ロック探偵のMY GENERATION

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偽装国家

2018-03-04 22:06:11 | 時事
最近、偽装が問題になっています。

企業の偽装だけでなく、裁量労働制に関するデータが偽装されていた件があり、また今度は、森友問題で提出された資料が偽装されていた疑いが浮上しています。

いつの間にか、日本は“偽装国家”になってしまったんじゃないでしょうか。

偽装の問題点は、間違ったことが間違ったまま進んでいってしまうということとです。
本来なら正されるべきものが正されずに、そのまま製品として出されたり、実行されたりしてしまうからまずいわけです。
問題のある製品や制度によって大きな問題が起きてから対応するよりも、問題が起きる前に未然に防いだ方がダメージは小さい。だから、検査なり事前の調査なりがあるわけです。偽装という行為によってそれをスルーしてしまえば、世の中がおかしくなっていくのは当然でしょう。偽装という行為は、いまの自分の身を守るために、結果として将来の世代を犠牲にすることになります。

ここで、名曲を一曲。
JUN SKY WALKER(S)の「ひとつ抱きしめて」です。

  嘘だらけ いつもマネばかり
  渇いた人たち
  汚れた血の流れる上にいる人たち
  真実にいつも震えながら
  はした金ばらまく

偽装の背後には、日本的無責任があるように思えます。
「将来の大ダメージを防ぐために、いまの小さなダメージを甘受する」という発想が、日本型組織の意思決定には欠如しているのではないでしょうか。それが一番悪いかたちで出たのが、太平洋戦争だと私は思っています。

いま何か進行しつつある事象がある。それは将来、破局的な結果をもたらすおそれがある。止めたほうがいいように思えるけど、止めるにはそれなりのダメージを覚悟しなければならない……そういう状況に置かれたときに、どういう決定をするかという問題です。

そういうときに、とりあえずいま自分が受けるダメージを回避するというのが、ここでいう日本的無責任です。
そうしておいて、それによって生じた破局のツケは後の世代の人たちに背負わせる。このような無責任体質が、日本のあらゆるところに根付いてしまっているのではないか……そんな気がしてなりません。

では、その無責任体質から脱却するにはどうしたらいいか。
それは、責任をはっきりさせることしかないでしょう。

「真実にいつも震え」ている人たちに真実を突きつけることです。責任の所在をうやむやにして逃げ切るということができてしまえば、後に続く人たちも同じように逃げ切ろうとする。それが、無責任の連鎖となります。
今日、データ改ざんで問題になった神戸製鋼が社長の退任を発表しましたが、まずはともかく責任をはっきりするということでしょう。そこを徹底させて、意思決定に携わる人たちの意識を変えていく……迂遠なように思えますが、そうして日本的無責任体質を脱却していかないと、この国はいずれまた破局的な事態を迎えるおそれがある。私は、真剣にそう危惧しています。


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