ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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森友口裏あわせ疑惑を振り返る

2019-04-20 19:54:01 | 過去記事
過去記事です。

最近この類の記事を連続で振り返っていますが……去年の今頃、この手の話が次から次に出てきていたんです。どうぞ、いま一度思い出していただきたい。


森友問題に、新たに口裏あわせ疑惑

森友問題で、新たな疑惑が浮上しています。財務省側が、森友学園に口裏あわせを持ちかけていたというのです。その内容は「トラックを何千台も使ったことにしてほしい」というもの。当時......


ジョン・レノンのために

2019-04-19 23:06:18 | 音楽批評
最近ツイッターでジョン・レノンのことが話題になってました。

「イマジン」がどうのこうのという内容で、今更な話だなあという感じですが……

このブログではジョン・レノンのことも何度か書いてきたので、ここらでもう一度この話題に触れておくのも悪くないでしょう。

まずは、名曲を一曲。
真心ブラザーズの「拝啓、ジョン・レノン」です。
こんな歌です。


  拝啓、ジョン・レノン
  僕もあなたも大して変わりはしない
  そんな気持ちであなたを見ていたい
  どんな人でも僕と大差はないのさ


こういう見方が大事だと思いますね。
前にも書きましたが、ジョン・レノンという人はちょっとレジェンド化が行きすぎているきらいがあります。
残された記録なんかをみるかぎり、ジョン・レノンという人は、そんな立派な人間じゃありません。まずそこを前提として押さえておかなければいけないでしょう。

そのうえで言いたいのは、そういう人格的な側面をとらえて楽曲の内容を批判するのはナンセンスだということです。

ツイッターのつぶやきをみていると、「バンドのメンバー間で仲たがいしていて世界平和を歌うなんてばかげてる」というような意見が散見されますが、そういう話じゃないでしょう。
バンドのメンバー関係と戦争や平和の話を同列に並べること自体がナンセンスなわけです。
逆に、じゃあ世界平和を訴えるような人は聖者のように品行方正でなければならんのか、という話にもなってきます。
これはU2のPride についての記事でも書きましたが、そんな必要はまったくありません。
人種差別に反対したり、戦争に反対したりするのに、きれいな人間である必要なんてないんです。
いずれみんな、汚い人間です。欲にまみれ、世俗の垢にまみれ、ちょっと汚いことをするかもしれない。周りの人間と喧嘩もするかもしれない。けれど、肌の色で人を差別したりはしない……そういうことでしょう。
今回のジョン・レノン騒動(?)から、私はそんなことを考えました。

コナン・ドイル『四つの署名』

2019-04-17 23:01:08 | 小説
今回は、ひさびさに小説記事です。

このカテゴリーでは、ミステリーの古典を読もうというキャンペーンをやってますが、その一環として、コナン・ドイルの『四つの署名』について書きましょう。



コナン・ドイルといえば、ミステリーの元祖と目される作家の一人であり、いうまでもなくシャーロック・ホームズの生みの親。
……というわけで、前回映画記事で紹介した『シャーロック・ホームズ』からのつながりでもあるのです。

※以下、ネタバレになる部分もあるので、未読の方は注意。


『四つの署名』は、そのシャーロック・ホームズシリーズの中の一作。

第一作は、以前の映画記事でも言及した『緋色の研究』です。
これを自信満々で発表したドイルですが、思ったほどの評価は得られませんでした。
そう、これまでこのブログで紹介してきたロックの名曲の多くがそうであったように、ホームズも最初は評価されなかったんです。
この文庫本についている訳者解説によれば、評価を得られなかったドイルは、失意のあまり、もうホームズ物は書かないことにしようとまで思っていたそうですが、そんななかでアメリカの雑誌から依頼があり、『緋色の研究』発表からおよそ2年後に執筆したのが『四つの署名』です。

内容は、ある女性から依頼を受けたホームズが探偵活動の過程で殺人事件に遭遇し、そのなぞを解いていくというもの。

宝の地図なるものが出てきて、足跡や臭いで犯人を突き止めていく、古き良き古典ミステリーといったところでしょうか。

扱われているのは“密室”といえないこともない状況で起こる殺人事件ですが、どちらかといえば、密室どうこうというよりも(という以前に、この時代にはまだ“密室”という概念自体固まっていないと思いますが)タイトルにある“四つの署名”の謎がキモでしょう。まあそれも、ロジックとかトリックとかいう話ではないんですが。

ただ、私がもっとも興味深く読んだのは、終盤の犯人の告白部分です。

犯人は、かつてインドで兵役に従事していた過去があり、そこでの出来事が事件に深く関与しています。
その、インドで過去にあったことに関する話が、じつに興味深い。おそらくセポイの乱と思われる反乱のことを描いているんですが、そういう歴史上実際にあった事件と絡んでいるところが、いかにも19世紀の冒険小説という感じで面白いわけです。もっともそこに、植民地主義的な視点が潜んでいることも認めないわけにはいきませんが……
思えば、ワトソンにはアフガン戦役帰りという設定もあって……世界中に植民を持っていた大英帝国という土台の上に、シャーロック・ホームズの物語を作られているんだということを実感させられます。

事件の解決でしゃれているのは、宝物の行方ですね。

マクガフィン的な役割を果たす“アグラの大宝物”は結局とりもどすことができないんですが、その取り戻せないことがワトソンにとっては幸運になる……という結末。
このちょっとしたロマンス的な部分が、絶妙の隠し味になっているという印象でした。

自衛隊日報問題を振り返る

2019-04-15 22:37:14 | 過去記事
過去記事です。

このところずっと続けて振り返っている去年の偽造・改ざん問題に関する記事の一つで、イラク自衛隊日報問題を扱っています。こんな問題もありました。もういろんな問題がありすぎて、一つ一つがぼやけてしまっているというのがなんとも……


自衛隊イラク日報問題

イラクの自衛隊派遣で、政府が「ない」としていた日報が出てくるというニュースがありました。公文書の扱いが問題になっているさなかです。先日このブログでは、一つの隠蔽・改ざんの背......


『シャーロック・ホームズ』

2019-04-13 17:10:37 | 映画
映画『シャーロック・ホームズ』を観ました。

2010年の作。
ホームズの映画は過去にいくつも作られていると思いますが、おそらく最新のものでしょう。
もちろんコナン・ドイルのシャーロック・ホームズを下敷きにしたものですが、かなり大胆にアレンジされ、現代風にアクションも取り入れた作品になっています。当時のロンドンを再現した映像も、見ものです。

キャストも豪華で、シャーロック・ホームズにはロバート・ダウニーJr、ワトソンには、なんとジュード・ロウを配しています。このワトソンがかっこよすぎて、なんだか自分の知っているワトソンとはだいぶ違う感じがするんですが……
イメージのことをいえば、ホームズもまた原作のイメージとはだいぶ違う気がします。しかし、変人ぶりがきわまっていて、私はむしろこちらのホームズのほうが親近感を持てました。

私は、ホームズの原作シリーズをそれほど読んではいませんが、モリアーティ教授やアイリーンといった幾人かの登場人物たちが原作から持ってきた人であることはわかります。もっとも、メアリー・モースタンのように名前と設定をちょっと拝借しただけという場合もあるようですが。

ストーリーは、現代の映画風なものになってます。

不気味な宗教団体の指導者がくわだてた恐るべき陰謀に、ホームズとワトソンが立ち向かうという筋立て。そこにアイリーンが、ルパン3世でいう峰不二子的立ち位置で絡んできたりして、最後はアクションシーンを繰り広げてくれます。
敵が政府関係者のなかにまでかかわっていて、ホームズ自身が罠にはめられて指名手配されるという絶対絶命状態からの、鮮やかな逆転劇。エンターテインメントのお手本のような作品といえるでしょう。
「不気味な宗教団体」といえば、原作シリーズの第一作にあたる『緋色の研究』に出てくる某宗教団体が思い出されます。実在する宗教団体をああいう形で出して怒られなかったのか……とかねがね気になっているんですが、さすがにこの映画に出てくるのは架空の団体です(たぶん)。

アクション的な部分もかなり大きいですが、もちろん推理もあります。
ただし、ここで出てくるのはミステリー的な推理ではありません。ミステリー的な推理というのは、読者にも手がかりを提示したうえで、その気になれば読者も謎を解けるはず、という建前をとりますが、この作品ではそうではありません。示される手がかりは、当時のロンドンの地形に関するものだった李、あるいは臭いのような映像からだけではわかりようのないものも含まれています。ホームズの推理は、X-MENの特殊能力みたいに描かれていて、その能力を使っていかに強大な敵に立ち向かうかというところが面白みでしょう。この趣向は、なかなか新鮮に感じられました。

その犯罪と推理に関しては、19世紀末という時代設定だからこそできること、という感想ですね。かなり大雑把で説明不足の感もありますが、 そこもまあ、変にリアルに描いてしまうとマネする奴がいるかもしれないから……というやつでしょうか。

ただ、“復活”のトリックに関しては、さすがに医者であるワトソンが見た時点でそれはわかるんじゃないかと思ってしまいますが……