居間のソファーでうつらうつらしていると、テレビに水害の模様が映し出された。押し迫ったようなアナウンサーの声が途切れなく続いている。ヘリコプターの音も流れてくる。
北関東や東北の記録的豪雨で、鬼怒川の堤防が決壊し大きな被害が出た茨城県常総市の大水害現場からのLIVE放送だ。浸水範囲は東西約4㌔、南北約9㌔に及んだという。今朝の新聞では、なお166人の方が孤立の状態にあるという。
映し出される画面には沢山の住宅が川とも海ともつかない状態になった水の中に浮かぶように建っている。そのそばを急流を思わせる幾筋もの濁流が猛烈な勢いで流れている。取り残された多くの人たちが水没しかけた家の屋根やベランダ、窓際で救援のヘリに向かって手を振っている。映される救援の自衛隊ヘリはただ1機、早く助け出してくださいと画面に向かって祈ったが、危険を冒しての救援は1人ずつがやっと。
水中に立つ1本の電柱にしがみつき救援を待つ人が見える。その近く水没しかけた家の屋根に3人の人が座っている。そばの家の窓際には2人の子供の姿が見える。ところが救援に来たヘリはその場を通り過ぎていく。今すぐにでも救援しないと危険なところに先に回ったとアナウンスがあった。救援の優先順位を決めているようだ。
救援の模様が映し出された。ヘリからロープが下され隊員が下りていく、ベランダで救援を待っのは高齢者のようだ。救助の自衛隊員に支えられ無事にヘリに移された。その10分後にその家は流された。最初に土台の部分が崩れ形をなくし、土台をなくした屋根が急流にのまれながらその形を消した。
濁流の中に立つ1本の電柱に必死にしがみつく人がいる。今にも流されないかと心配でならない。順番が来たのだろうかヘリがやってきた。だが電柱を支える2本の支線が邪魔だ。はらはらの連続。無事救援されたときにはテレビを見ていた私まで汗びっしょり。その後、消防庁や警察、海上保安庁のヘリが続々と投入されたようだ。日光市では大きな土砂崩れがあり死者が出た。栃木、宮城の両県でも大きな被害が出ているとある。
先日、熊本県荒尾市に上陸した台風第15号は九州各地に大きな被害をもたらした。熊本市では瞬間風速49.1㍍を記録した。幸い我が家に被害はなかったものの台風は怖い。東北地方を襲った今回の大水害、少なくとも台風18号と17号の影響があったという。
日頃はテレビの前にあまり座らない私だが、この日、常総町の大水害のLIVE放送には目が離せなくなりいつまでも座り込む羽目になってしまった。被害にあわれた方々に心からのお見舞いを申し上げたい。わずかだが復興のための義捐金を送らせていただくこととしよう。
天災地異はいつでも起きる。日頃からわずかな注意と準備はできたとしても個人の力には限界がある。避けて通るのは絶対に無理だ。頭が痛くなってきた。