秋の好天に恵まれた文化の日、 晩秋の有明海沿岸の干潟を真っ赤に染めるシチメンソウを観ようと、多くの観光客が佐賀市東与賀町の自生地を訪れているそうだ。
シチメンソウは、日本固有種で、有明海の干潟だけに分布する植物、環境省の絶滅危惧種Ⅱ類に指定されている高さは20~40㎝のアカザ科の1年生草木。満潮時に潮をかぶり干潮時には干潟になる場所で、かつ、風波や潮流が少ないところでしか生育しない。秋になると真っ赤に色づき、干潟が赤いじゅうたんのように覆われ「海の紅葉」とも呼ばれている。
平成の諫早湾干拓以前は、有明海の干潟のなかで、シチメンソウは、諫早湾に最も広く生育していた。この時期に諫早に出張したことが何度かあり、その折には必ずシチメンソウを見物し「赤いじゅうたん」をカメラに収めたものだ。
その後、干拓により諫早湾のシチメンソウは絶滅したという。一部を他の地域に移したとも聴いている。
長崎県の人たちがシチメンソウを絶滅させたのとは対照的に、佐賀県の人たちは東与賀海岸で手厚く保護しているとニュースで知った。懐かしくもあり、うれしくもなった。ぜひ見物に行きたいものだ。
※参考 アカザ科にはシチメンソウのほかにホウレンソウ・フダンソ・オカヒジキなどがある。