父の鼠径部ヘルニア(膀胱と腸)の手術は、5時間も掛かって無事に終わ
った。通常鼠径ヘルニアの手術は1時間半程度らしいが、父の場合は倍の
手間が掛かると言われた。つまり3時間の手術プラス全身麻酔をしたので、
手術の前後に1時間の麻酔時間が必要となり、待ち時間5時間だった。
でも運が良かったのは、飛び出している部分の膀胱を切除するはずだっ
たのが、切らずに元に戻せたことである。膀胱を40%くらい大幅に切除
するという説明だったが、術後の生活に不便が生じないか心配だった。
また膀胱は、切ると傷口から尿が漏れやすくそれで感染症を起こし易く
その場合は再手術だという。鼠径部ヘルニアで膀胱が出るタイプは1%
というが、一応、面倒にならずに済んで良かった。
ヘルニアでも、膀胱は飛び出しても痛くないのだそうである。父の場合
も痛みがないのでついつい甘くみて、長年放置していたのである。この
2,3か月で膀胱のヘルニアが一挙に進み、更に小腸まで出て来た。父の右
股には大人のコブシ大に膨らんだコブが生えていて、診察室で初めて見
たときは仰天した。小腸が出てしまい、嵌頓状態で締め付けられるとか
なり痛いらしい。
嵌頓状態の小腸は、元に戻さず6時間以上放置してしまうと、部位が腐り
だす前に緊急手術が必要だという。父の場合、朝に小腸が出て腹が痛み
出し、午前中に救急車で病院に駆けつけて、外科医に手で小腸を元に戻
して貰えた。腸は腹膜に包まれた状態で鼠径部に出るので、腸を戻して
も伸び切った腹膜は外に残ったままで、その腹膜は手術時に切除された。
結局、父の鼠径ヘルニア手術では、膀胱も腸も切ることなく、腹膜を一
部切った程度で下腹部を縫合したようである。出血も少なくとても首尾
の良い手術となった。執刀の主治医との術後面談でも、私も医師も顔が
ほころんだ。ということで、メデタシ・メデタシなのか、どうなのか?
というのは、
手術の翌日、病室に父を見舞いに行くと、父は疲れ果てたような表情を
してウツラウツラ半眼で眠っている風だった。意識状態は正常なので、
話しかけると応えてくれるが、会話することがどこか辛そうである。何
だか顔つきがヘンで、顔がどこかねじれている感じである。丁度、バイ
クで事故って顔が歪んだビート・たけしの顔付に似ている。
父は私を認めると不意に、「あ、お前のフトンはあっちに敷いてあるぞ」
と言った。エッ? ナニ言ってんだ、と思ったが、年寄に全身麻酔をす
るとボケ易いという話を、最近知り合いの外科医から聞いた。ヘルニア
は無事済んだのに、今度はボケかよって、一難去って、またであるのか。
さーて、どーゆー展開になるのやら‥。退院予定は、一週間後である。
った。通常鼠径ヘルニアの手術は1時間半程度らしいが、父の場合は倍の
手間が掛かると言われた。つまり3時間の手術プラス全身麻酔をしたので、
手術の前後に1時間の麻酔時間が必要となり、待ち時間5時間だった。
でも運が良かったのは、飛び出している部分の膀胱を切除するはずだっ
たのが、切らずに元に戻せたことである。膀胱を40%くらい大幅に切除
するという説明だったが、術後の生活に不便が生じないか心配だった。
また膀胱は、切ると傷口から尿が漏れやすくそれで感染症を起こし易く
その場合は再手術だという。鼠径部ヘルニアで膀胱が出るタイプは1%
というが、一応、面倒にならずに済んで良かった。
ヘルニアでも、膀胱は飛び出しても痛くないのだそうである。父の場合
も痛みがないのでついつい甘くみて、長年放置していたのである。この
2,3か月で膀胱のヘルニアが一挙に進み、更に小腸まで出て来た。父の右
股には大人のコブシ大に膨らんだコブが生えていて、診察室で初めて見
たときは仰天した。小腸が出てしまい、嵌頓状態で締め付けられるとか
なり痛いらしい。
嵌頓状態の小腸は、元に戻さず6時間以上放置してしまうと、部位が腐り
だす前に緊急手術が必要だという。父の場合、朝に小腸が出て腹が痛み
出し、午前中に救急車で病院に駆けつけて、外科医に手で小腸を元に戻
して貰えた。腸は腹膜に包まれた状態で鼠径部に出るので、腸を戻して
も伸び切った腹膜は外に残ったままで、その腹膜は手術時に切除された。
結局、父の鼠径ヘルニア手術では、膀胱も腸も切ることなく、腹膜を一
部切った程度で下腹部を縫合したようである。出血も少なくとても首尾
の良い手術となった。執刀の主治医との術後面談でも、私も医師も顔が
ほころんだ。ということで、メデタシ・メデタシなのか、どうなのか?
というのは、
手術の翌日、病室に父を見舞いに行くと、父は疲れ果てたような表情を
してウツラウツラ半眼で眠っている風だった。意識状態は正常なので、
話しかけると応えてくれるが、会話することがどこか辛そうである。何
だか顔つきがヘンで、顔がどこかねじれている感じである。丁度、バイ
クで事故って顔が歪んだビート・たけしの顔付に似ている。
父は私を認めると不意に、「あ、お前のフトンはあっちに敷いてあるぞ」
と言った。エッ? ナニ言ってんだ、と思ったが、年寄に全身麻酔をす
るとボケ易いという話を、最近知り合いの外科医から聞いた。ヘルニア
は無事済んだのに、今度はボケかよって、一難去って、またであるのか。
さーて、どーゆー展開になるのやら‥。退院予定は、一週間後である。