吟声という表現がある。
口先の声でなく、しっかりした腹式呼吸法を身につけた発声でしかも正しい発音で吟じられる声です。
初心の方をここにいたらせることはとても大変です。訓練の仕方はいろいろあります。日本語の発声法を学ばせる、これはアナウンサーや芸能人を養成するのとは違うのですから、時間をかけてやるわけには行きません。詩吟の指導と平行しながら徐々に身につけさせるしかありません。
いろいろなアプローチの仕方があると思います。私は第一に口の開閉についてかなり厳しく指導します。特に「ア」の発声について意識させます。
次にブレスの指導です。二句三息の区切りでのブレス、間の取り方を意識させます。最初のころは、説明しても二句三息のカギ括弧の意味を理解してくれません。しかし、そこが判ってくると吟が変わってきます。それと平行して、「盗み息」これを私は「タメ」として使い分けています。ブレスがタメですが、私はブレスは息を吐き出し、腹式で一挙に息を取らせる形でやや長いタメとなります。この指導のポイントとして、平音から高音へ移るとき、平音の最後で一瞬息を止め、下っ腹に力をいれ、その力で高音に張り上げる指導を取り入れています。これが身についてくると、それまでは力みだった声が吟声に近くなります。
要するにブレスはお腹に力をタメることに他ならないわけで、これがきちんとできるようになったとき、吟声が身につくのです。
言葉がきちんといえていない、言葉の連続が途切れ途切れになる、余韻を引くときに音程
がぶれる、言い換えれば吟調が安定しないという原因はここにある。こまかな節回しみたいなところだけにとらわれず、長い目で吟声の確立に指導の重点を置いて行くべきだと思う。