ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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フジ予習:モリアーティ

2010-07-20 08:06:24 | フジロック
MORIARTY / THE LOST SCENES OF PUSS 'N' BOOTS

フジロック予習特集第6弾! モリアーティ!

フランスから登場するシュールなルーツ楽団、モリアーティ。その独特な感性で綴られるフォーキーな物語は、まるでブルースやジャズが魔力を持っていた時代、場末のキャバレーから三文オペラ、それらに迷い込んだ不思議の国のアリスのよう。昨年、ラフォーレ原宿で行われた「LAFORET SOUND MUSEUM 2009」のメイン・アクトとして来日し、刺激的且つ情緒豊かなパフォーマンスで喝采を浴びたことも記憶に新しいですね。私はその時、2日連続で彼らのライヴを観に行き、すっかり虜になってしまいました。

メンバーはローズマリー(vo)、ズィム(b)、シャルル(g)、アルチュール(g)、トマ(hrp)の5人組。それぞれがモリアーティ姓を名乗る架空の兄弟バンドです。架空と言うところが何処か謎めいていますよね。そんな彼らが多彩な楽器を持ち替えながら「どこにもない架空のアメリカ音楽」を奏でます。注目は幼い頃から数百曲ものアメリカの歌を教わり、クラシックやオペラの歌唱も学んでいたという紅一点のヴォーカリスト、ローズマリー。彼女の歌は良いですよ! 声質そのものにオールドタイムな香りが漂っていますし、知らず知らずに聴く者を物語の中へ迷い込ませてしまうような、そんなストーリーテラーとしての神秘的な魅力を感じさせられます。

もちろんバックの演奏も味わい深い。フォーキーな魔力を奏でるアルチュールのアコギ、情緒豊かなスウィング感を演出するズィムのベース、そこにシャルルの弾くドブロ・ギターが絡み、トマの吹くブルース・ハープが炸裂する。アコースティック主体ながら、時にブルージーに、時にロック的に、時に演劇のようにと、様々な色彩を見せてくれます。そんな彼らのライヴ・パフォーマンスについては以前にさんざん書いたので、興味のある方々はそちらを読んで頂けると嬉しい限りですが、今回はフジロックなのです!

しかもオレンジ、アヴァロン、木道亭、苗場食堂と、多数のステージに出演します。これは楽しみですね~。彼らの公式サイトには、『ダブリン波止場、刑務所、精神病院、フランス国営テレビ、トスカーナの廃城、大西洋横断航路の船上、夜行列車、パリの路上、さまざまなコンサートホール、バー、クラブなどでどこでも演奏し、ライヴ・バンドとして人気を獲得する。』と紹介されています。つまり色々なシチュエーションでライヴを行なうのは彼らの得意とするところ。それぞれで違った印象のライヴを見せてくれるかもしれませんね。おそらく各所を不思議なモリアーティ色に染めつつジワジワとフジロックを浸食して行ってくれることでしょう。

そして6人目のメンバーと言われるジルベール・モリアーティ(鹿の剥製)も来日するのか?というあたりも注目。昨年は通関が大変ということで連れて来れなかったそうです。ステージには代わりにジローと名付けられた熊が居ました。果たして今年は? そして宝探しを企画する会社の社長を務めるというシャルルは、苗場でもエニグマを用意してくれるのか?

とにかくフジロックでのモリアーティ、見逃せません!!個人的には木道亭と苗場食堂が楽しみです!


*写真のアルバムは先日国内リリースされた「THE LOST SCENES OF PUSS 'N' BOOTS」。邦題は「モリアーティ・ランドの長靴を履いた猫」。モリアーティ流の架空のサウンドトラック盤ということですが、なるほど想像力を掻き立てられるような曲が並んでいます。特に1曲目の「La Habanera」にはやられました。ビゼーの有名なオペラ「カルメン」の中で歌われるアリアをベースにした曲。アリアとブルースが渾然一体となったようなアレンジが凄まじく格好良い!さらにローズマリーの儚い毒を含んだような可愛らしい歌声も素晴らしいですが、トマの吹くブルース・ハープに痺れまくりです! 全体的には、楽曲単位と言うよりコンセプト作品としてアルバム1枚通しで楽しむ作品ですね。シュールに破錠したような小曲も効いてます。あらためて彼らの映像的な表現力に脱帽です。でも、ローズマリーの歌を楽しみたい方々には、1st作「GEE WHIZ BUT THIS IS A LONESOME TOWN」の方がお勧めです。


では、いくつかモリアーティのライヴ映像をご紹介。

http://www.youtube.com/watch?v=bJpyJLuxQ9w&feature=related
演劇要素の強い「Animals can't laugh」。本来ベーシストのズィムがギターを弾き、ギタリストのアルチュールがベースを弾いています。こういった楽器の持ち替えが頻繁に行なわれるのもモリアーティの面白いところ。それにしてもディープな演奏です。

http://www.youtube.com/watch?v=VPiZEuaUQto&feature=related
デペッシュ・モードのカヴァー「Enjoy the Silence」。ローズマリーが抱いている鹿の頭がジルベール・モリアーティ。昨年の来日公演では熊をダッコしていました。シャルルの鉄琴にも注目。

http://www.youtube.com/watch?v=29N2XEr2SNU&feature=related
ロック的高揚感を持った「Whiteman's ballad」。何と言っても5分30秒過ぎのトマのハープです!個人的にはこの曲でのトマこそライヴのハイライトです。あ~、苗場が楽しみになってきた!!


~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 09.06.09 LAFORET SOUND MUSEUM 2009 part 2 (前回のライヴ・レポ) 
 09.06.07 モリアーティとランデヴー (エニグマを解いて参加したランデヴーの全貌) 


~フジロック予習特集~

 10.05.11 フジ予習:ジョン・バトラー・トリオ
 10.05.15 フジ予習:コリーヌ・ベイリー・レイ
 10.05.20 フジ予習:キティー・デイジー&ルイス
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