恒星表面で発生するフレアが惑星に及ぼす影響が、モデルに基づいて定量的に評価されました。
惑星の大気や磁場により影響は大いに異なり、太陽系から最も近いプロキシマケンタウリの惑星は厳しい環境にあるようです。
太陽よりも表面温度が低く暗い恒星
これまでに発見されている系外惑星の数は4000個を超えていて、その中には“ハビタブルゾーン”内にある惑星も多数含まれています。
“ハビタブルゾーン”とは、恒星からの距離が程良く惑星の表面に液体の水が存在できる領域で、この領域にある惑星では生命が居住可能だと考えられているんですねー
この“ハビタブルゾーン”にある惑星が多く発見されているのが、太陽よりも表面温度が低く光度も暗い“赤色矮星”と呼ばれるタイプの恒星の周囲です。
“赤色矮星”は太陽と比べると、はるかにゆっくりと明るくなっていくので、生命が芽吹くのに必要な時間が更にあると考えられています。
ただ、赤色矮星は表面温度が低く光度も暗いので、“ハビタブルゾーン”は中心星から近くなってしまいます。
赤色矮星ではフレアと呼ばれる恒星表面の爆発現象を頻繁に起こす傾向があるので、その影響が惑星の居住可能性を左右することに…
でも、フレアの発生頻度、惑星の大気や磁場の環境などを考慮した居住可能性の定量的な評価は、これまでされてきませんでした。
今回、居住可能な惑星にフレアがどのような影響を及ぼすのかを京都大学の研究チームが調査。
NASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”の観測データに基づいたフレアの発生頻度や規模、惑星の大きさや軌道分布の情報と、惑星大気の組成や厚みなどを考慮したモデルなどを元にしています。
その結果分かったのが、地球程度の濃い大気が存在する惑星であれば、地表の放射線の強度は地球型生命に影響を及ぼすほどにはならないこと。
さらに、地球のような磁場があれば、その影響はさらに小さくなるようです。
中心星から近いと地球程度の濃い大気と磁場が必要
一方、同じ計算から分かったのが、中心星から近い惑星は恒星から受ける紫外線が強く、宇宙空間に散逸する大気の量が地球の70倍以上も大きくなることでした。
中心星から近いものとして、
太陽系に最も近い4光年彼方の赤色矮星“プロキシマケンタウリ”を巡る系外惑星や、
太陽系から39光年と比較的近い赤色矮星“トラピスト1”の系外惑星の1つがある。
こうした環境では磁場も弱いと考えられていて、結果的に高エネルギー宇宙放射線が惑星表面に直接到達してしまうことに…
結果、毎年1回発生する規模のフレアでも致命的な影響を受ける可能性があるそうです。
これらの惑星系は太陽系から近いので、最近特に注目されているんですねー
でも、大気を維持するメカニズムなどがない限り、生命が居住可能だと評価することは難しいようです。
今回の研究では、赤色矮星ではない太陽型恒星でも稀に起こる、規模の大きな“スーパーフレア”の影響についても評価を行っています。
これまでに太陽で観測された最大規模のスーパーフレアが起こった場合、大気が極めて薄く磁場を持たない火星の場合は、地球と比べて1000~100万倍もの放射線強度になる可能性も確かめられました。
太陽風が火星を不毛な環境にした? 大気喪失メカニズムによる気候変動
研究チームは今後、より多くの系外惑星系にモデルを適用して、どの系外惑星が生命を育む可能性が高いかの評価を継続していきます。
また、太陽系内の惑星にも同じモデルを用いて、月や火星における人間活動へ宇宙放射線が及ぼす影響も調べる予定です。
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これまでに発見されている系外惑星の数は4000個を超えていて、その中には“ハビタブルゾーン”内にある惑星も多数含まれています。
“ハビタブルゾーン”とは、恒星からの距離が程良く惑星の表面に液体の水が存在できる領域で、この領域にある惑星では生命が居住可能だと考えられているんですねー
この“ハビタブルゾーン”にある惑星が多く発見されているのが、太陽よりも表面温度が低く光度も暗い“赤色矮星”と呼ばれるタイプの恒星の周囲です。
“赤色矮星”は太陽と比べると、はるかにゆっくりと明るくなっていくので、生命が芽吹くのに必要な時間が更にあると考えられています。
ただ、赤色矮星は表面温度が低く光度も暗いので、“ハビタブルゾーン”は中心星から近くなってしまいます。
赤色矮星ではフレアと呼ばれる恒星表面の爆発現象を頻繁に起こす傾向があるので、その影響が惑星の居住可能性を左右することに…
でも、フレアの発生頻度、惑星の大気や磁場の環境などを考慮した居住可能性の定量的な評価は、これまでされてきませんでした。
フレアを起こした恒星(左)と惑星のイメージ図。 |
NASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”の観測データに基づいたフレアの発生頻度や規模、惑星の大きさや軌道分布の情報と、惑星大気の組成や厚みなどを考慮したモデルなどを元にしています。
その結果分かったのが、地球程度の濃い大気が存在する惑星であれば、地表の放射線の強度は地球型生命に影響を及ぼすほどにはならないこと。
さらに、地球のような磁場があれば、その影響はさらに小さくなるようです。
中心星から近いと地球程度の濃い大気と磁場が必要
一方、同じ計算から分かったのが、中心星から近い惑星は恒星から受ける紫外線が強く、宇宙空間に散逸する大気の量が地球の70倍以上も大きくなることでした。
中心星から近いものとして、
太陽系に最も近い4光年彼方の赤色矮星“プロキシマケンタウリ”を巡る系外惑星や、
太陽系から39光年と比較的近い赤色矮星“トラピスト1”の系外惑星の1つがある。
こうした環境では磁場も弱いと考えられていて、結果的に高エネルギー宇宙放射線が惑星表面に直接到達してしまうことに…
結果、毎年1回発生する規模のフレアでも致命的な影響を受ける可能性があるそうです。
これらの惑星系は太陽系から近いので、最近特に注目されているんですねー
でも、大気を維持するメカニズムなどがない限り、生命が居住可能だと評価することは難しいようです。
今回の研究では、赤色矮星ではない太陽型恒星でも稀に起こる、規模の大きな“スーパーフレア”の影響についても評価を行っています。
これまでに太陽で観測された最大規模のスーパーフレアが起こった場合、大気が極めて薄く磁場を持たない火星の場合は、地球と比べて1000~100万倍もの放射線強度になる可能性も確かめられました。
太陽風が火星を不毛な環境にした? 大気喪失メカニズムによる気候変動
研究チームは今後、より多くの系外惑星系にモデルを適用して、どの系外惑星が生命を育む可能性が高いかの評価を継続していきます。
また、太陽系内の惑星にも同じモデルを用いて、月や火星における人間活動へ宇宙放射線が及ぼす影響も調べる予定です。
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