月曜の朝だった。珍しくうつ病のバァバが早起きだった。私はいつものよ
うにトーストを齧りコーヒーを飲んでいた。最初バァバは何か思い詰めた
面持ちで黙り込んでいたが、おもむろに、頭がヘンになりそうだの、めま
いがひどくてどうにも出来ない、だのと言い立て始めた。
極度にイライラして歩き回り、入院したいから大学病院に電話してくれだ
のいう。ジィジが「具合が悪いんなら、寝とれ」と言うと、居ても立って
もいられない! とわめくバァバに、「お前、立って歩いとるじゃないか」
だの、ジィジが言うから、バァバはヒステリーを全開にして、もうダメだ、
今すぐ救急車を呼んでくれ、と切迫し出した。
とにかく、3日前に検査・診察・薬の処方をして貰った大学病院(耳鼻科)
に電話して様子を話してみたが、先方も急患なら予約なしで受け入れると
いうので、一旦電話を切った。のだが、本人は待合室で順番待ちが出来る
状態じゃあない、とにかく苦しいと言うので、119番に「ひどいめまい
で年寄りが苦しがっているので」と救急車をお願いした。
救急隊の方々には、迅速で親身な対応をして頂いたが、搬送先は「脳」の
何科ですかと問われて、私が「耳鼻科です。」というと明らかに戸惑って
いた。大学病院も、救急搬送で耳鼻科に来る患者は稀れなのか、受け入れ
態勢がまだ出来てないだの、通話のやりとりが漏れ聞こえた。
病院では耳鼻科のあるフロアーの、ナース室のベッドでしばらく寝かせて
貰い、検査と診察を受けた。耳鼻科の医師はとても経験がある方のようで、
耳鼻科での所見異状は、やはり認められないと言われた。
足が少しふらつくのかもしれないが、めまいが苦しい辛いという、その訴
えの物言いはめまい患者のそれではなく、精神科系の患者のようだという
話で、明日心療内科を受診するように手配してくれた。処方薬の苓桂朮甘
湯(りょうけいじゅつかんとう)についても、再度吟味して、やはりこの薬
を日に三度適切に服用して一ヶ月様子をみて欲しい、とのことだった。
バァバはベッドで二時間掛けて点滴を受けて、私と一緒にタクシーで一時
半頃に帰宅した。大分落ち着いたらしく、このヒトは点滴を受けると一時
的に復調するので、一体どういう病気なのか、未だに不明である。
翌日、耳鼻科の医師の紹介状を持って同病院の心療内科を受診した。
可も不可もない若い医師だった。ヒステリー発作のような不機嫌と怒りの
症状を出した後、体が脱力して立てない歩けないというパターンがあると
話した。レクサプロ(SSRI)が追加処方され、一ヶ月服用して再診を受ける
ようにとのことだった。
今日まで4日ほど、医師の指示通りの服薬治療をしているが、少し快方に
向いている感触はあるものの、めまいやふらつきとは言わないが、辛いだ
の苦しいみたいな事は言うようだ。冷え性と高血圧は相変わらずのようだ
が、体温が36.5になっていて低体温が改善されたようではある。
どうも心因性の病気、ヒステリー、身体表現性疾患、心身症、うつ病なの
だろう。このヒトのこの疾病傾向は、家族・親戚皆んな知っているもので
ある。本人が幼少の頃からそんな調子だったとも聞いている。
私だって、母親のおかしな気質には、子供の頃から気づいているが、救急
車を呼んだのは初めてだった。少し仮性痴呆気味な印象もある。病気を大
袈裟に言い立てて周囲の気を引き、自分への労わり等を引き出したいとい
うような‥、高齢者の孤独と甘えにどう向き合うべきか、なのである。
うにトーストを齧りコーヒーを飲んでいた。最初バァバは何か思い詰めた
面持ちで黙り込んでいたが、おもむろに、頭がヘンになりそうだの、めま
いがひどくてどうにも出来ない、だのと言い立て始めた。
極度にイライラして歩き回り、入院したいから大学病院に電話してくれだ
のいう。ジィジが「具合が悪いんなら、寝とれ」と言うと、居ても立って
もいられない! とわめくバァバに、「お前、立って歩いとるじゃないか」
だの、ジィジが言うから、バァバはヒステリーを全開にして、もうダメだ、
今すぐ救急車を呼んでくれ、と切迫し出した。
とにかく、3日前に検査・診察・薬の処方をして貰った大学病院(耳鼻科)
に電話して様子を話してみたが、先方も急患なら予約なしで受け入れると
いうので、一旦電話を切った。のだが、本人は待合室で順番待ちが出来る
状態じゃあない、とにかく苦しいと言うので、119番に「ひどいめまい
で年寄りが苦しがっているので」と救急車をお願いした。
救急隊の方々には、迅速で親身な対応をして頂いたが、搬送先は「脳」の
何科ですかと問われて、私が「耳鼻科です。」というと明らかに戸惑って
いた。大学病院も、救急搬送で耳鼻科に来る患者は稀れなのか、受け入れ
態勢がまだ出来てないだの、通話のやりとりが漏れ聞こえた。
病院では耳鼻科のあるフロアーの、ナース室のベッドでしばらく寝かせて
貰い、検査と診察を受けた。耳鼻科の医師はとても経験がある方のようで、
耳鼻科での所見異状は、やはり認められないと言われた。
足が少しふらつくのかもしれないが、めまいが苦しい辛いという、その訴
えの物言いはめまい患者のそれではなく、精神科系の患者のようだという
話で、明日心療内科を受診するように手配してくれた。処方薬の苓桂朮甘
湯(りょうけいじゅつかんとう)についても、再度吟味して、やはりこの薬
を日に三度適切に服用して一ヶ月様子をみて欲しい、とのことだった。
バァバはベッドで二時間掛けて点滴を受けて、私と一緒にタクシーで一時
半頃に帰宅した。大分落ち着いたらしく、このヒトは点滴を受けると一時
的に復調するので、一体どういう病気なのか、未だに不明である。
翌日、耳鼻科の医師の紹介状を持って同病院の心療内科を受診した。
可も不可もない若い医師だった。ヒステリー発作のような不機嫌と怒りの
症状を出した後、体が脱力して立てない歩けないというパターンがあると
話した。レクサプロ(SSRI)が追加処方され、一ヶ月服用して再診を受ける
ようにとのことだった。
今日まで4日ほど、医師の指示通りの服薬治療をしているが、少し快方に
向いている感触はあるものの、めまいやふらつきとは言わないが、辛いだ
の苦しいみたいな事は言うようだ。冷え性と高血圧は相変わらずのようだ
が、体温が36.5になっていて低体温が改善されたようではある。
どうも心因性の病気、ヒステリー、身体表現性疾患、心身症、うつ病なの
だろう。このヒトのこの疾病傾向は、家族・親戚皆んな知っているもので
ある。本人が幼少の頃からそんな調子だったとも聞いている。
私だって、母親のおかしな気質には、子供の頃から気づいているが、救急
車を呼んだのは初めてだった。少し仮性痴呆気味な印象もある。病気を大
袈裟に言い立てて周囲の気を引き、自分への労わり等を引き出したいとい
うような‥、高齢者の孤独と甘えにどう向き合うべきか、なのである。