宇宙にある質量の大半を占めながら観測できていない物質…
その物質“暗黒物質”の分布と銀河の3次元分布とを比べてみると、
不思議な関連性が見えてきたんですねー
分かってきたのが、宇宙では過去に遡るほど、
暗黒物質の分布と星形成銀河分布の関連が深くなるということでした。
暗黒物質の分布
宇宙には、ほとんど何もないところや、
反対に銀河が多く集まっているところがあります。
こうした銀河の分布のことを“宇宙の泡構造”と呼び、
とくに銀河が多く集中しているところは“銀河団”と呼ばれています。
泡構造の形成は、
暗黒物質(ダークマター)同士の重力相互作用に支配されているのですが、
暗黒物質は電磁波では観測できません。
でも、暗黒物質の分布の様子を知る方法はあるんですねー
それは“重力レンズ効果”を観測すること。
遠方の銀河の形状が、
手前の銀河団の重力によってゆがめられる“重力レンズ効果”を観測することで、
分布の様子を知ることが出来ます。
暗黒物質と銀河の分布
暗黒物質の分布と、見える銀河の分布とを比べると、
暗黒物質と銀河の星形成の関係を調べることができます。
今回の研究では、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ(HSC)を使って、
かに座方向の領域を観測し、暗黒物質の分布図を作成。
そして、約1万2000個の銀河の距離を赤方偏移から測定し、
大規模な3次元銀河分布を作成しています。
比較は、この2つの分布図で行われました。
膨張する宇宙の中では、遠方の銀河ほど高速で遠ざかっていくので、
銀河からの光が引き伸ばされてスペクトル全体が、
波長の長い方(色で言えば赤い方)にずれる現象を赤方偏移といいます。
なので、赤方偏移の量が大きいほど、遠方の銀河ということになります。
まず、それぞれの構造がよく似ていること、
つまり、銀河によって描き出された質量分布は、
暗黒物質の分布とよく一致していることが確かめられます。
さらに、赤方偏移から得られた銀河の3次元分布を宇宙の時代ごとに切り分け、
時代ごとに銀河の分布が、暗黒物質の質量分とどれくらい似ているかを調べています。
すると、50億光年先にある遠方銀河団の周りの星形成銀河の分布が、
30億光年先にある近傍銀河団の周りの星形成銀河の分布に比べて、
より暗黒物質の質量分布図と一致していることが分かりました。
このことは、遠方にいくと宇宙の泡構造に対する星形成銀河の寄与が、
より顕著になるという変化をとらえたものになります。
星形成銀河が宇宙の暗黒物質の物質分布をなぞる様子が、
宇宙の歴史の中で変化してきたことを明らかにしたんですねー
さらに遠方の宇宙の観測へ
遠方の宇宙では、今まで無視されてきた星形成銀河が、
重要な役割を果たすことが新たに分かってきました。
超広視野主焦点カメラで得られた質量分布図の中には、
さらに遠方の宇宙の情報も含まれていると考えられています。
さらに、現在開発中のすばる望遠鏡次世代超広視野多天体分光装置(PFS)が完成すれば、
より遠方の銀河を一度にたくさん分光することができます。
今後研究チームでは、超広視野主焦点カメラと、
次世代超広視野多天体分光装置のデータを組み合わせることで、
星形成活動が活発だった時代の暗黒物質と星形成銀河の様子の解明を目指すそうですよ。
こちらの記事もどうぞ ⇒ 宇宙の網を作る暗黒物質のフィラメント構造
その物質“暗黒物質”の分布と銀河の3次元分布とを比べてみると、
不思議な関連性が見えてきたんですねー
分かってきたのが、宇宙では過去に遡るほど、
暗黒物質の分布と星形成銀河分布の関連が深くなるということでした。
暗黒物質の分布
宇宙には、ほとんど何もないところや、
反対に銀河が多く集まっているところがあります。
こうした銀河の分布のことを“宇宙の泡構造”と呼び、
とくに銀河が多く集中しているところは“銀河団”と呼ばれています。
泡構造の形成は、
暗黒物質(ダークマター)同士の重力相互作用に支配されているのですが、
暗黒物質は電磁波では観測できません。
でも、暗黒物質の分布の様子を知る方法はあるんですねー
それは“重力レンズ効果”を観測すること。
遠方の銀河の形状が、
手前の銀河団の重力によってゆがめられる“重力レンズ効果”を観測することで、
分布の様子を知ることが出来ます。
暗黒物質と銀河の分布
暗黒物質の分布と、見える銀河の分布とを比べると、
暗黒物質と銀河の星形成の関係を調べることができます。
今回の研究では、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ(HSC)を使って、
かに座方向の領域を観測し、暗黒物質の分布図を作成。
そして、約1万2000個の銀河の距離を赤方偏移から測定し、
大規模な3次元銀河分布を作成しています。
比較は、この2つの分布図で行われました。
膨張する宇宙の中では、遠方の銀河ほど高速で遠ざかっていくので、
銀河からの光が引き伸ばされてスペクトル全体が、
波長の長い方(色で言えば赤い方)にずれる現象を赤方偏移といいます。
なので、赤方偏移の量が大きいほど、遠方の銀河ということになります。
銀河団領域。等高線は質量分布を表し、 赤は星形成をやめた銀河、青は星形成中の銀河。 |
まず、それぞれの構造がよく似ていること、
つまり、銀河によって描き出された質量分布は、
暗黒物質の分布とよく一致していることが確かめられます。
さらに、赤方偏移から得られた銀河の3次元分布を宇宙の時代ごとに切り分け、
時代ごとに銀河の分布が、暗黒物質の質量分とどれくらい似ているかを調べています。
距離ごとに分けて銀河分布を調べるイメージ図。 地球(観測者)から観測された銀河の3次元分布を描いている。 赤は星形成をやめた銀河。 |
すると、50億光年先にある遠方銀河団の周りの星形成銀河の分布が、
30億光年先にある近傍銀河団の周りの星形成銀河の分布に比べて、
より暗黒物質の質量分布図と一致していることが分かりました。
(上)30億光年先と(下)50億光年先の銀河団領域の拡大図。 (左)暗黒物質の質量分布、(中)星形成をやめた銀河の分布図、(右)星形成銀河の分布。 30億光年先の銀河団では質量分布に対応する星形成銀河がほとんど見えないが、 50億光年先では対応する銀河増えている。 |
このことは、遠方にいくと宇宙の泡構造に対する星形成銀河の寄与が、
より顕著になるという変化をとらえたものになります。
星形成銀河が宇宙の暗黒物質の物質分布をなぞる様子が、
宇宙の歴史の中で変化してきたことを明らかにしたんですねー
さらに遠方の宇宙の観測へ
遠方の宇宙では、今まで無視されてきた星形成銀河が、
重要な役割を果たすことが新たに分かってきました。
超広視野主焦点カメラで得られた質量分布図の中には、
さらに遠方の宇宙の情報も含まれていると考えられています。
さらに、現在開発中のすばる望遠鏡次世代超広視野多天体分光装置(PFS)が完成すれば、
より遠方の銀河を一度にたくさん分光することができます。
今後研究チームでは、超広視野主焦点カメラと、
次世代超広視野多天体分光装置のデータを組み合わせることで、
星形成活動が活発だった時代の暗黒物質と星形成銀河の様子の解明を目指すそうですよ。
こちらの記事もどうぞ ⇒ 宇宙の網を作る暗黒物質のフィラメント構造
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