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モバライダー mobarider

ブラックホール周辺で起こる活動的な現象には、磁場が重要な役割を果たしていた?

2015年12月15日 | 宇宙 space
天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール。


このブラックホール“いて座A*”付近の電波観測から、
すぐ近くに存在する複雑な磁場構造が明らかにされ、
時間変動もとらえられたんですねー

このことは、ブラックホール周辺の活動的な現象に対して、
磁場が重要な役割を果たしているとする説の観測的な裏付けになり、
物理過程の解明につながる大きな成果になるそうです。


電波望遠鏡を組み合わせた高解像度観測

天の川銀河の中心には、
太陽の430万倍もの質量を持つ超大質量ブラックホール
“いて座A*(エー・スター)”が存在しています。

その直径は約2600万キロ。

こんなに大きいのに、約2万5000光年離れている地球からだと、
小さくしか見えないんですねー

なので、“いて座A*”の周囲の様子を明らかにするには、
非常に高い解像度の観測が必要になります。

今回の研究では、
ハワイとアメリカ本土にある4台の電波望遠鏡を
VLBI(超長基線電波干渉法)という技術で接続。

直径4000キロ相当の巨大な電波望遠鏡を構成し“いて座A*”を高解像度観測しています。

この手法を用いることで、
“いて座A*”の周辺を詳しく調べることができたんですねー


磁場が果たす役割

今回の観測の最大の特徴は、
これまでより高感度化したことにより偏光の計測が、
初めて可能になったことです。

観測の結果、
“いて座A*”のブラックホール半径の6倍ほどの領域から出る放射が、
直線的に偏光している様子が初めて計測されています。

また、その偏光の度合いから、
“いて座A*”の周りの磁力線は、一部が渦を巻いていたり複雑に絡み合ったりした、
「絡まったスパゲッティ」のような状態になっていることも…

ただ、磁力線は際限なく絡み合っているわけではなく、
ブラックホール1、2個分の大きさまで細かく見るときれいに整列していて、
この構造は15分程度の短い時間で変動していたんですねー
“いて座A*”のブラックホール極近傍領域(イメージ図)。
磁場構造(磁力線)も描かれている。

ブラックホールの周囲には、
降着円盤からのガス流入やジェットの生成などがあり、
これらの活動的な現象がエネルギーを生み出す「ブラックホールエンジン」として、
とらえられています。

理論モデルでは、
こうした現象に磁場が重要な役割を果たしていると考えられてきました。

今回の観測は、実際にブラックホールの周辺で、
磁力線が複雑に絡まりながら短時間で変動している様子が、
初めてとらえられたもので、
理論モデルを観測的に裏付けるという大きな意義を持っているんですねー

また今回の観測は、
ブラックホールの姿そのものを撮像するという
“Event Horizon Telescope(EHT)”の実現に向けても、
重要なステップになるそうです。

EHTでは解像度をさらに向上させるために、
今回組み合わされた望遠鏡群に、ヨーロッパや南米にある電波望遠鏡を加える予定です。

そして、ブラックホールの表面ともいえる「事象の地平線(event horizon)」を、
初めて直接撮影することを目指すそうですよ。


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