢の恒星からなり、どの銀河でも恒星の年齢が同等であること。

このことが示唆していること、それは約1.6億光年にもわたる非常に大きなスケールで銀河が同時期に形成されたことでした。

天の川銀河はおとめ座銀河団に属していて、おとめ座銀河団はさらに巨大な“ラニアケア超銀河団”という構造の一部であることが分かっています。

今回発見された73億光年彼方の巨大構造は、“ラニアケア超銀河団”のような大構造の祖先の姿かもしれません。

今後期待されるのは、サーベイ観測領域の全域に関する研究を行うことで、未知の大規模構造が宇宙の様々な時代で次々と見つかってくること。

その大規模構造をなす銀河の性質を調べることで、宇宙の大規模構造の成長と銀河の成り立ちが解明されくるのかもしれませんね。


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