約50年前にアポロ14号の宇宙飛行士が地球に持ち帰った月の石。
分析してみると地球ではよく見つかる物質が見つかったんですねー
この石は月面で見つかることは非常に珍しいもの。
なので、40億年前の天体衝突によって地球から飛び出し、月に到達したものかもしれないそうです。
酸素のある環境で結晶化した物質
48年前のこと、アポロ14号の月探査で岩石のサンプルが地球に持ち帰られました。
1971年2月に月面で作業を行うアポロ14号の宇宙飛行士。 |
スウェーデン自然史博物館の研究チームによる分析で見つかったのは、質量2グラムの岩石の破片中に石英や長石、ジルコニウムといった物質。
これらはいずれも地球ではよく見つかるもの。
でも、月面で見つかることは非常に珍しい物質なんですねー
化学分析から示されたのは、この破片が地球のような酸素のある環境で結晶化したものだということ。
月の奥深くのマントルで形成された可能性もあるのですが、地球で作られたと考える方がシンプルですね。
今回、分析用のサンプルが採取された月の石。 矢印の先が地球で形成されたと考えられる珪長岩。 |
なぜ月にあったのか?
研究チームが考えるシナリオは次のようなものです。
まず、40億年前から41億年前に、岩石が地球の表面から約20キロの深さのところで結晶化。
その後、小惑星や彗星のような天体の衝突によって地表が掘り起こされ、岩石が地球から飛び出し月に到達します。
当時の月は今よりも地球に近いところにあり、その距離は現在(約38万キロ)の3分の1しかありませんでした。
月に到達した地球由来の岩石は、月への天体衝突によって部分的に融け、月の地下へと埋められることになります。
そして、長い年月を経た後、今から約2600万年前にこの岩石が埋まっているあたりに小惑星が衝突し、直径340メートルのコーンクレーターを形成。
画像中の一番左にある“ALSEP”は月面上における各種実験装置群、 その右が着陸船“アンタレス”の下降段。 さらに右上のコーンクレーターまで、宇宙飛行士が歩いた跡が細い筋になっている。 |
コーンクレーターが選ばれたのは月の地下に眠る物質が露出していて、貴重なサンプルが採取できると考えられたからでした。
“冥王代”と呼ばれる、今から40億~46億年前(地球誕生から5~6億年間)の地球で、この岩石が誕生したという考えは理にかなっているのですが、議論の余地も大きいんですねー
もし、正しいということになれば、月で同様の岩石がもっと見つかるはず。
今後の探査や研究が楽しみですね。
こちらの記事もどうぞ
月の内部に水が存在する新たな証拠
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます