宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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明石港までプチツーリング (^^♪ 昭和15年創業の老舗食堂で蛸と穴子を食べてきました!

2020年06月20日 | バイク・旅・ツーリング
都道府県をまたぐ移動の自粛解除が来ました!
梅雨に入っちゃいましたが、これで気兼ねなくツーリングに行けますね~
っということで、過去のツーリングを記事にするのは今回が最後です。

走りに行ったのは1年前の4月27日(土)。
次の日から天気は下り坂… っということで、フラ~っとプチツーリングで朝ご飯を食べてきました。

出発したのは朝の7時。 残念ながらすでに曇り空でした。
今回の目的地は明石港なので、高速は使わず国道2号を西に走っていきます。

1時間ほどで着いたのが、前から行ってみたかった“みなと食堂”さんです。
淡路ジェノバラインの乗り場が目の前にある食堂。 魚の棚商店街にも近いので、ブラブラ歩いて明石焼きを食べるのもいいですよ。


“みなと食堂”さんは創業が昭和15年の老舗の食堂です。

ひとことで言うと、昭和の香りがするこぢんまりとした大衆食堂。
並べてある総菜や壁に貼られたメニューから、港で働く人たちの胃袋を満たしてきたんだなぁ~ っと想像しちゃいます。

さて、店内を一通り見渡したところで朝食の注文です。
明石と言えば真たこの水揚げ日本一! それに鯛や穴子も有名ですよね。
今回は初めてなので、“みなと食堂”さんの名物メニュー“焼き穴子どんぶり”と“明石たこ入だし巻玉子”を注文しました。

まずは、トロトロの玉子でとじられた焼き穴子の丼。
量の割に穴子の香りと味がしっかりとしていて、味付けは少し濃いめでした。
少し変わっているのは、つゆだく状態の明石たこ入りの出汁巻き玉子。
ふわとろなので、玉子焼き(明石焼き)のように崩れやすく、たこの食感がいいアクセントになってました。

どちらも、絶品ってわけじゃないけど、大衆食堂の美味しい料理。
店の雰囲気も含めて、バイクじゃなかったらビールを注文したいメニューでした。

○○○

和歌山方面のツーリングだと、和歌山駅近くにある“ねぼけ食堂”さんが朝の7時から営業しています。
淡路島や四国方面へのツーリングでは“みなと食堂”さんが朝7:30から営業しているので、ここで朝食を食べてから目的地に向うのもありですね。

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超大質量ブラックホールの起源が見えてきた! ビッグバン直後でなくても大質量星が形成されるメカニズムを発見

2020年06月19日 | ブラックホール
ほとんどの銀河の中心にあるとされる超大質量ブラックホールは、どのように形成されたのでしょうか?。
これまで考えられていたのは、ガス雲が集まって超大質量ブラックホールの種となる大質量星を作れるのは、宇宙誕生直後に限られるということ。
でも、今回、ビッグバンから数億年以上経って重元素がばら撒かれた後でも、大質量星が形成されうることが分かってきました。
国立天文台のスーパーコンピューター“アテルイII”を用いたシミュレーションにより示されたそうです。


超大質量ブラックホールの起源

私たちが属する天の川銀河をはじめとして、ほとんどの銀河の中心には、太陽の数百倍から数十億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。

最大のものだと太陽の100億倍にも達する超大質量ブラックホールの質量ですが、どのように形成されたのかは未だによく分かっていないんですねー

起源の一つとして考えられているのは、莫大な量のガスが一気に収縮して太陽質量の10万倍以上の超大質量星になり、それがブラックホールになって、さらに周囲の物質を取り込んで成長するというもの。

これまでの理論では、ガス雲から超大質量星が直接形成されうるのは、宇宙空間にほぼ水素とヘリウムしか存在しないことが条件でした。
時期としはビッグバン直後の数億年に限られています。

でも、この理論で解明できるのは、宇宙初期に形成された一部の超大質量ブラックホールの起源のみ…
現在観測されている、より多くの超大質量ブラックホールの数を説明できていませんでした。


重元素を含んだガス雲でも大質量星は形成される

ビッグバンから数億年以上経つと、恒星内部の核融合で生成された酸素や炭素などの重元素が超新星爆発によってまき散らされ、ガス雲の中に混ざっていきます。

これまで予測されていたのは、重元素を多く含むガスは冷え易くなるので、ひとまとまりになる前に局所的に収縮し、質量はバラバラのままになるというもの。
膨大な量のガスが一気に収縮することがないので、大質量星は生まれないことになります。

ただ、この予測は計算機の性能が不足していたため、詳細には検証されていないんですねー
なので、ガスが分裂した後の進化はよく分かっていませんでした。

そこで、東北大学の研究チームは、少量の重元素を含んだガス雲から超大質量ブラックホールの種になる大質量星が形成される可能性を確かめることにします。
予測していたのは、分裂したガス同士がその後の進化で合体し、大質量星を形成するかもしれないというものでした。

研究では、重元素を含むガス雲の長期間にわたる進化を、高解像度の3次元でシミュレーション。
シミュレーションには、国立天文台のスーパーコンビューター“アテルイII”が用いられています。

すると、これまでの予測に反して、重元素が存在する環境下でも、大質量星が形成されうることが明らかになります。

これは、重元素の存在によってガス雲は激しく分裂するものの、依然としてガス雲の中心へと激しいガスの流れが存在するためでした。
ブラックホールの種になる大質量星の形成(イメージ図)。(Credit: 国立天文台)
ブラックホールの種になる大質量星の形成(イメージ図)。(Credit: 国立天文台)
分裂により小さい星は多数形成されるものの、それらの多くは中心へ流れ込むガスに引きずられることで、中心付近に形成された重い星と衝突、合体。
このようにして重い星が効率よく成長し、太陽質量の1万倍という大質量星の形成が可能になります。

重元素を含むガス雲から、これほど大きいブラックホールの種が形成されることを示せたのは、今回の研究が初めてでした。
この大質量星が、さらに成長を続けることで、超大質量ブラックホールに進化すると考えられます。
ブラックホール形成時の宇宙における物質分布(背景)とブラックホールを生み出すガス雲の密度分布(手前)のシミュレーション結果。手前の図において、中心付近にある黒い点が表しているのが、ブラックホールに進化すると考えられる大質量星。白い点は、ガス雲の激しい分裂により形成された小さな星で、それらの多くが中心の大質量星と合体し、星が効率よく成長する。(Credit: Sunmyon Chon)
ブラックホール形成時の宇宙における物質分布(背景)とブラックホールを生み出すガス雲の密度分布(手前)のシミュレーション結果。手前の図において、中心付近にある黒い点が表しているのが、ブラックホールに進化すると考えられる大質量星。白い点は、ガス雲の激しい分裂により形成された小さな星で、それらの多くが中心の大質量星と合体し、星が効率よく成長する。(Credit: Sunmyon Chon)
今回のシミュレーションに基づく大質量星形成モデルは、初期宇宙にしか適用できなかったこれまでのモデルの限界を突破するものでした。
天の川銀河の中心に存在する超大質量ブラックホール“いて座A*”を含む、あらゆる超大質量ブラックホールの起源を説明する理論に一歩近づいたと言えそうですね。
重元素を含むガス雲で形成される星の質量分布。最初の星形成から約1万年の進化を計算したもの。炭素や酸素などの重元素の存在によりガス雲が激しく分裂し、太陽質量(値=1)付近にピークを持つ分布が存在する。一方、太陽の1万倍の質量を持つ大質量星も同時に形成されることが分かる。それらの星は、さらに質量が成長し、最終的に重いブラックホールに進化すると考えられる。(Credit: Sunmyon Chon)
重元素を含むガス雲で形成される星の質量分布。最初の星形成から約1万年の進化を計算したもの。炭素や酸素などの重元素の存在によりガス雲が激しく分裂し、太陽質量(値=1)付近にピークを持つ分布が存在する。一方、太陽の1万倍の質量を持つ大質量星も同時に形成されることが分かる。それらの星は、さらに質量が成長し、最終的に重いブラックホールに進化すると考えられる。(Credit: Sunmyon Chon)

ブラックホールの種になる大質量星形成のシミュレーション


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太陽系から最も近い地球サイズの惑星プロキシマケンタウリbの正確な質量が分かってきた! 気になるのは大気の存在。

2020年06月17日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
太陽系から最も近い距離にある系外惑星プロキシマケンタウリb。
この系外惑星は、これまで質量が地球の約1.3倍と見積もられていました。
でも、現在稼働している分光器の中で最高精度を誇る“ESPRESSO”による観測で、地球質量の約1.17倍という正確な値が得られたようです。


恒星のスペクトル変化から惑星の存在を検出する

恒星の中でも太陽系に近い約4.2光年の距離にあるプロキシマケンタウリ。
このプロキシマケンタウリを公転している地球サイズのプロキシマケンタウリbは、2016年に発見された系外惑星です。

プロキシマケンタウリbは11.2日周期で公転し、その重力に引っ張られて中央のプロキシマケンタウリも11.2日の周期でぶれているんですねー

主星の周りを公転している惑星の重力で、主星が引っ張られると地球からわずかに遠ざかったり近づいたりします。
この動く速度(視線速度)に応じて変化する恒星のスペクトルを読み取ることで検出されたのが、惑星プロキシマケンタウリbの存在でした。


次世代の分光器“ESPRESSO”による計測

今回の研究では、スペイン・カナリア天体物理研究所のチームがプロキシマケンタウリbの質量を調べています。

研究チームは、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTに搭載されている分光器“ESPRESSO”を用いて、プロキシマケンタウリの視線速度を高精度で計測。
すると、プロキシマケンタウリbの質量が、地球の1.17倍前後(下限値)であるという値が得られます。

これまで見積もられていた質量は地球の約1.3倍以上… 今回の調査により正確な値が求められたわけです。

“ESPRESSO”による精密な計測は、他にも驚くべき結果をもたらしています。
それは、データ中に不確定ながら、第2の惑星の存在を示す可能性のある信号が発見されたことでした。

もしも信号が惑星起源のものであれば、地球質量の3分の1以下の惑星が存在していることになります。
このサイズの惑星は、視線速度の計測によって発見された中でもっとも小さなものになるようです。

2016年にプロキシマケンタウリbを発見したのは、同じVLTに搭載されていた分光器“HATPS”を用いた観測でした。

翌年に稼働した次世代の分光器“ESPRESSO”では、プロキシマケンタウリの視線速度を秒速30センチ以内の誤差という精度で計測。
これは“HARPS”の約3倍という精度でした。

“ESPRESSO”のおかげで、プロキシマケンタウリの質量が地球質量の10分の1以下の精度で測定でき、地球質量の3分の1以下の惑星が存在する可能性も示されたわけです。
ジュネーブ大学天文学部のクリーンルームにある分光計“ESPRESSO”。(Credit: Unviersity of Geneva)
ジュネーブ大学天文学部のクリーンルームにある分光計“ESPRESSO”。(Credit: Unviersity of Geneva)


太陽よりも暗い恒星を回る惑星

プロキシマケンタウリbから中心星であるプロキシマケンタウリまでの距離は、地球から太陽までの約20分の1しかありません。

ただ、プロキシマケンタウリは太陽よりもはるかに暗い“赤色矮星”というタイプの恒星。
なので、プロキシマケンタウリbが中心星から受け取るエネルギーの量は、地球が受け取るのと同じくらいだと考えられています。

このため、惑星の表面温度も地球と似ている可能性があり、惑星の表面温度は水が液体の状態で存在できる程度になっていて、そこには生命に適した環境があるかもしれません。

でも、プロキシマケンタウリは活動が活発なので、プロキシマケンタウリbに届くX線は地球が太陽から受ける量の約400倍にもなるんですねー

このような致死的な光線から惑星を守る大気は存在しているのでしょうか?
大気が存在するなら、酸素といった生命の進化を促す元素が含まれているのでしょうか?
さらに、これらの好条件はどれだけ続いたのでしょうか?

もし、プロキシマケンタウリbに地球程度の濃い大気が存在していれば、地表の放射線の強度は地球型生命に影響を及ぼすほどにはならないそうです。
さらに、地球のような磁場があれば、その影響はさらに小さくなることに…

今後、研究チームでは、これらの疑問や可能性についての調査に取り組んでいくことになります。

そのために必要なのが、プロキシマケンタウリbからの光を検出するために製作する分光器“RISTRETTO”。
さらに、ヨーロッパ南天天文台の次世代39メートル超大型望遠鏡“ELT”に搭載予定の分光器“HIRES”の助けを借りれば、きっと研究が進むはず。どんな新しい発見があるのかワクワクしますね。
プロキシマケンタウリb表面のイメージ図。明るく描かれているのが中心星のプロキシマケンタウリで、その右の2つの点はプロキシマケンタウリと共に3連星を成すリギルケンタウルスとトリマン。(Credit: Unviersity of Geneva)
プロキシマケンタウリb表面のイメージ図。明るく描かれているのが中心星のプロキシマケンタウリで、その右の2つの点はプロキシマケンタウリと共に3連星を成すリギルケンタウルスとトリマン。(Credit: Unviersity of Geneva)


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天の川銀河で3度も星の誕生が増えたのは矮小銀河の衝突が原因だった!? この衝突で太陽も誕生したのかも。

2020年06月15日 | 銀河・銀河団
位置天文衛星“ガイア”の観測データを利用した研究から、天の川銀河で星の誕生が増えた時期が3回存在することが判明しました。
この3度のタイミングと一致したのが矮小銀河の衝突。
“いて座矮小銀河”は、過去3度にわたって天の川銀河と衝突していたようです。


天の川の周りを回っている‪銀河

“いて座矮小銀河”は、天の川銀河の周りを回っている‪伴銀河の1つで、1990年代まで存在が知られていなかった小規模な銀河です。
伴銀河(衛星銀河ともいう)とは重力の相互作用により、より大きな銀河の周囲を公転する銀河。

この小さな銀河は、過去に繰り返し天の川銀河の円盤を突き抜け、天の川銀河の星の動きに深い影響を及ぼしていたことが、これまでの研究で示唆されています。

天の川銀河のトレードマークである渦巻も、“いて座矮小銀河”が繰り返し衝突した結果形成されたものだと主張する論文もあるほどです。

最新の研究で分かってきたのは、その衝突のたびに天の川銀河で大量の星が生まれていること。
私たちの太陽も、その衝突で生まれた星の1つかもしれないんですねー


星の形成が促進された3回のタイミングと矮小銀河による3度の衝突

今回の研究では、スペイン・カナリア天体物理研究所のチームが、太陽を中心とした半径6500光年の球内にある星の光度、距離、色を調査。
ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星“ガイア”が集めたデータを用いています。

調査結果から導き出される星々の年齢から分かってきたのは、57億年前、19億年前、10億年前という3回のタイミングに、星の形成が促進されていた時期があることでした。

一方で“いて座矮小銀河”が天の川銀河と衝突したのも3回。
最初の衝突が50~60億年前、2度目が約20億年前、3度目が10億年前ごろとされているので、星形成が促進されていた時期と、見事なまでの一致を見せているんですねー
“いて座矮小銀河”(黄色っぽい楕円)と天の川銀河の変遷のイラスト。上段左から順に80億年前、57億年前の1度目の衝突、30億年前、19億年前の2度目の衝突、10億年前の3度目の衝突、現在。(Credit: ESA)
“いて座矮小銀河”(黄色っぽい楕円)と天の川銀河の変遷のイラスト。上段左から順に80億年前、57億年前の1度目の衝突、30億年前、19億年前の2度目の衝突、10億年前の3度目の衝突、現在。(Credit: ESA)
衝突のシナリオは以下の通りです。

天の川銀河では、最初に爆発的に星が生まれる時期があったが、やがて安定した状態になり一定のペースに落ち着いていきます。

ところが、突然衝突してきた“いて座矮小銀河”により平衡状態が崩れてしまいます。

すると、それまで静止していたガスやチリが、水面の波紋のように跳ね上がることに…
このようにして、天の川銀河の中に波紋が広がると、ガスやチリが押し寄せた部分で星の誕生が促進されるというわけです。

このことから研究チームが考えているのは、“いて座矮小銀河”が天の川銀河における星の形成に大きく寄与しているのではないかということ。
反対に、衝突のたびにガスやチリを剥ぎ取られた“いて座矮小銀河”は、小さくなっていったようです。


衝突は太陽系の誕生にも関わっている?

この“いて座矮小銀河”による衝突がなければ、私たちの太陽系も誕生していなかった可能性もあるようです。

太陽が生まれた時期として考えられているのは、“いて座矮小銀河”が初めて天の川銀河を通過したときの影響で星々が誕生していた頃。
ただ、太陽の材料になったガスとチリを収縮させた原因が“いて座矮小銀河”かどうかは、まだはっきりしていないんですねー
太陽の年齢が“いて座矮小銀河”の影響で生まれた星と一致するので可能性はありそうです。

さらに、今回の研究データが示唆しているのは、“いて座矮小銀河”が数億年前にも天の川銀河の円盤を突き抜けたという可能性でした。

実際、新たな研究によれば、最近になって星の形成率が増加しているので、現在の天の川銀河では星のベビーブームが進行しているのかもしれません。

位置天文衛星“ヒッパルコス”が1990年代初期に取得した観測データを元に、天の川銀河における星形成の歴史はいくらか特定されていました。
“ヒッパルコス”は1989年に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星。

でも、その観測は太陽のごく近傍に限定されていて、銀河全体を代表するものではありませんでした。
今、私たちが見ている爆発的な星形成を明らかにすることはできなかったんですねー

2013年に打ち上げられた“ガイア”は、天の川銀河に属する恒星の位置と速度、性質を、きわめて精密に測定・記録してきました。
これらは、天の川銀河の起源や構造、そして進化に関する重要な問題に取り組む際の基礎データになるものです。

今回、天の川銀河における星形成の詳細な歴史を見れたのは“ガイア”の観測データのおかげですね。


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太古の火星は温暖化と寒冷化を数千万回にわたって繰り返していたようです

2020年06月13日 | 火星の探査
今回、NASAの火星探査車“キュリオシティ”が見つけたのは、太古の火星環境についての証拠。
太古の火星には、水が数百年も流れ続ける温暖な時期や、湖が凍ってしまう寒冷な時期があったようです。


太古の湖の泥でできた堆積物の層

火星の上空を周回する探査機や、地表に着陸した探査車などによって、火星では水が干上がったことで形成された地形や鉱物が続々と発見されています。

このことから、太古の火星に水が存在したことは確実視されているんですねー

さらに、私たちの気を引くのが有機物の発見です。
水と有機物とくれば、生命が存在していたのか? そして今も生き残っているのか? っと考えたくなりますよね。
でも、過去の火星が、どのような環境だったのかを調べるのは容易なことではありません。

特に、湿潤な環境を維持できるほど温暖な気候であったかどうかは重要な問題になります。

NASAの火星探査車“キュリオシティ”により分かっているのは、かつての火星は温暖化と寒冷化を繰り返していた可能性があること。

“キュリオシティ”が着陸したゲールクレーターの中央に位置するシャープ山の裾から見つかったのは、太古の湖の泥でできた厚さ約300メートルの堆積物の層でした。

堆積物がこれだけの厚さになるには、数百万年から数千万年にもわたり温暖で湿った期間が続き、湖に水が流れ込み続けたはずです。

ところが、その一方でクレーターの中には、火星が寒冷期に転じたときの名残りも見つかっているんですねー
ゲールクレーターの一部を満たす湖のイラスト。“キュリオシティ”によるクレーターの堆積物の探査から、30億年以上昔に湖が満たされたり干上がったりを、数千万回にわたって繰り返していたことが示唆されている。(Credit: NASA/JPL-Caltech/ESA/DLR/FU Berlin/MSSS)
ゲールクレーターの一部を満たす湖のイラスト。“キュリオシティ”によるクレーターの堆積物の探査から、30億年以上昔に湖が満たされたり干上がったりを、数千万回にわたって繰り返していたことが示唆されている。(Credit: NASA/JPL-Caltech/ESA/DLR/FU Berlin/MSSS)


かつての火星に存在した濃い二酸化炭素の大気

今回の研究を進めているのはNASAゴダード宇宙飛行センターのチーム。
“キュリオシティ”が集めたチリと岩石のサンプルを、探査車に搭載された試料分析ユニット“SAM”の中で最大摂氏約900度にまで加熱。
鉱物が分解して放出する二酸化炭素と酸素、およびその際の温度を調べています。

かつての火星には、濃い二酸化炭素の大気が存在したと考えられています。
その大半は宇宙空間に逃げてしまうのですが、一部は炭酸塩という形で岩石に閉じ込められた可能性があります。

岩石から、その二酸化炭素、あるいは二酸化炭素を構成する酸素原子と炭素原子を取り出して分析することで、太古の火星の大気や環境に関する情報を得ようというわけです。

同じ酸素という元素でも、“同位体”といって微妙に質量が異なる複数の原子が存在しています。

研究チームが突き止めたのは、一部の鉱物に含まれる酸素原子が、大気中の二酸化炭素を構成する酸素よりも平均して軽いこと。

二酸化炭素が水に溶けて水底の岩石に取り込まれるという単純な過程では、重い酸素の同位体が選ばれやすくなります。
でも、軽い同位体が多かったということは、反応が起こった時点で湖が凍っていて、重い同位体が氷の中に取り込まれていたという可能性があります。

ある時点で、火星は温暖で湿潤な時代から、現在のような冷たく乾いた時代へと移行したことになります。
分からないのは、いつどのように気温の変化が起こったのかということ。

気温の変化を引き起こす要因としては、火星の自転軸の傾きや火山の活動量などが考えられるようです。


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