脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

パソコン遠隔操作事件 : 真犯人のこと。

2014年05月24日 11時05分50秒 | 社会時評
2012年他人のパソコンを遠隔操作して小学校の襲撃等を予告する事
件が発生し、踏み台にされたパソコンのユーザーが次々と誤認逮捕され
た。最後に行き着いた容疑者:片山某(32)は、逮捕後も一貫して無実を
主張していたが、この度、自作自演の「真犯人メール」の件及び威力業
務妨害等の起訴内容を認め、自分が真犯人であることを全面自供した。

私は当初、片山某氏も冤罪なのでは?と思い描いていたが、彼は一連の
遠隔操作事件の実行犯・真犯人だった。警察はちゃんと仕事をしていた
ようだ。彼は、係争中の裁判を早く終わらせ、母親を楽にさせたいので、
「真犯人メール」を送ることを思いついたという。私は、犯罪のことよ
りも、母子関係にべったりしている、この30代男に興味を持った。

彼の顔はオタクっぽくあまり悪人にも見えない。自分の仕業で、無関係
な四人の一般市民が逮捕されたとき、「やった!」と思ったらしい。
この当たり、ネットで他人を出し抜いて釣ってやったみたいな、ひとり
でゲームを遊んで手応えを面白がる感覚に似ている。

彼は、単純愉快犯とか反社会性人格でもなく、世の中からはぐれてしま
い、道に迷っている内にネットの「虚」の世界に、彼なりに居場所めい
たものを見つけた、そんな印象の、今風若者に見える。ここまではよく
ある話でそのこと自体に善悪も当否もない。寧ろネットは、孤独な心の
安定装置として機能していたのかもしれない。

だが、匿名でネットの「虚」に遊んでいたら面白くなって限度を超え、
いつの間にかリアルにまで踏み込んでいた。そのとき彼は、未だ「虚」
のゲームを続けているつもりの、罪の意識も希薄な感覚だったのだろう。
そんな若者は十分に有り得るが、気になるのは彼の資質である。本人は
ウソを平気でつける性格だとも述べており、自殺願望もあるらしい。
「適応障害」「多重人格障害」という報道もあるが、どうなのだろう。

どうも片山某は、私にはアスペルガーや広汎性発達障害の系統に見える。
対人コミュニケーション能力、他者の痛みへの想像力や共感性の乏しさ
という特徴を感じさせるタイプである。それが「適応障害」の本体であ
り、現実不適応が嵩じて解離性が生じ、虚実ないまぜの現実感覚が、つ
い逸脱して犯罪に走ってしまったのではないかと想像する。

今彼の表情は妙に明るい。本当の事を全て話してスッキリしたかのよう
だ。彼も、孤独・居場所がない、他者からの愛情や承認に飢えていると
いう、ありがちな負の特徴をもつ、不満で淋しい不安定な若者なのだろ
う。勿論そのような人間の全てが犯罪者になる訳ではないが。

一般に彼のような人間が、世間や警察相手に、犯罪にまで踏み込む場合、
根深い絶望感や自滅願望のようなものを抱えているものだと、私は思っ
ている。彼の心は相当に追い詰められていたのだと思う。もし彼に、脳
器質の発達の問題或いは心の闇があるのなら、今後の公判を通じて、本
人及び関係筋は、隠さずに明かして欲しいと思う。



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