ロック探偵のMY GENERATION

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『シャーロック・ホームズ』

2019-04-13 17:10:37 | 映画
映画『シャーロック・ホームズ』を観ました。

2010年の作。
ホームズの映画は過去にいくつも作られていると思いますが、おそらく最新のものでしょう。
もちろんコナン・ドイルのシャーロック・ホームズを下敷きにしたものですが、かなり大胆にアレンジされ、現代風にアクションも取り入れた作品になっています。当時のロンドンを再現した映像も、見ものです。

キャストも豪華で、シャーロック・ホームズにはロバート・ダウニーJr、ワトソンには、なんとジュード・ロウを配しています。このワトソンがかっこよすぎて、なんだか自分の知っているワトソンとはだいぶ違う感じがするんですが……
イメージのことをいえば、ホームズもまた原作のイメージとはだいぶ違う気がします。しかし、変人ぶりがきわまっていて、私はむしろこちらのホームズのほうが親近感を持てました。

私は、ホームズの原作シリーズをそれほど読んではいませんが、モリアーティ教授やアイリーンといった幾人かの登場人物たちが原作から持ってきた人であることはわかります。もっとも、メアリー・モースタンのように名前と設定をちょっと拝借しただけという場合もあるようですが。

ストーリーは、現代の映画風なものになってます。

不気味な宗教団体の指導者がくわだてた恐るべき陰謀に、ホームズとワトソンが立ち向かうという筋立て。そこにアイリーンが、ルパン3世でいう峰不二子的立ち位置で絡んできたりして、最後はアクションシーンを繰り広げてくれます。
敵が政府関係者のなかにまでかかわっていて、ホームズ自身が罠にはめられて指名手配されるという絶対絶命状態からの、鮮やかな逆転劇。エンターテインメントのお手本のような作品といえるでしょう。
「不気味な宗教団体」といえば、原作シリーズの第一作にあたる『緋色の研究』に出てくる某宗教団体が思い出されます。実在する宗教団体をああいう形で出して怒られなかったのか……とかねがね気になっているんですが、さすがにこの映画に出てくるのは架空の団体です(たぶん)。

アクション的な部分もかなり大きいですが、もちろん推理もあります。
ただし、ここで出てくるのはミステリー的な推理ではありません。ミステリー的な推理というのは、読者にも手がかりを提示したうえで、その気になれば読者も謎を解けるはず、という建前をとりますが、この作品ではそうではありません。示される手がかりは、当時のロンドンの地形に関するものだった李、あるいは臭いのような映像からだけではわかりようのないものも含まれています。ホームズの推理は、X-MENの特殊能力みたいに描かれていて、その能力を使っていかに強大な敵に立ち向かうかというところが面白みでしょう。この趣向は、なかなか新鮮に感じられました。

その犯罪と推理に関しては、19世紀末という時代設定だからこそできること、という感想ですね。かなり大雑把で説明不足の感もありますが、 そこもまあ、変にリアルに描いてしまうとマネする奴がいるかもしれないから……というやつでしょうか。

ただ、“復活”のトリックに関しては、さすがに医者であるワトソンが見た時点でそれはわかるんじゃないかと思ってしまいますが……


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