昨日、ロシアの戦勝記念日というのがありました。
この日に合わせてなにか動きがあるんじゃないかと注目されていましたが……特に目立った動きもなかったようです。
これまでの「軍事作戦」という言い方ではなく、はっきりと戦争を宣言するのでは――ともいわれていましたが、それもありませんでした。
これに関しては、報道などを見ていると、以下の二点が理由としてありそうです。
・戦争を宣言すれば、西側諸国の本格的な介入を招き、状況はさらに悪化する。
・戦争を宣言して国内に総動員体制をとれば、ウクライナでの軍事行動がうまくいっていないと認めることになり、国民の支持を失うことにつながる。また、戦時体制で国民に負担を求めるということも同様。
すなわち、国内的にも対外的にも「戦争宣言」は難しい、ということです。
さりとて、なんの成果もなしに撤退ということになれば、それはそれで国民の支持を失うことになるかもしれません。プーチン大統領としては、進むも地獄、引くも地獄といったところでしょうか。
ともかくも、戦争宣言はありませんでした。
演説において、プーチン大統領が、対ウクライナ戦争の意義について語ったというだけのことで……
呆気にとられたのは、その演説のなかでプーチン大統領が今回の侵攻を「反撃」と表現したところです。
あの一方的な武力侵攻をさえ「反撃」といってはばからないのが、国家主義という怪物のなせるわざということでしょう。“先制的な反撃”なる禅問答めいたフレーズもあいまって、戦争というものがいかに狂気じみているかをあらためて実感させられました。
さて、そのウクライナ戦争の帰趨ですが……これはやはり、ロシア側が手をひくというかたちでしか終わらなさそうに見えます。少なくとも、ロシアが当初の目標を達成するというかたちで終結する可能性はほぼゼロでしょう。ロシア側が引かないかぎり、戦争はいたずらに長期化していくばかりだと思われます。いい加減、このあたりでプーチン大統領も目を覚ましてくれないものでしょうか……