今年の6月、NASAは“ディスカバリー計画”のミッション選定を発表しました。
そこで発表されたのは、2030年までに打ち上げ予定の金星に向かう二つのミッション…
なぜ、いまNASAは金星に向かおうとしているのでしょうか?
予想外なことに2つのミッションはどちらも金星のもの。
2つの探査機は地球の内側を公転し、その大きさや質量が地球と似ていることから、しばしば地球の双子星と呼ばれる金星に向かうことになります。
専門家の多くが「NASAはそろそろ金星に戻るべき時だ」と感じていたこともあるのですが、それでも同時に二つの金星ミッションが選ばれたことは驚くべきことでした。
金星の大気や環境は地球とは全く異なっていて、金星には二酸化炭素を主体とする非常に分厚い大気があります。
この環境で2つのミッションでは、どのような活動をするのでしょうか。
1つ目は、金星の雲頂から地表までの大気の垂直構造に焦点を当てるミッション“DAVINCI”です。
“DAVINCI”では探査機が金星に到着すると、地表へ降下しながら大気の温度、気圧、および組成を測定するプロープを展開。
着陸前にはプロープが高分解能で金星の地表を撮像していきます。
ただ、金星地表の気温は約460度、気圧は90気圧にも達すると言われているので、着陸後の探査機は長く活動することは無いようです。
2つ目のミッション“VERITAS”では、金星の地表と内部構造に焦点が当てられます。
“VERITAS”で明らかにするのは、火山活動や地球のテクトニクスのような地質学的現象が金星で起きている手がかりがあるかどうか。
オービター(周回機)を用いて金星を覆う厚い雲を透かし地表を観測することで、金星の立体地形図を作成していきます。
これら2つのミッションから得られるデータは、2015年12月から金星の雲頂面における気象現象を観測し続けているJAXAの金星探査機“あかつき”による観測と合わせることで、金星の全体像を明らかにしてくれるはずです。
すでに、NASAでは12のミッションを実施しているんですねー
NASA惑星科学部門では、宇宙探査ミッションをその予算と規模により4つのクラスに分けています。
“ディスカバリー計画”が属しているのは、キューブサットよりも少し大きい程度の探査機を扱う最小カテゴリの“SIMPLExプログラム”と、大規模な“ニュー・フロンティア計画”や“フラッグシップ”というカテゴリの間。
科学者自身が想像力を深く掘り下げ、太陽系の謎を解き明かすための新しい方法を見つけ出す機会を生み出すミッションが“ディスカバリー計画”になります。
目標は、より小さいリソースと短い開発スパンで実現可能な小規模ミッション、そして優れた成果を得ることです。
大規模な2つのカテゴリでは、10年おきに行われる調査結果(ディケーダル・サーヴェイと呼ばれているもの)や、NASAの戦略的目標を参照したコミュニティ全体による推奨に基づいて調査目標が定められています。
それに対して、“ディスカバリー計画”でミッションの行き先を決定するのは、純粋にそれぞれのミッション提案チームの好奇心だけ。
当初、“ディスカバリー計画”に2つの金星ミッションが選ばれたことは驚かれました。
でも、「2つの探査機が一緒になった方がバラバラに実施する場合より多くの科学的成果を得られる機会になる」っとすぐに認識されるようになったそうです。
これとよく似ているのが、NASAの“オシリス・レックス(OSIRIS-REx)”とJAXAの“はやぶさ2”の小惑星からのサンプルリターンミッション。
それぞれが採取したサンプルを交換する協定を結んで成果を最大化させようとしています。
つまり、惑星がどのように進化してきたかといった複雑な疑問を解明するためにも、いくつかのデータセットを得ることは不可欠なことになるということです。
並行してミッションを進めることで違った側面に関する情報を得ることもできます。
これにより、新たな発見があれば見間違いでないことを確認することもできそうです。
NASAの金星ミッションは1990年代の探査機“マゼラン”が最後…
それでも、金星地表のデータとしていまでも価値の高いものを提供しています。
これまでにも、お隣の惑星である金星に再び探査機を送り込むミッションコンセプトはいくつかありました。
でも、どれも採択には至らなかったんですねー
では、なぜNASAはこのタイミングで金星に“戻る”ことにしたのでしょうか?
人々が納得する宇宙探査とは、“ストーリー”が伴っているものです。
それは、太陽系にある他の世界を訪れることで、私たちが知りたいと本気で思っていることにどれだけ近づくことができるかだと思います。
NASAが継続的に火星探査を行うのは、現生であれ過去のものの痕跡であれ、“赤い惑星に居住する生命”がテーマだからです。
こういった話題は専門家だけでなく、私たちを魅了します。
金星への興味は、科学コミュニティでの研究から明らかになってきたように、その生い立ちにあります。
地球の双子星と呼ばれる金星のストーリーとは地球のものであり、いかに生命居住可能性が維持されるのかといったハビタリティに関するものになります。
そう、私たちが地球表層環境の進化や気候変動の影響を含めた将来のことを解明しようとするときに役立つのが金星の研究なんですねー
金星が地球の双子星と呼ばれるのは、サイズ、質量、太陽からの距離という点で似ているからです。
でも、この2つの惑星の状況は大きく異なっています。
金星を研究し、金星と地球がそれらの進化においていつどのように道を違えたのかを解明していくことは、私たちの星の理解を深めることにも役立つはずです。
さらに、金星での発見は地球の理解に役立つだけではありません。
太陽系の外に目を向けると、太陽以外の恒星を公転する系外惑星の発見が爆発的に増えてきています。
地球や金星に近いサイズの惑星も発見されていて、これらが生命居住可能性を維持できるかどうかという疑問は重要な研究対象になりつつあります。
すぐそこにある太陽系の惑星について知れば知るほど、遠く離れた系外惑星の世界のことをきちんと考えることができるようになるわけです。
確かに金星では、大気中にホスフィン(リン化水素。リンと水素による無機化合物、PH3)検出の可能性が示されたことにより、これが金星の雲の中の生命に由来する可能性についての議論を呼び、地球とは異なる形の生命居住可能性とは何か、という問題意識に至っています。
科学的な議論や関心の大きな的になったこの不確かな発見が教えてくれたこと。
それが、「謎を解き明かすべく再び金星に戻りたい」っと科学者たちが考えていたことでした。
推測は難しいのですが、“DAVINCI”の降下プローブによる観測からは、金星大気中の希ガスやその他の組成の正確な測定値が得られると期待されています。
そうすれば、金星がなぜ地球と違い“暴走温室効果”に見舞われたのかを解明できるはずです。
希ガスの“非反応性”から、それが惑星が形成されてからそのままの状態で保存されてきた分子化石ということができます。
したがって、地球上に存在する希ガスと金星に存在する希ガスの量を比較することで、惑星形成当初は2つの惑星が同様の状態にあったのか、もしくは金星の運命は最初から決まっていたのかを解明できるかもしれません。
また、“DAVINCI”では地球の大陸と同等のものだと考えられている金星のテッセラと呼ばれる領域の画像を、初めて高分解能で撮像することになっています。
“VERITAS”で得られる高分解能の地形図、合成開口レーダーの画像、赤外線観測を連携すれば、金星の表層部分の堅い岩盤“リソスフェア”の性質や進化を多角的に迫ることができ、さらに金星が現在も地質学的に活動的であるか、そしてテクトニクスが作用しているのかを解明できるかもしれません。
地球とよく似た大きさですが、現在の金星は地質学的な動きは鈍いようです。
火山活動やリソスフェアが現在も動いているという証拠はほとんどありません。
地球では、こういった活動が生命を維持するのに適した環境を保つため不可欠なんですねー
では、金星は地質学的な活動を一度も発達させてこなかったのでしょうか?
それとも、一度は地球と似ていたのに、そうではなくなったのでしょうか?
まだ活動が残っていて、そこから金星での地質活動史を読み解くことができるのでしょうか?
テッセラは金星の地表の中でも最も古い領域と考えられていて、“DAVINCI”のプローブが降下しながら高分解能で撮像する画像には、ここがかつては海に囲まれた大陸であった証拠が見つかる可能性があります。
一方、金星の周りを周回する“VERITAS”では、レーダー観測により得られた情報をもとに金星全球の3次元地形図を作成します。
さらに“VERITAS”は、岩石から放射される近赤外線を測定して、地殻の動きや火山のホットスポットを探すことができます。
こういったデータセットを組み合わせることで、金星の過去と現在の状態が見えてくるはずです。
NASAが“DAVINCI”と“VERITAS”の選定を発表した1週間後のこと。
ヨーロッパ宇宙機関“ESA”も“EnVision”というミッションで金星に「戻る」ことを明らかにしています。
ミッションの採択や投資は科学に基づくということはもちろん重要ですが、そこに関わる人たちにも深く関わることです。
そう、多くのエンジニアや科学者が、技術を開発し、探査機を作り、ミッションを運用することになるんですねー
運用が終了した後も、データの解析やその意味するところを解明するのに何年も、もしくは何十年も費やすことになります。
そこで期待されるのは、これらのミッションが次世代、さらにその先へと金星のコミュニティが作られるための核になること。
さらに、世界中で金星のストーリーに興味・関心が広がれば、多くのアイデアがいっぱいに詰まった真のグローバルな協力の機会が生み出されそうです。
NASAにもヨーロッパ宇宙機関にも金星ミッションがあること。
さらに、他機関のミッションにNASAやヨーロッパ宇宙機関が提供する機器が搭載されること。
そして、JAXAには現在運用中の探査機“あかつき”があります。
これらのミッションはこれから何十年もの間、金星探査を推進することのできる国際的で多様性のある、持続的なコミュニティを作るチャンスを与えてくれることになります。
金星は、これから長期的に注目されることになり、そこから新しい知見がもたらせるはずです。
どんな発見があるのでしょうか? ワクワクしますね。
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そこで発表されたのは、2030年までに打ち上げ予定の金星に向かう二つのミッション…
なぜ、いまNASAは金星に向かおうとしているのでしょうか?
金星に向けた2つのミッション
NASAは“ディスカバリー計画”のミッション選定を今年の6月に発表しました。予想外なことに2つのミッションはどちらも金星のもの。
2つの探査機は地球の内側を公転し、その大きさや質量が地球と似ていることから、しばしば地球の双子星と呼ばれる金星に向かうことになります。
専門家の多くが「NASAはそろそろ金星に戻るべき時だ」と感じていたこともあるのですが、それでも同時に二つの金星ミッションが選ばれたことは驚くべきことでした。
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金星に到着する“VERITAS”(左)と“DAVINCI”(右)のイメージ図(Credit: Lockheed Martin) |
この環境で2つのミッションでは、どのような活動をするのでしょうか。
1つ目は、金星の雲頂から地表までの大気の垂直構造に焦点を当てるミッション“DAVINCI”です。
“DAVINCI”では探査機が金星に到着すると、地表へ降下しながら大気の温度、気圧、および組成を測定するプロープを展開。
着陸前にはプロープが高分解能で金星の地表を撮像していきます。
ただ、金星地表の気温は約460度、気圧は90気圧にも達すると言われているので、着陸後の探査機は長く活動することは無いようです。
2つ目のミッション“VERITAS”では、金星の地表と内部構造に焦点が当てられます。
“VERITAS”で明らかにするのは、火山活動や地球のテクトニクスのような地質学的現象が金星で起きている手がかりがあるかどうか。
オービター(周回機)を用いて金星を覆う厚い雲を透かし地表を観測することで、金星の立体地形図を作成していきます。
これら2つのミッションから得られるデータは、2015年12月から金星の雲頂面における気象現象を観測し続けているJAXAの金星探査機“あかつき”による観測と合わせることで、金星の全体像を明らかにしてくれるはずです。
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“あかつき”のイメージ図。(Credit: 池下章裕、ISAS/JAXA) |
ディスカバリー計画
低コストで効率の良いミッションを目指し1992年に創設されたのが“ディスカバリー計画”です。すでに、NASAでは12のミッションを実施しているんですねー
NASA惑星科学部門では、宇宙探査ミッションをその予算と規模により4つのクラスに分けています。
“ディスカバリー計画”が属しているのは、キューブサットよりも少し大きい程度の探査機を扱う最小カテゴリの“SIMPLExプログラム”と、大規模な“ニュー・フロンティア計画”や“フラッグシップ”というカテゴリの間。
科学者自身が想像力を深く掘り下げ、太陽系の謎を解き明かすための新しい方法を見つけ出す機会を生み出すミッションが“ディスカバリー計画”になります。
目標は、より小さいリソースと短い開発スパンで実現可能な小規模ミッション、そして優れた成果を得ることです。
大規模な2つのカテゴリでは、10年おきに行われる調査結果(ディケーダル・サーヴェイと呼ばれているもの)や、NASAの戦略的目標を参照したコミュニティ全体による推奨に基づいて調査目標が定められています。
それに対して、“ディスカバリー計画”でミッションの行き先を決定するのは、純粋にそれぞれのミッション提案チームの好奇心だけ。
当初、“ディスカバリー計画”に2つの金星ミッションが選ばれたことは驚かれました。
でも、「2つの探査機が一緒になった方がバラバラに実施する場合より多くの科学的成果を得られる機会になる」っとすぐに認識されるようになったそうです。
これとよく似ているのが、NASAの“オシリス・レックス(OSIRIS-REx)”とJAXAの“はやぶさ2”の小惑星からのサンプルリターンミッション。
それぞれが採取したサンプルを交換する協定を結んで成果を最大化させようとしています。
つまり、惑星がどのように進化してきたかといった複雑な疑問を解明するためにも、いくつかのデータセットを得ることは不可欠なことになるということです。
並行してミッションを進めることで違った側面に関する情報を得ることもできます。
これにより、新たな発見があれば見間違いでないことを確認することもできそうです。
なぜNASAは金星に戻ることにしたのか
“DAVINCI”と“VERITAS”は、NASAが30年ぶりに金星に向かうミッションになります。NASAの金星ミッションは1990年代の探査機“マゼラン”が最後…
それでも、金星地表のデータとしていまでも価値の高いものを提供しています。
これまでにも、お隣の惑星である金星に再び探査機を送り込むミッションコンセプトはいくつかありました。
でも、どれも採択には至らなかったんですねー
では、なぜNASAはこのタイミングで金星に“戻る”ことにしたのでしょうか?
人々が納得する宇宙探査とは、“ストーリー”が伴っているものです。
それは、太陽系にある他の世界を訪れることで、私たちが知りたいと本気で思っていることにどれだけ近づくことができるかだと思います。
NASAが継続的に火星探査を行うのは、現生であれ過去のものの痕跡であれ、“赤い惑星に居住する生命”がテーマだからです。
こういった話題は専門家だけでなく、私たちを魅了します。
金星への興味は、科学コミュニティでの研究から明らかになってきたように、その生い立ちにあります。
地球の双子星と呼ばれる金星のストーリーとは地球のものであり、いかに生命居住可能性が維持されるのかといったハビタリティに関するものになります。
そう、私たちが地球表層環境の進化や気候変動の影響を含めた将来のことを解明しようとするときに役立つのが金星の研究なんですねー
金星が地球の双子星と呼ばれるのは、サイズ、質量、太陽からの距離という点で似ているからです。
でも、この2つの惑星の状況は大きく異なっています。
金星を研究し、金星と地球がそれらの進化においていつどのように道を違えたのかを解明していくことは、私たちの星の理解を深めることにも役立つはずです。
さらに、金星での発見は地球の理解に役立つだけではありません。
太陽系の外に目を向けると、太陽以外の恒星を公転する系外惑星の発見が爆発的に増えてきています。
地球や金星に近いサイズの惑星も発見されていて、これらが生命居住可能性を維持できるかどうかという疑問は重要な研究対象になりつつあります。
すぐそこにある太陽系の惑星について知れば知るほど、遠く離れた系外惑星の世界のことをきちんと考えることができるようになるわけです。
確かに金星では、大気中にホスフィン(リン化水素。リンと水素による無機化合物、PH3)検出の可能性が示されたことにより、これが金星の雲の中の生命に由来する可能性についての議論を呼び、地球とは異なる形の生命居住可能性とは何か、という問題意識に至っています。
科学的な議論や関心の大きな的になったこの不確かな発見が教えてくれたこと。
それが、「謎を解き明かすべく再び金星に戻りたい」っと科学者たちが考えていたことでした。
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NASAの“DAVINCIプローブ”が金星表面から数キロの高度で自由落下する様子(イメージ図)。“DAVINCI”は金星で初めて大気圏の最も深い下層での撮像と大気成分の計測を行う。(Credit: NASA GSFC visualization by CI Labs Michael Lentz and others) |
2つのミッションから見えてくるもの
それでは、“DAVINCI”と“VERITAS”からの最大の発見は何になるのでしょうか?推測は難しいのですが、“DAVINCI”の降下プローブによる観測からは、金星大気中の希ガスやその他の組成の正確な測定値が得られると期待されています。
そうすれば、金星がなぜ地球と違い“暴走温室効果”に見舞われたのかを解明できるはずです。
希ガスの“非反応性”から、それが惑星が形成されてからそのままの状態で保存されてきた分子化石ということができます。
したがって、地球上に存在する希ガスと金星に存在する希ガスの量を比較することで、惑星形成当初は2つの惑星が同様の状態にあったのか、もしくは金星の運命は最初から決まっていたのかを解明できるかもしれません。
また、“DAVINCI”では地球の大陸と同等のものだと考えられている金星のテッセラと呼ばれる領域の画像を、初めて高分解能で撮像することになっています。
“VERITAS”で得られる高分解能の地形図、合成開口レーダーの画像、赤外線観測を連携すれば、金星の表層部分の堅い岩盤“リソスフェア”の性質や進化を多角的に迫ることができ、さらに金星が現在も地質学的に活動的であるか、そしてテクトニクスが作用しているのかを解明できるかもしれません。
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レーダーを使用し高度および地理的特徴をとらえた高分解能マップを作成するNASAの金星周回機“VERITAS”のイメージ図。(Credit: NASA/JPL-Caltech) |
火山活動やリソスフェアが現在も動いているという証拠はほとんどありません。
地球では、こういった活動が生命を維持するのに適した環境を保つため不可欠なんですねー
では、金星は地質学的な活動を一度も発達させてこなかったのでしょうか?
それとも、一度は地球と似ていたのに、そうではなくなったのでしょうか?
まだ活動が残っていて、そこから金星での地質活動史を読み解くことができるのでしょうか?
テッセラは金星の地表の中でも最も古い領域と考えられていて、“DAVINCI”のプローブが降下しながら高分解能で撮像する画像には、ここがかつては海に囲まれた大陸であった証拠が見つかる可能性があります。
一方、金星の周りを周回する“VERITAS”では、レーダー観測により得られた情報をもとに金星全球の3次元地形図を作成します。
さらに“VERITAS”は、岩石から放射される近赤外線を測定して、地殻の動きや火山のホットスポットを探すことができます。
こういったデータセットを組み合わせることで、金星の過去と現在の状態が見えてくるはずです。
これから長期的に注目される惑星
金星にまつわる魅力的なストーリーが虜にしたのは、NASA“ディスカバリー計画”の審査員だけではありませんでした。NASAが“DAVINCI”と“VERITAS”の選定を発表した1週間後のこと。
ヨーロッパ宇宙機関“ESA”も“EnVision”というミッションで金星に「戻る」ことを明らかにしています。
ミッションの採択や投資は科学に基づくということはもちろん重要ですが、そこに関わる人たちにも深く関わることです。
そう、多くのエンジニアや科学者が、技術を開発し、探査機を作り、ミッションを運用することになるんですねー
運用が終了した後も、データの解析やその意味するところを解明するのに何年も、もしくは何十年も費やすことになります。
そこで期待されるのは、これらのミッションが次世代、さらにその先へと金星のコミュニティが作られるための核になること。
さらに、世界中で金星のストーリーに興味・関心が広がれば、多くのアイデアがいっぱいに詰まった真のグローバルな協力の機会が生み出されそうです。
NASAにもヨーロッパ宇宙機関にも金星ミッションがあること。
さらに、他機関のミッションにNASAやヨーロッパ宇宙機関が提供する機器が搭載されること。
そして、JAXAには現在運用中の探査機“あかつき”があります。
これらのミッションはこれから何十年もの間、金星探査を推進することのできる国際的で多様性のある、持続的なコミュニティを作るチャンスを与えてくれることになります。
金星は、これから長期的に注目されることになり、そこから新しい知見がもたらせるはずです。
どんな発見があるのでしょうか? ワクワクしますね。
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ヨーロッパ宇宙機関の金星ミッション“EnVision”のイメージ図。“EnVision”が解明しようとしているのは地球と金星が異なる進化をした理由。(Credit: ESA) |
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