ルーツな日記

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フジ予習:ダイアン・バーチ

2010-07-24 14:02:40 | フジロック
DIANE BIRCH / BIBLE BELT

今年のフジは良いですよ! 最後までたっぷり楽しませてくれる。なんてったって最終日の夕方、ダイアン・バーチが観れるんですから!! 楽しみですね~! 昨年の来日公演は見逃してしまったので、フジ出演は本当に嬉しいです! 彼女の生の歌声を、しかもヘヴンで聴けるなんて!

彼女の声はきっとヘヴンに合いますよね~。暖かい日差しのような明るさと、そこはかとない憂いを同時に響かせる天性の歌声。そのフィーリングはまさにキャロル・キングに代表される70年代のSSWを思わせます。実際、声の質感なんかはキャロルにちょっと似ているんですよね~。ですがその一方で、やたら前のめりで切れ込んでくる歌唱の持つリズム感なんかは、そうとう黒っぽい。米Rolling Stone誌がキャロル・キングだけでなくアレサ・フランクリンの名を引き合いに出して絶賛していたというのも頷ける魅力なのです。

米ミシガン州出身の彼女。83年生まれですからまだ20代後半ですね。幼少の頃は伝道師の父と一緒に世界各国を点々としていたそうです。ピアノを弾きながら歌うスタイルにもやはりキャロル・キングの姿を彷彿とさせられます。でも雰囲気はだいぶ違いますけどね。目が大きくてお人形さんのようなルックスに、ちょっぴりゴス系な容姿からは何処かミステリアスな雰囲気が感じられます。そこがまた良いんですけどね。

そんな彼女のデビュー・アルバム「BIBLE BELT」(写真)。このアルバムを初めて聴いた時、やっぱり70年代のSSW的な雰囲気を強く感じましたね。それは彼女の作るメロディーや、その歌唱、そしてそのサウンドの佇まいというか、醸し出す雰囲気がね。ですが聴けば聴く程黒っぽさが滲み出てくる。実際、聴き始めた当初に強く感じたキャロル・キングっぽさのようなものは何故か今ではほとんど感じなくなり、代わりにソウル色が耳に残ります。

今作のプロデュースを務めたのはスティーヴ・グリーンバーグ、マイケル・マンジーニ、そしてベティ・ライト。この人達ってあのジョス・ストーンを世に送り出したチームなんですよね。もちろんベティ・ライトはマイアミ・ソウルの歌姫としてもあまりにも有名ですけどね。彼らのプロデュースはやはり的を得ているというか、ダイアン・バーチの多彩な感性を無理なく引き出している感じがします。そしてジョース・ストーンのディープさとはまた違う爽やかなエモーションにしっとりと黒っぽさを染み込ませている。流石の音作りですね~。

明るいコーラスで始まる「Fire Escape」。ファルセットを交えながら徐々に内省的な表情を見せていくダイアン・バーチの歌声に引き込まれます。ストリングスのアレンジやアダム・ブラックストーンのベース・ラインがニューソウルっぽくて格好良いです! アダルトなブルー・アイド・ソウルを匂わす「Fools」では彼女のキリッとした歌声に痺れます。この人って、声質自体は柔らかいと思うのですが、歌い方には白人らしからぬキレがあって、軽くドスが利いてる感じが素敵なんですよね~。アップテンポな「Choo Choo」での後半、ソウルフルに声を枯らすジャンプな歌唱にも惚れます。

そして「Nothing But A Miracle」。この曲は名曲ですよね。ここまでラヴリーに70年代の空気を感じさせてくれる曲ってそうそう無いですよ。イントロの揺れるようなローズ&コーラスから、サビの明るいメロディー・ライン、そして中盤の語りっぽくなるところまで完璧です!もちろん歌もエモーショナルで最高! フジでも演って欲しい!っていうかこの曲は絶対やるでしょうね~。

そして特筆すべきは、このアルバムは一部ニューオーリンズで録音されていること。その関係でか数曲でスタントン・ムーア(ds)とジョージ・ポーターJR(b) が参加しています。彼らがかの地のハネを持ち込んだ「Valentino」には、やはり特別な魅力を感じますね。ギャラクティックとは違うスタントンのプレイにちょっと嬉しくなります。そして南部の香り漂う「Rise Up」では彼らに触発されたのかダイアンのピアノにもちょっぴりニューオーリンズっぽさを感じたり。そして「Don't Wait Up」での歌いながらもグルーヴするジョージのベースラインは圧巻。

他にもゴスペル・フレイバー溢れる「Photograph」とか、ヴィンテージ・ソウルの香りを伝える「Forgiveness」なんかも良いですね。ちなみに各曲でソウルフルな味を注入しているホーン隊にはブルース・ブラザーズで有名なトム・マローンやルー・マリー二が名を連ねています。そしてハモンドのRaymond Angryも素晴らしい!

と、まあ色々書きましたけど、何はともあれダイアン・バーチの歌ですよ! 昨今、続々と出現する女性シンガー・ソング・ライター達の中でも、かなり特別な位置に居ると思われる彼女。ジョス・ストーンのようにアーバンな方向へは行って欲しくないな、というのが正直な私の気持ち。果たしてフジでの生ダイアンは、どんな色彩を見せてくれるのか、楽しみですね!



では、ダイアン・バーチのライヴ映像をいくつかご紹介。今回は敢えて共演やカヴァーを中心に集めてみました。

http://www.youtube.com/watch?v=H9lyrOETXao&feature=related
まずはダリル・ホールとの共演で「Nothing But A Miracle」。ダリルを前にしてのこの堂々とした歌いっぷり! 素晴らしすぎる。

http://www.youtube.com/watch?v=mP1qwHl3YYI&feature=related
Haddawayのヒット曲「What is love」。ディスコ調の曲をしっとりと弾き語りでカヴァー。これはソウルフルですね~。

http://www.youtube.com/watch?v=6PZtDLkfbp8&feature=related
ジェイムス・モリソンとビートルズの、というよりジョー・コッカーの「With A Little Help From My Friends」をカヴァー。映像も音もあまり良くないですが、ダイアンのゴスペル・フィーリングに痺れます。

他にもビートルズの「I've got a feeling」とか、ホール&オーツの「Rich Girl」とか、ニール・ヤングの「Birds」とか、トム・ペティの「You Don't Know How It Feels」とか、色々と歌ってる映像がありました。フジでも何かカヴァーやってくれますかね。

http://www.youtube.com/watch?v=nrAOy9JPbGA&feature=related
で、最後にもう一回「Nothing But A Miracle」。そんなにこの曲が好きですか?って感じですが、好きなんです! 珍しいアコースティック・ヴァージョンがあったので。映像も奇麗でお勧めです。



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