ロック探偵のMY GENERATION

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ウクライナ情勢について

2022-02-26 20:53:10 | 時事



ウクライナでの戦闘が続いています。

ロシア側が想定していたよりもウクライナ側の抵抗が激しく、戦闘が長期化するとも見られているようです。
昨日の記事では、ひとまずロシアの暴挙を批判するという話でしたが……今回は、ウクライナという国について、そして、今回の侵攻におけるロシアの狙いについて、もう少し私なりの考えを書いておこうと思います。

ウクライナは、旧ソ連構成国の一つであり、その中心であったロシアとはいうなれば兄弟国家。

しかしソ連邦崩壊後は、旧ソ連構成国の多くがそうであったようにロシア離れの動きをみせはじめます。

そうした国家は、珍しくありません。
たとえばジョージア。
この国は、かつて日本語ではグルジアと表記されていましたが、いまではジョージア。英語風の発音にしてほしいというふうに要請があり、日本はそれに応じました。

そのジョージアは、2000年代に起きたいわゆる“民主化ドミノ”の出発点でもありました。
旧ソ連の外相だったシェワルナゼという人が大統領をやっていたんですが、そのシェワルナゼが大統領選挙で不正を働いたとして追い落とされます。このいわゆる「ばら革命」から、旧ソ連邦諸国を舞台に“民主化ドミノ”と呼ばれる政変の連鎖が起こるのですが、その一環としてウクライナで起きたのが、「オレンジ革命」でした。
この政変で親露派のクチマ大統領が失脚しましたが、それで話が終わりというわけにはいきません。ジョージアの場合と比べて、ウクライナは地政学的に不幸な条件を持っていました。欧州とロシアにはさまれているという関係上、政変後も両勢力のつなひきが続いていくことになるのです。親露派のヤヌコビッチという人がいて、それに対抗する親欧米系政治家との間で、十数年にわたって政権の奪い合いが続いてきました。2014年のロシアによるクリミア併合、そして今回のウクライナ侵攻も、その延長線上にあるとみるべきでしょう。
……という文脈で考えると、この戦争でプーチンが狙っているのは、親露傀儡政権の樹立ということになります。
そしてもっといえば、今後ウクライナに欧米よりの政権が誕生しないようにしたいということでしょう。すなわち、ウクライナに親欧米政権ができればまたロシアの軍事介入を招くかもしれないという恐怖をウクライナ国民に植え付ける。そうすれば、今後ロシアが何をいわずとも、ウクライナ国民がみずから親欧米政権の誕生を回避するようになる……報道によれば、プーチン大統領はウクライナの兵士たちに対して「現政権から権力を奪ってほしい」と呼びかけたそうですが、まさにそういうことでしょう。ロシアの軍事介入が嫌なら反露政権でなくすればいい、負けるとわかりきっている戦争をやるぐらいならそのほうがいいだろ、ということなのです。このように考えれば、狂気の沙汰としか思えないこの戦争にもプーチンなりの目的意識と計算がみえてきます。
しかし……プーチン大統領の考えは甘いといわざるをえません。
できることならば、プーチンにいってやりたい。それ、ほぼ確実に失敗するよ――と。
彼は、アメリカの失敗に学ぶべきでした。そういう手法はアメリカが過去にさんざんやってきたことであり、そしてことごとく失敗に終わってきたことなのです。
中南米諸国がわかりやすい例ですが、昨年のアフガニスタンもそういったケースの一つといえるでしょう。思えばアフガンでは旧ソ連も痛い目を見たわけであり……今回のウクライナ侵攻はその二の舞ともなりかねません。
冷戦期のアメリカは、中南米諸国に介入して親米政権を樹立するということをたびたびやっていましたが、それらの政権は二十年、三十年と経つうちに次々と倒れ、逆にそれらの国々で強固な反米政権が誕生することになりました。その歴史を教訓とするならば……仮に今ロシアがウクライナの政権を倒して親露政権に挿げ替えたとしても、おそらくそれは、将来より強固な反露政権が誕生する種をまいているに過ぎないということになるでしょう。

かつて旧ソ連が行ったアフガン侵攻は、「ソ連にとってのベトナム」とも呼ばれる泥沼に陥り、連邦が崩壊にいたる原因の一つともなりました。
プーチン大統領には、今からでも遅くない、潔く撤退した方が自身のため、ロシアのためだぞといいたいと思います。





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