今から100年前、アメリカのカンザス州で発生し、世界に拡大した「スペイン風邪」
というのがあった。これは今風に言えば、H1N1型のA型インフルエンザ・ウイルス
であり、1918(大正7)年~1920(大正9)年に流行し、世界人口の3分の一(5億人)が
感染し、全世界で2000万~4000万人が死亡した、といわれる。
日本の状況は、当時の人口は5500万人、感染者数は2300万人、死者数は38万人。
死亡者の比率では0~2歳の乳幼児が最多である。スペイン風邪のピークは2回あり、
1918年8月~11月(前流行)、1919年10月~1920年1月(後流行)の2波に分けられる。
第二波の時期の方が、致死率が大幅に高く、ウイルスがこの間に強力に変異した可
能性が指摘されてもいる。
第一次世界大戦(1914~1918)での戦死者は約850万人、第二次世界大戦(1939~
1945)では約6000万人である。ちなみに、1923(大正12)年の関東大震災での死者数
は約10万人である。スペイン風邪による世界での死者数は、1億人を超えるという説
もあり、こうして人的被害を書き並べてみても、「スペイン風邪」がいかに人類史上に
も破局的な、本格的感染爆発であったか知れる。
当時は電子顕微鏡もなく「ウイルス」という医学概念もなく、マスメディアも未発達で
得られる情報は少ない時代である。人々は、得体の知れない災禍をどのように受け
止めていたのだろうか。生活物資の不足がどうのより、日々死を観念して過ごしてい
ただろう。このように「スペイン風邪」は、大量破壊兵器が登場した第二次大戦にも比
肩し得る、死者や人的被害が出ている最大級の災禍なのに、例えば関東大震災や東
京大空襲と比べても、今日までどうして、「スペイン風邪」についての、話題や語り継ぎ
が少なかったのであろうか。私は大変、不思議な気がする。
1918年8月に発し、1920年1月に終息したスペイン風邪。
感染の猛威は1年5か月続いた訳であるが、ワクチンだか新薬が発明されて、収束させた
のでは勿論ない。生き残った人間が免疫抗体を獲得したので、ウイルスが終息したので
ある。新型コロナ(COVID19)についても、「スペイン風邪」に学ぶなら、より感染力の強い
第二波が、1年後にまたやって来る可能性がある。今後の防疫や経済対策には、「第二波」
やその後も想定すべきだろう。
現時点での世界の新型コロナ感染者数は、100万人規模、日本では3000人である。
世間での騒ぎは大きい割には、100年前のスペイン風邪に比べると、幸いにも感染被害・
死者数は桁違いに少ない。当時の人々との栄養状態の差や、現代の医療体制・保健衛生
等が関係しているのかもしれないが、100年前、帝国政府が推奨した個々人への感染対策
は、手洗いとマスク、不要な外出をしない、人ごみを避ける等、今とほとんど同じだそうで
ある。令和の御代では有難くも、休業補償とマスク2枚くれるだけ、ましになったのである。
(※ 文中内容や統計数字は、「東京都健康安全研究センター」のHPその他を参照させて
頂いています。)
というのがあった。これは今風に言えば、H1N1型のA型インフルエンザ・ウイルス
であり、1918(大正7)年~1920(大正9)年に流行し、世界人口の3分の一(5億人)が
感染し、全世界で2000万~4000万人が死亡した、といわれる。
日本の状況は、当時の人口は5500万人、感染者数は2300万人、死者数は38万人。
死亡者の比率では0~2歳の乳幼児が最多である。スペイン風邪のピークは2回あり、
1918年8月~11月(前流行)、1919年10月~1920年1月(後流行)の2波に分けられる。
第二波の時期の方が、致死率が大幅に高く、ウイルスがこの間に強力に変異した可
能性が指摘されてもいる。
第一次世界大戦(1914~1918)での戦死者は約850万人、第二次世界大戦(1939~
1945)では約6000万人である。ちなみに、1923(大正12)年の関東大震災での死者数
は約10万人である。スペイン風邪による世界での死者数は、1億人を超えるという説
もあり、こうして人的被害を書き並べてみても、「スペイン風邪」がいかに人類史上に
も破局的な、本格的感染爆発であったか知れる。
当時は電子顕微鏡もなく「ウイルス」という医学概念もなく、マスメディアも未発達で
得られる情報は少ない時代である。人々は、得体の知れない災禍をどのように受け
止めていたのだろうか。生活物資の不足がどうのより、日々死を観念して過ごしてい
ただろう。このように「スペイン風邪」は、大量破壊兵器が登場した第二次大戦にも比
肩し得る、死者や人的被害が出ている最大級の災禍なのに、例えば関東大震災や東
京大空襲と比べても、今日までどうして、「スペイン風邪」についての、話題や語り継ぎ
が少なかったのであろうか。私は大変、不思議な気がする。
1918年8月に発し、1920年1月に終息したスペイン風邪。
感染の猛威は1年5か月続いた訳であるが、ワクチンだか新薬が発明されて、収束させた
のでは勿論ない。生き残った人間が免疫抗体を獲得したので、ウイルスが終息したので
ある。新型コロナ(COVID19)についても、「スペイン風邪」に学ぶなら、より感染力の強い
第二波が、1年後にまたやって来る可能性がある。今後の防疫や経済対策には、「第二波」
やその後も想定すべきだろう。
現時点での世界の新型コロナ感染者数は、100万人規模、日本では3000人である。
世間での騒ぎは大きい割には、100年前のスペイン風邪に比べると、幸いにも感染被害・
死者数は桁違いに少ない。当時の人々との栄養状態の差や、現代の医療体制・保健衛生
等が関係しているのかもしれないが、100年前、帝国政府が推奨した個々人への感染対策
は、手洗いとマスク、不要な外出をしない、人ごみを避ける等、今とほとんど同じだそうで
ある。令和の御代では有難くも、休業補償とマスク2枚くれるだけ、ましになったのである。
(※ 文中内容や統計数字は、「東京都健康安全研究センター」のHPその他を参照させて
頂いています。)