県道303号熊本~四方寄線(旧3号線)。市内から約4㌔程のところに「NTT研修センター前」のバス停がある。しかしそこに研修センターらしき建物は見えない。知らぬ間にいつの間にか研修センターは消えている。その跡地を取り巻くように工事中の幕が張られ、来年6月開店予定のショッピングセンターの工事が急ピッチで進められている。
昭和24年4月。電気通信省の職員訓練所として「NTT研修センター」の前身である「熊本電気通信学園」が開設された。電気通信省の有線通信士の養成所だったと理解している。
その2年後の昭和26年4月10日。中学を出て間もないいまだ童顔の残る少年、少女たちが九州各地から「熊本電気通信学園普通電信科26年度1期生」として入園した。入園式でいただいた辞令書には「電気通信省事務員補」を命ずとある。
全寮制で食料不足の時代、腹をすかし、ホームシックにも耐えながら、毎日毎日トンツー・トンツー(モールス信号)の習得に汗を流したことが昨日のことのように思い出される。訓練期間は9か月、卒業すると同時に有線通信士として各地の電報局に配属され、一端の通信士として、また公務員として通信業務に携わった。一緒に入園し卒園したのは170名だったろうか。わずか9か月の短い寮生活だったが、同窓生にとってこの時の思い出はいつまでも忘れることのできない大切なものとなっている。
いつの頃からかよく覚えていない。学園時代を思い出しながら2年ごとに同窓会が開かれている。最近では噴煙上る鹿児島の桜島・熊本の名湯玉名温泉・福岡市・佐賀市で開かれ、美酒を酌み交わしながらの楽しい集いとなっている。
次回(2015年)は卒園して65年の記念の年。同窓生のほとんどが80歳の傘寿を迎える祝いの年。盛大にとの声が上がり、開催場所は「社会人としての出発の地であり、若き日を過ごした思い出の地であり、研修の地でもある熊本」と佐賀の同窓会で決まった。
当然、指名された世話人は熊本に住む同窓生7人。今年3月6日に1回目の世話人会を開いた。(続く)